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『スーパーガール』クレイグ・ギレスピー監督が語る新ヒーロー誕生秘話「まだ色のついてない役者と共に成長しきれてないキャラクターを描くのはまたとないチャンス」

  • 2026.6.26

ジェームズ・ガンが共同会長兼CEOに就任したことで大きく方向転換したDCスタジオ。ガンは、自身が脚本を書きメガホンを取った『スーパーマン』(25)でその新しい方向を示してくれた。ザック・スナイダーが描いた苦悩ゆえに闇を引きずるスーパーヒーローとしてではなく、もっと明るく善良な存在。夜ではなく昼の太陽を感じさせ、観客をハッピーな気分にさせてくれるキャラクターとして、スーパーマンを甦らせたのだ。そして、その新生DCスタジオの第2弾『スーパーガール』が公開された。

【写真を見る】ロボ役のジェイソン・モモアと映像をチェックする『スーパーガール』のクレイグ・ギレスピー監督

「カーラは“スーパーヒーロー”になりたいなんて望んでいません」

本作の製作を務めるガンが白羽の矢を立てた監督は『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(17)などで知られるクレイグ・ギレスピー。この手のスーパーヒーロー作品は初とあって、少々意外なチョイスとも言えそうだ。「ある時“『スーパーガール』の脚本を送ります”という連絡を受けてワクワクしたのが始まりでした。コミックに詳しいとは言えませんが、アナ(・ノゲイラ)の脚本がすばらしく、これはぜひやってみたいと思ったんです。おっしゃるとおり、こういう大作は初めてです。でも、監督としては、いつか大きなキャンバスで物語を描いてみたいという気持ちがありました。そして、私が撮ってきた映画との違いと言えば、製作期間が長くVFXが多いだけだろうと思っていたのですが、実際にそうでした。なので、不安になることはありませんでしたね」。

【写真を見る】ロボ役のジェイソン・モモアと映像をチェックする『スーパーガール』のクレイグ・ギレスピー監督 [c] & TM DC [c] 2026 WBEI
【写真を見る】ロボ役のジェイソン・モモアと映像をチェックする『スーパーガール』のクレイグ・ギレスピー監督 [c] & TM DC [c] 2026 WBEI

アナ・ノゲイラは次のDCスタジオで映画化される「ワンダー・ウーマン」の脚本も手掛けることになっている注目のライター。本作ではスーパーガール/カーラ・ゾー=エルをギレスピーいわく「ほとんどアンチヒーローに近い存在」として描き、彼を夢中にさせたのだ。「カーラは自分自身の“声”を探している途中で、いわゆる“スーパーヒーロー”になりたいなんて望んでいません。スーパーマンとはいとこ同士とはいえ、そういう型にはめられるのを嫌い、独立精神にあふれています。倫理観も曖昧なくらいですからね!私はそういう彼女に本当に惹かれてしまいました。これまで『アイ、トーニャ』や『クルエラ』を手掛けていますが、私にとってそれらの作品の最大の魅力はキャラクターだったからです」。

『スーパーガール』の脚本家に抜擢されたアナ・ノゲイラ(左) [c] & TM DC [c] 2026 WBEI
『スーパーガール』の脚本家に抜擢されたアナ・ノゲイラ(左) [c] & TM DC [c] 2026 WBEI

そのスーパーガール/カーラを演じるのはドラマシリーズ「ハウス・オブ・ドラゴン」(22~)で注目されたミリー・オールコック。彼女はギレスピーが決まる前にキャスティングされていた。2人とも、オーストラリア出身という共通点もあり、相性はとてもよかったようだ。「彼女のことは、オーストラリアで出演していた作品も観ていましたし、演技力に関してはなんの問題もないと確信していました。監督としては、まだ色のついてない役者と、まだ成長しきれてないキャラクターのコンビネーションで物語を描けるというのは、またとないチャンスです。しかもミリーとカーラは、見事なほど合っていますからね。映画作りでもっとも難しいのはキャスティングです。その難事業が、参加した時には完了していたというのは監督としては最高ですよ」。

「クリプトはジェームズの愛犬、オヅがモデルなんです」

愛犬クリプトを救うため、強敵クレムと戦うカーラ [c] & TM DC [c] 2026 WBEI
愛犬クリプトを救うため、強敵クレムと戦うカーラ [c] & TM DC [c] 2026 WBEI

