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「噛みしめるほど秀逸」「ずっと泣きっぱなし」 あす最終回『銀河の一票』名言を振り返る【Part2】

  • 2026.6.28
『銀河の一票』第10話より (C)カンテレ width=
『銀河の一票』第10話より (C)カンテレ

黒木華が主演を務め野呂佳代が共演するドラマ『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜22時)が6月29日の放送でついに最終回を迎える。本作の見どころはなんといっても脚本家の蛭田直美が紡ぐ名ゼリフの数々。ここではSNS上でも「噛みしめるほど秀逸」「刺さりすぎてずっと泣きっぱなし」などの称賛が相次ぐ珠玉の言葉を紹介しつつ、名シーンを振り返っていきたい。

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ドラマ『銀河の一票』は、若くして政治の世界で生きてきた女性と市井に生きる女性がバディを組み、東京都知事選挙挑む姿を活写するヒューマンドラマ。告発文をきっかけに、与党・民政党の幹事長で父の鷹臣(坂東彌十郎)から政界を追われた秘書の星野茉莉を黒木が演じ、スナックのママから東京都知事を目指す月岡あかりを野呂が演じる。

■茉莉と記者・雨宮楓のシスターフッド

茉莉とあかりがかもし出す“バディ感”や互いをエンパワメントする姿が多くの視聴者を感動させてきた本作。その一方で、茉莉と新聞社の政治部記者・雨宮楓との絆も見逃せない。

茉莉と雨宮の出会いが回想シーンの中で描かれたのが第6話。高校生の頃、自分が強くも優しくもなれないと感じていた雨宮は、無傷な自分に傷をつけるため“神待ち(居場所を失った若年女性がインターネットなどを通じて、宿泊場所や金銭などを提供する男性を探し、男性側がそれらを提供する行為)”をすることに。男性から待ちぼうけをくらってしまった雨宮は、街頭で民政党のチラシを配っていた茉莉と出会う。

茉莉から神待ちを悟られた雨宮は、自身が恵まれた環境で育ったことや、その平凡さにコンプレックスを抱いていることを打ち明ける。そして自らが困難を抱えることで、強く優しくなれるかもしれないと神待ちに至ったいきさつを語る。「愛されるじゃないっすか? 強くて優しい人って…誰かの…誰かの特別になれるじゃないですか…」と涙があふれ出す雨宮。茉莉は彼女の手を取ると「愛される手段として、強く優しくなることを選ぶあなたは…なんて強くて優しいんでしょう」と微笑みかける。

この思いがけない出会いをきっかけに、絆を育むことになった茉莉と雨宮。あかりの都知事選出馬をめぐって、茉莉が民政党を担当する雨宮をあえて遠ざけたこともあったが、第7話で和解。以降、雨宮は「チームあかり」を記者として追うことに。

最終章の前章となった第10話では、雨宮が茉莉を守るために新聞記者になったと告白。母・瑠璃(本上まなみ)が亡くなった直後の茉莉について、雨宮は「1人になっちゃってたじゃないですか?」と当時を振り返りつつ「殺傷能力あるじゃないっすか、1人だなって気持ちって」とつぶやく。さらに雨宮が茉莉の手を握り「マジで1人じゃないっすからね。1人にしないんで。1人で1人になっちゃわないでください」と力強く語りかけると、放送中からSNS上で大きな反響が巻き起こり「サラッと深いことを言うなあ…」「すごく沁みる」「茉莉と雨宮のシスターフッドもいい!」といった声が集まっていた。

■あかりの過去から垣間見る日本社会の残酷な“今”


番組スタート当初から多くの視聴者の関心を集めていたのが野呂演じるあかりの過去。出馬表明会見までの過程が描かれた第7話で、ついにあかりの過去が明らかに。かつて、あかりは公立中学の養護教諭として働いていた。10年前、彼女は不登校の状態から保健室登校へ切り替わった生徒・鈴原ほのか(根本真陽)と親交を深めていく。ほのかが趣味で作っていた人形を高く評価し、孤独に寄り添っていくあかり。しかし、ほのかはそれまでのめり込んでいた人形作りに加えて、保健室へ行くことも母親から禁止されてしまう。

母親への不信感と怒りから家を飛び出したほのか。思わず街中で「死ぬって言う!! お母さんに!!」と絶叫する彼女に対して、あかりは「ダメだよ! ダメ!」と制止し「“死ぬ”っていう言葉をそういう風に使うとね…取引に使うとね、戻らなくなっちゃうよ…うまくいってもいかなくても、苦しくって…いつか本当に死ぬしかなくなっちゃうよ」と真剣に語りかける。そしてあかりは「鈴原さん…なんとか…なんとか大人までたどりつこう」と呼びかける。

しかし、ほのかはその直後に母親と口論になり自殺未遂を図ってしまう。あかりはほのかが語った“死ぬ”という言葉について振り返り「取引じゃなく“賭け”だった。私はそれも分かってなかった」と茉莉たちに語る。10年前のほのかの言動にあかりは自問自答を繰り返すが、生徒に寄り添い、生きてほしいと願う気持ちは紛れもない本物だ。

