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ドラマ評論家が厳選!Netflixのおすすめ【ドラマ3選】過激作品だけじゃない“傑作ドラマ”に注目

  • 2026.7.26
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北村匠海 (C)SANKEI

『全裸監督』の成功以降、Netflixのドラマは過激さを売りにしたピカレスクロマンが主流で、話題になる作品も『地面師たち』や『地獄に堕ちるわよ』といったダークなドラマがほとんどだ。 だが、ピカレスクロマン以外にもNetflixには傑作ドラマが多い。今回はそんな傑作ドラマをドラマ評論家の視点から3作選んでみたい。

※以下本文には配信内容が含まれます。

1.『THE DAYS』 原発事故の混乱を描いた硬派な社会派ドラマ

『THE DAYS』は2011年3月11日の東日本大震災によって発生した福島第一原子力発電所事故の混乱を日本政府、電力会社、原発の現場当事者、それぞれの視点から描いた全8話の社会派ドラマだ。
東日本大震災を描いたドラマは多数作られているが、福島第一原発事故の時の様子をここまで徹底的に描いた作品は本作だけだ。その意味でもNetflixだからこそ実現できたドラマだと言えるだろう。

企画・脚本・プロデュースを担当した増本淳は、人気ドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズを手掛けた元フジテレビ社員のプロデューサー。
フジテレビ時代は人気若手俳優を起用したエンタメ性の高いドラマの中に社会的なテーマを盛り込むという、メッセージ性とエンタメ性のバランスが絶妙だった増本だが、今作では大人向けの社会派ドラマに大きく舵を切っている。 映像も抑制の効いた重厚なものとなっており、原発事故の報道を見ていた時に感じた恐怖を思い出させるシーンが次々と登場する。
監督は『コード・ブルー』シリーズで増本と組んだ西浦正記と『リング』等のホラー映画で知られる中田秀夫が担当。原発事故に立ち向かう専門家たちの姿を魅力的に撮る演出には『コード・ブルー』にも通じる西浦のカラーが、原発事故によってこの先日本がどうなるのかわからないホラー映画的な恐怖感には、中田のカラーが強く出ていて、最後まで目が離せない。
日本人なら誰もが知っている出来事を、ルポルタージュ形式で描いた硬派な社会派ドラマである。

2.『幽☆遊☆白書』 漫画原作の映像作品の可能性を大きく広げたアクションドラマ

月川翔が監督した『幽☆遊☆白書』は霊界探偵の少年・浦飯幽助(北村匠海)が、仲間と共に、人間界で悪事を働く妖怪たちと戦う姿を描いたアクションドラマだ。
原作は1990年代に『週刊少年ジャンプ』で連載されて大ヒットした冨樫義博の同名漫画。
近年、『鬼滅の刃』、『呪術廻戦』、『チェンソーマン』といったジャンプの漫画がアニメ化をきっかけに世界中で大ヒットしている。対して実写化された映画やドラマは、アニメと比べると存在感が薄く、あまり成功していない。 漫画の実写化はとても難しい。特にジャンプが得意としているバトルモノの漫画は、派手なアクションシーンや妖怪等のモンスターの映像化がとても困難で、ファンタジー要素の強い作品ほど映像化の難易度が高くなる。 だが、ドラマ版『幽☆遊☆白書』は正面からその難題に挑戦して、ハイクオリティーのCGと生身のアクションを駆使することで、実写ならではのバトルシーンを見事に作り上げることに成功した。
もちろん月川が監督した人間ドラマも見応えがある。
全5話という短い話数の中に原作漫画のエッセンスが凝縮されており、原作漫画で魅力的だった悪役・左京(稲垣吾郎)との対決を前面に打ち出すことで、霊界と人間界と魔界の複雑な関係を描いた壮大なスケールのダークな物語に仕上がっていた。

アクション、CG、物語、そしてキャラクターの魅力を再現した俳優の演技といったあらゆる側面で、ジャンプ漫画の実写ドラマ化の一つの到達点だと言えるだろう。

3.『離婚しようよ』 離婚と選挙を描いた社会派コメディ

『離婚しようよ』は、三世議員の東海林大志(松坂桃李)と人気女優の黒澤ゆい(仲里依紗)の夫婦が、力を合わせて離婚しようとする姿を描いた全9話の連続ドラマだ。

脚本は宮藤官九郎と大石静の共同脚本で、プロデューサーは当時はTBSに在籍していた磯山晶。宮藤と磯山は、『池袋ウエストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』といった作家性の強いコメディドラマを多数制作しており、2024年には『不適切にもほどがある!』を大ヒットさせた。
一方、大石は80年代から活躍するベテラン脚本家で、2024年には平安時代を舞台にした大河ドラマ『光る君へ』が高く評価された。磯山とは母親たちの不倫を題材にしたメロドラマ『恋する母たち』で組んでいるが、『離婚しようよ』では、メロドラマは大石、コメディは宮藤の個性が色濃く出ているように見える。

その意味で面白いのが、錦戸亮が演じる色気ダダ洩れのアーティスト・加納恭二の存在。ゆいは恭二と不倫の関係になっていくのだが、ゆいから見た恭二は色気ダダ洩れのカッコいい男で、二人の関係が描かれる場面は切ないメロドラマとなっている。しかし、物語が後半に進むにつれて恭二の別の側面が見えてくると、カッコよさが逆におかしくて笑ってしまうシーンが増えていく。おそらく前者のメロドラマに振り切った恭二は大石の視点で、後半の少しずらした視点は宮藤の視点なのだろう。

また、物語は途中から選挙編に突入し、本当は離婚したいのに仲良し夫婦を演じながら愛媛で選挙活動をする大志とゆいの姿が描かれるのだが、この選挙パートが今観ても面白い。

近年、政治のエンタメ化が進んだことの影響で、東京都知事選挙を題材にした『銀河の一票』のような選挙の内幕を描いたドラマが少しずつ増えているが、『離婚しようよ』では、選挙によって町全体が異様な熱狂に包まれていく様子が、スケール感のある映像で表現されていた。

離婚を題材にした楽しいラブコメだが、選挙の内幕を描いた政治コメディとして観ても楽しめるドラマである。


出典:Netflix公式HPより

ライター:成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)、『テレビドラマクロニクル 1990→2020』 (PLANETS)がある。

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