気になる問題もある。『スーパーガール』の企画が実際に動き出したのは『スーパーマン』の撮影中。新生DCユニバース作品の第2弾としてなにを受け継げばいいのか、お約束はどんなことなのか、ガンにアドバイスをもらうほか手はない。「ジェームズと初めて会ったのは、『スーパーマン』の撮影が始まったばかりのころでした。彼がどんなユニバースを創り、それを私がどう継承すればいいのかは彼に尋ねるしかありません。でも、彼の答えは予想を裏切るものでした。“僕は、それぞれの映画を一冊ごとのグラフィックノベルのように考えている。ライターとイラストレーターが独自で考えた物語であり世界だということ。『スーパーガール』は、あなたのグラフィックノベルなんです”。彼のこの言葉がなにを意味しているかと言えば“自由”です。私は最初から自由をもらえたんです。コミックの映画化で自由度が高いなんて、本当にすばらしいと思いました」。

自由度が高く、ガンからのリクエストも少なかったというが、ことクリプトに関しては違ったようだ。クリプトは『スーパーマン』に登場したクリプトン星出身のスーパードッグ。本来の飼い主はカーラであり、『スーパーマン』の後半、彼女とクリプトが再会するエピソードが描かれていた。スーパーマンはクリプトに振り回されていたが、多くの観客はこのやんちゃなワンコにフォーリンラブ。今回は前作以上に重要な役割を与えられ、スーパーガールは毒に侵されたクリプトを救おうと奔走する。

ジェームズ・ガンこだわりが詰まったクリプト [c] & TM DC [c] 2026 WBEI
ジェームズ・ガンこだわりが詰まったクリプト [c] & TM DC [c] 2026 WBEI

「クリプトはジェームズの愛犬、オヅ(ガンが大ファンの小津安二郎監督から命名された)がモデルなんです。だから、彼の想い入れは強かったし、アドバイスもたくさんもらいました。クリプトはどれくらい言うことをきくのか?誰のことならきくのか?そもそもどれだけやんちゃなのか?…そういうクリプトの詳細についてジェームズには明確なビジョンがあったので、彼を演出する上でとても助けになりましたね。カーラとクリプトにはとても深い絆があります。カーラにとってクリプトは故郷であるクリプトン星とつながる唯一の存在。2人は崩壊したクリプトン星の生き残りで、似たところがあります。同じようなエネルギーをもっていて、時にカオスを引き起こす。強い愛情で結ばれているにもかかわらず、ちょっと厄介な関係性…そういう部分はジェームズのアドバイスが本当に役立ちました。カーラとクリプト、間違いなくバディのような関係だと思います」。

「カーラとルーシーの合わせ鏡のような関係性にも注目してほしい」

滅亡したクリプトン星でなにが起こったのか [c] & TM DC [c] 2026 WBEI
滅亡したクリプトン星でなにが起こったのか [c] & TM DC [c] 2026 WBEI

もうひとつの本作の特徴としては、カーラのクリプトン星時代が描かれているところ。同じ星の出身者でいとこ同士だとはいえ、スーパーマンと違うのはこの故郷で過ごした時間。スーパーマンは赤ちゃんのころに星を離れて地球で育ったが、カーラの場合はそこで育っている。その重要性をギレスピーはこう語っている。「クリプトン星でのカーラの人生を描けたのは、監督としてうれしかったですね。というのも、彼女が抱える痛みや苦しみ、喪失感を伝えることができるからです。これは本作においてとても重要な部分で、カーラの人格や世界の見方を理解する上で不可欠だからです。ミリーはすごかったですよ。クリプトン星の言葉を習得したし、そういった感情の起伏も見事に演じてくれましたから」。

ということは、本作はスーパーガール/カーラの青春ドラマであり、成長ドラマという側面もありそうだ。「そういう一面もありますが、カーラはなにかを探しているというより、責任から逃げているんだと思います。スーパーマンのような役目を負いたくないから、ある意味ではその責任に反発すらしています。そういうなかで出会った若いルーシー(イヴ・リドリー)との友情が始まります。彼女も大きなトラウマを抱えていて、彼女に手を差し伸べると、それは自分自身も救うことになる…2人の合わせ鏡のような関係性にも注目してほしいですね」と、鍵を握るルーシーにも言及する。

カーラとルーシーの関係にどんな変化が起こるのか [c] & TM DC [c] 2026 WBEI
カーラとルーシーの関係にどんな変化が起こるのか [c] & TM DC [c] 2026 WBEI

ちなみに本作のタイトル、当初はグラフィックノベルと同じ「Supergirl: Woman of Tomorrow」だったが、『スーパーガール』とシンプルになった。その理由はギレスピーいわく、「そのほうが絶対、力強いと思ったからです。余分な説明はいらない。スーパーガールが何者なのかは、映画を観てもらえばわかりますからね!」。

スーパーガールがどんな活躍を繰り広げるのか。劇場に足を運ぶのが楽しみだ!

取材・文/渡辺麻紀

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