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主演女優の“生涯の代表作”の予感か? 数々の人気作を生む“テレ朝看板枠”が選んだ大胆な主人公【新・夏ドラマ】

  • 2026.7.20
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趣里 (C)SANKEI

7月23日から放送が始まる連続ドラマ『大空港~GATE24~』(以下、『大空港』)は空港で働く税関職員の物語だ。

本作は、訪日外国人が急増して国際犯罪が増える中、水際で犯罪を防ぐ国の最終防衛ラインとなる空港の入管と税関に焦点を当てたドラマだ。
内閣官房直属のスペシャルユニット『GATE24』(Global Airport Task Enforcement)は、各省庁の縦割り構造を排除した最強の門番という触れ込みだったが、実態は名ばかりの寄せ集め集団。
現場では腫物扱いされており、配属された場所もメインゲートから遠く離れた空港の隅で、臨時便や小型便ばかりを扱う小さな審査ブースで、空港審査の補欠扱い。
そんな逆境の『GATE24』に配属された新任の税関職員・森万智(趣里)は、鋭い観察力を駆使して、真実を見抜く異能の持ち主だった。

国家の縮図としての空港

空港を舞台にしたドラマや映画は定期的に作られており、傑作が多い。
その多くは、旅客機のパイロットを主人公にした連続ドラマ『GOOD LUCK!!』のような、特定の職業にフォーカスした作品だが、矢口史靖監督の映画『ハッピーフライト』やワンシーン・ワンカットで撮られた三谷幸喜が監督・脚本を務めた単発ドラマ『三谷幸喜「大空港2013」』のような、空港で働く様々な人々や乗客に焦点を当てた群像劇型の作品もある。
他にも武装集団によって占拠された空港を舞台に人質救出のために警察組織が捜査する姿を描いた『新空港占拠』のような連続ドラマもあるのだが、どの作品も基本的な舞台が空港に限定されていることが大きな特徴だ。

空港は不思議な空間で、旅客機や貨物機といった民間航空機が離着陸する施設としての機能が中心だが、飲食店等の店舗も充実していて人の出入りが激しいため、小さな町のようである。

同時に、他の商業施設と比べると、乗客の立場からするとよくわからない機械や施設が多いため、異界にいるような不思議な気持ちになる。

そんな空港という空間の持つ不思議な魅力を描いたのが、スティーブン・スピルバーグ監督の映画『ターミナル』だ。
本作は飛行機で出発した後、母国でクーデターが起きたことでパスポートが無効になり入国ビザが取り消されてしまったため、空港から出られなくなった男が、空港内で働きながら生きていく姿を描いた映画だ。
そんなことあり得るのか?と一瞬思うが、空港ならそれも可能だろうという説得力がある。

『大空港』第1話の予告映像では、「空港、それはニッポンの国境」というナレーションが冒頭に流れた後、入管を担うのは法務省、税関は財務省、検疫は厚労省や農水省、空港警察は警察庁と、それぞれの管轄が語られた後、この縦割りを壊すために内閣官房の主導で、それぞれの垣根を超えたスペシャルユニットとして『GATE24』が作られたことが語られる。
この映像を観ると、空港が日本という国家の縮図として描かれているように感じる。

『大空港』と趣里はテレ朝の新たな看板となるのか?

『大空港』が、入管と税関に焦点を当てた作品になると知った時は、空港モノのドラマとしては珍しい設定だと驚いた。だが、空港で起こる犯罪を扱ったドラマだと考えると、とてもテレビ朝日らしい作品だと感じる。

『大空港』が放送されるテレビ朝日の木曜夜9時枠は、医療ドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子~』や刑事ドラマ『緊急取調室』といった女性主人公のお仕事ドラマの人気シリーズを生み出しているドラマ枠だ。
テレビ朝日のドラマは一話完結の事件モノの作品を得意としており、刑事ドラマ『相棒』を筆頭にシリーズ化され安定した人気を誇っている。

とは言え、刑事ドラマ、医療ドラマ、リーガルドラマといったお仕事モノの定番と言えるジャンルは出尽くしている状況だ。 そのため、近年のテレビ朝日のドラマは、国税局の職員が脱税を取り締まる『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』のような、これまでとは違う職業を題材にした事件モノのドラマを模索しているように見える。
そんな中、空港の税関職員を主人公にするという大胆なアイデアには驚いた。
同時に上手いと思ったのが主人公・森万智の設定。 彼女はモノから真実を読み解く力があるという卓越した観察眼の持ち主。しかし人に対する観察眼は全く発揮されず、対人能力もないため、周囲の人間と衝突してしまう。
こういう天才タイプの主人公は、事件モノのドラマと相性が良い。

森万智を演じる趣里は、連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロイン役で見事な演技を披露した実力派女優で、2024年に主演を務めたリーガルドラマ『モンスター』では、ゲームのように法廷闘争を楽しむ天才肌の弁護士を見事に演じ切っていた。
そのため、『大空港』の卓越した観察眼を持つ税関職員の役もぴったりだと思う。
『科捜研の女』の沢口靖子や『相棒』の水谷豊を筆頭に、テレビ朝日のドラマは成功すると長期シリーズとなるため、主演俳優にとっては生涯の代表作となっている。 今回の『大空港』も成功してシリーズ化されれば、趣里の生涯の代表作となるのかもしれない。


出典:テレビ朝日 木曜ドラマ『大空港~GATE24~』公式HPより

ライター:成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)、『テレビドラマクロニクル 1990→2020』 (PLANETS)がある。

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