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「なんとなく、かな」と答えた俺→遠い駅で、こっそりしていたこと

  • 2026.6.27
ハウコレ

待ち合わせの駅前で、不動産屋の貼り紙をぼんやり眺めていました。並んだ間取り図のどれかに、いつか彼女と暮らす部屋を勝手に重ねていました。それが、彼女と会う日のひそかな楽しみだったのです。彼女が来るまで、この街をひとりで歩くのが好きでした。

遠い駅を選んでいたのは、俺の身勝手な夢のため

彼女と待ち合わせるとき、俺はいつもこの駅を指定していました。理由は単純で、ここが将来ふたりで住めたらいいと思っている街だったからです。落ち着いた商店街があって、家賃も無理のない範囲。会うたびに少し早く着いては、ここで暮らす日々を思い描いていました。

気づけば、その街歩きが、会うこと自体と同じくらい大切になっていました。彼女がどこから、どれだけ遠くから来てくれているのか。そこまで考えが回っていなかったことに、あとから気づきました。

「早く着いちゃった」に込めていた、ただの本音

その日も街を歩き回って、約束の場所のベンチで彼女を待っていました。改札から出てくる彼女を見つけて、俺は手を挙げました。「早く着いちゃった」というのは、嘘でも見栄でもなく、ただの本音です。実はもっと前から来て、この街を歩いていたのですから。

彼女がいくつもの駅を越えてここへ来ていることを、そのときの俺は重さとして受け止めていませんでした。自分の楽しみにばかり気を取られて、隣にいる人の足取りまで見えていなかったのだと思います。

彼女の問いかけで、ようやく見えたもの

帰り際、彼女がふいに尋ねてきました。「どうしていつもこの駅なの?」と。本当の理由を打ち明けるには照れくささが勝って、俺は「なんとなく、かな」とだけ返してしまいました。

けれど、そう答えたあとの彼女の表情で、ずっと無理をさせていたのだと察しました。俺が夢を見ている間、彼女はその夢に付き合うために遠回りを続けてくれていた。大切にしているつもりで、いちばん近くにいる人を置き去りにしていたのです。

そして...

家に帰ると、彼女から短いメッセージが届いていました。「次は、私の駅で会えたらうれしいな」と。俺はすぐに返事を打ちました。次は彼女の駅まで迎えに行くこと、そしていつかこの街を二人で歩きたいと思っていたことを、ちゃんと話すつもりです。ひとりで思い描いていた街並みを、今度は彼女の隣から見てみたい。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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