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ゴールデン帯連ドラ“初主演”俳優「さすがプロ」奇抜な設定の新ドラマ、初回放送で見せた“丁寧な演技”に称賛の声

  • 2026.7.31
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(C)「リーガルビート –逆転の法廷–」製作委員会

月9でのW主演やNetflix作品での主演を経て、俳優・鈴鹿央士がゴールデン帯の連続ドラマ単独初主演を務めるテレビ東京系 ドラマ9『リーガルビート –逆転の法廷–』。7月24日(金)に放送された第1話で演じたのは、吃音を抱えながら法廷に立つ新人弁護士・泰地空だ。SNS上では「吃音の演技、さすがプロ」「設定が奇抜だけど本当に良かった」と称賛の声が多い。詰まってしまう言葉の、その奥にある焦りや孤独までも伝える演技から、鈴鹿の俳優としての魅力に目を向けてみたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

伝えられない苦しさを体現

『リーガルビート –逆転の法廷–』で鈴鹿が演じる泰地は、司法試験に一発で合格したにも関わらず、吃音によって就職面接で失敗を重ねてきた新人弁護士。知識も正義感もある。それでも、自分の思いをすぐに言葉にできない。そのもどかしさを抱えながら、雪村法律事務所の一員として法廷に立つことになる。

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(C)「リーガルビート –逆転の法廷–」製作委員会

第1話、泰地がコンビニで目当ての商品を買うのに手こずってしまうシーンからすでに、苦しさが伝わってきた。吃音の表面的な表現だけに頼らず、その前後にある呼吸や視線、身体の緊張まで丁寧に演じているのがわかる。

話し始める前に、わずかに息を吸う。相手の表情を確かめるように目を動かす。うまく声が出ないときには、言葉だけでなく肩や口元にも力が入る。そこから見えてくるのは、発話の難しさだけではない。また上手く話せなかったらどうしよう、最後まで聞いてもらえないかもしれない、呆れられるかもしれない……。そんな、泰地がこれまで何度も経験してきたであろう恐れだ。

鈴鹿の演技には、感情を過度に誇張しない良さがある。ドラマ『silent』などでも見せてきた、言葉より先に瞳が感情を語る表現が、本作ではより切実な形で生かされているように見える。相手に伝えたい思いは確かにあるのに、言葉だけが追いついてこない。その苦しさが、観る側にも息苦しいほど伝わってくる。
鈴鹿は泰地を、“吃音のある弁護士”という説明だけで終わらせず、周囲の視線や過去の挫折を背負って生きる一人の青年として立ち上げていた。

奇抜さを必然に変えた演技

普段の会話では言葉に詰まってしまう泰地が、ラップのリズムに乗せると滑らかに思いを表現できるという設定は、これまでにも多くの作品に類似点が見出せる。しかし、弁護士が法廷でラップを披露する、という展開は斬新だ。
本作においてラップシーンは単なる派手な見せ場ではなく、泰地が自分の声を取り戻すための切実な手段として描かれている点も示唆的である。

泰地は日頃から、話すことに慎重にならざるを得ない。声を出そうとするたびに、相手を待たせることや、言葉を遮られることへの不安がつきまとうためだ。ところがラップ独特のリズムが生まれた瞬間、身体のこわばりがほどけ、胸の中にあった言葉が一気に流れ始める。

この“静”から“動”への切り替えが、鈴鹿の演技によって鮮やかに成立している。普段は遠慮がちな視線や態度が、ラップの場面ではまっすぐ相手を捉える。細く途切れがちだった声には力が宿り、姿勢までも変わって見える。それは別人への変身ではなく、抑え込まれていた本来の泰地が、ようやく表へ出てきた瞬間なのだ。

だからこそ、法廷でラップによって言葉を畳みかける展開にはカタルシスが宿る。単に弁護士が華麗な弁論を披露するのではない。これまで話すことによって傷ついてきた青年が、自分に合った方法で人を救う。その過程があるから、逆転劇にも感情的な重みが生まれる。
鈴鹿はラップを格好よく見せることだけに集中せず、その前にある沈黙や葛藤を積み上げた。だからリズムに乗った言葉は、演出上の仕掛けではなく、泰地にとっての居場所として響くのである。

ゴールデン帯の連続ドラマ単独初主演で結実した、鈴鹿央士の“観察力”

『蜜蜂と遠雷』で鮮烈な映画デビューを果たして以降、『ドラゴン桜』『silent』『嘘解きレトリック』など、多彩な作品に出演してきた鈴鹿央士。柔らかな透明感を生かした青年役だけでなく、プライドや屈折を抱える人物、飄々とした探偵役など、着実に演技の幅を広げてきた。
その積み重ねが、『リーガルビート』の泰地空という役で一つに結びついているように見える。

鈴鹿の強みは、感情を表現することだけではない。相手の言葉を受け止め、解釈する観察力も持ち味だ。依頼人が苦しみを語る場面で、泰地はすぐに正論を返さない。視線を逸らさず、時には自分も傷ついたような表情を見せながら、相手の言葉が終わるのを待つ。
吃音を抱える泰地は、誰よりも“言葉を待ってもらえない痛み”を知っている。だからこそ、他者の声を急かさずに聞き、相手の心を観察することができる。その人物像と、鈴鹿自身が持つ受容力のある芝居が見事に重なっている。

『リーガルビート –逆転の法廷–』が描こうとしているのは、社会の中で声を上げられずにいる人々の思いを、誰がどのように拾い上げるのかという物語である。話すことに困難を抱える泰地が、依頼人の“声にならない声”を届ける。その矛盾を説得力のあるものにしているのが、鈴鹿の繊細な演技だ。

ゴールデン帯の連続ドラマ単独初主演という節目に、鈴鹿は自らの透明感や余白、観察力をすべて注ぎ込める役と出会った。奇抜に見える設定の奥から、傷つきながらも他者のために言葉を探す青年の姿が浮かび上がってくるようだ。


テレビ東京系 ドラマ9『リーガルビート –逆転の法廷–』毎週金曜よる9時

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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