小中高生の自殺率は残念ながら増加傾向にある。2026年1月には厚生労働省が2025年の自殺者数を公表し、小中高生は過去最多の数となった。劇中で蛍(シシド・カフカ)が子どもの自死について「ゼロにする」と決意したように、子どもが安心して生きられる社会は、大人が意識をもって用意しなければならない。

■カメラを向けて声を届ける

都知事選挙を通して“日本の政治”を描く本作は、この社会が乗り越えるべき課題にも次々とカメラを向けていく。第5話では障がい者雇用や子育て世代の家庭を悩ませる“小1の壁”が劇中で話題に上がった。さらに第7話では、茉莉やあかりが政策づくりのために当事者ヒヤリングを行うことに。小学校PTA、保育士、子育て中の女性、聴覚障がい者、視覚障がい者、障がい福祉サービス事業所のスタッフと真剣に向き合う主人公たちの姿は、ドキュメンタリー番組を彷彿とさせるカメラワークも相まって、虚と実の“あわい”を絶妙に描き出した名場面となった。

上記に限らず、このドラマは社会で共有すべき声や視点をセリフで届けてくれる。例えば、暴露系YouTuberの白樺透(渡邊圭祐)と視覚障がい者の青年・明(望月歩)の出会いと友情が描かれた第6話では、明が自身の境遇について「不幸だとは思わないけど不便」と語りつつ、その不便さについては「社会は見えてる人用にデザインされている」と指摘する。

また第8話の冒頭では、鷹臣の後妻で車いすユーザーの桃香(小雪)が、レストランで従業員から“車いすユーザーを迎える設備がない”ことを理由に入店を拒否されてしまう。予約サイトに記載もなく、店頭でいきなり入店を拒否されたことに憤る桃香と友人たち。後ろにいたカップルが、店員の説明に屈しない桃香たちに対して思わず不満を口にする。カップルの声が聞こえた桃香は振り返ると「行きたいところに入りたいの。あなたたちだってそうでしょ?」と笑顔で語りかける。

明や桃香の言葉から、気付きや学びを得た視聴者は少なくないはずだ。

■「はんぶんこ」「傷付く準備」反復される言葉たち


最後に本作の魅力として指摘しておきたいのが、シンプルながらも心を掴む言葉が劇中で反復される点。時間や状況、そして人物を超えて繰り返される言葉に出会うことは、連続ドラマを見る醍醐味と言っていいだろう。

例えば、第2話で理想の都知事像を熱っぽく語り自嘲気味に「きれいごとかもしれませんが…」とつぶやいた茉莉に、あかりが「きれいごとじゃないよ」「“きれいなこと”だよ」と語りかけたセリフ。これは第3話のラストで立候補を決意した心境を「きれいごとかもしれないけど…」と涙ながらに打ち明けたあかりに、茉莉が涙をこぼしながら「きれいごとじゃないです! “きれいなこと”…です」と微笑みかける形で反復された。

また第2話の回想シーンの中で“生きる意味”について問うあかりに、スナックの先代ママ・とし子(木野花)が「念のため」と答えた言葉は、第6話のクライマックスであかりの口から、自死を覚悟した通り魔の男に向けて発せられる。

一方、茉莉とあかりが共同生活をスタートさせた第2話では、あかりが茉莉にアイスクリームを「“はんぶんこ”する?」と提案。以降、劇中ではたびたび茉莉とあかりがスイーツを“はんぶんこ”する微笑ましい光景が映し出されることに。そんな中、第9話のラストであかりは初めての街頭演説に挑むことになる。緊張のあまり表情からも不安がうかがえるあかり。茉莉は彼女の手を取ると笑顔で「“はんぶんこ”しましょう」と提案。不安と緊張を引き受けることを約束した茉莉に対して、あかりは笑顔を見せるのだった。

さらに第5話で、元市長の蛍から立候補を決意したあかりへの「できてる?“傷付く準備”」という問いかけは、第7話クライマックスの出馬表明会見の中で、あかりが発した「“傷付く準備”はできました」という返答の形で反復される。加えて第10話のラストでは、告発の手紙に関する調査報告書を前にした茉莉が「“傷付く準備”はとっくにできてる」と断言。ハッキリ言い切る茉莉の毅然とした態度から、彼女の成長ぶりがうかがえる名シーンだ。

脚本家の蛭田は、最終章・前編となった第10話の放送直前に、自身のXを更新。「迷って迷って迷って迷って『明るい方』を探しました。どうかどうか届きますように」と劇中で繰り返される“明るい方”という言葉を引用してコメントしている。キャスト、スタッフが一丸となってたどりつく“明るい方”。それが視聴者にとってどんな景色となるのか。最終回を見逃すわけにはいかない。(文:すずきひろし)

ドラマ『銀河の一票』最終回は、カンテレ・フジテレビ系にて6月29日月曜22時放送。

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