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バス運行中「おい!もっと風向けろ!」エアコン調整で揉める乗客→その後放った“予想外のクレーム”に「今でも覚えてる」

  • 2026.7.20
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。 

真夏にバスを利用すると、「涼しいなぁ」と感じることはありませんか?

暑さで汗だくになった体から汗が引くと、少し体力が回復したように感じることも少なくありません。

バスの運転士は、外気温に合わせて車内温度を調節しています。しかし、エアコン調整でクレームになることも・・・

今回は、猛暑日に起きた理不尽なクレームを紹介します。私は良かれと思っていたことが、裏目となったできごとで、思ってもいない理由により乗客からお叱りを受けたお話です。

実は寒い・・・真夏でも運転席は冬仕様⁉

16年ほど前、私は病院の送迎バスに乗務していました。体調不良の方も乗車するため、車内の温度には注意していました。

外気温との差が大きすぎると、逆に体調を崩す方もいます。そのため、「少し涼しい」と感じるくらいにエアコンを調整していました。

ところで、実は運転席が意外と寒いことをご存じでしょうか。

車内に足を踏み入れた乗客は涼しい、乗車中も適度な冷えを感じられる車内ですが、ずっと座っている運転士は少しずつ凍えます。特に、私のように冷え性の女性は、夏場でもひざ掛けを準備しており、「冬仕様の運転席」とよく言われたものです。

ずっと冷房の効いた運転席にいると、窓を開けたり乗降扉が開いたりしたときに入ってくる熱を帯びた熱気に心地よさを感じたものです。

車内トラブル発生!その理由とは・・・

手足の指先が冷え、寒さを感じつつも順調に進んでいた運行ですが、「おい!」と言った乗客の言葉が、突然車内に響きました。

運転に集中していた私は、後部の車内で何が起こったのか、全く理解できていませんでした。車内ミラーでも、特に目立った乗客の行動はなく、突然のことに驚きました。

運行を続けながら、耳を澄ましてみると「暑い!もっとこっちに風を向けろ!」と叫んでいることに気づきました。どうやら、冷房の風をめぐってトラブルになっているのようでした。

初めて聞くような乗客トラブルに、少し戸惑った私ですが、冷静を装って「どうかされましたか?」と車内に向けて問いかけました。しかし、乗客はそのまま「お前ばかり涼しい風を受けている!」と大きな声を上げ続けています。

ちょうどバス停に停車したため、私はサイドブレーキを引いて運転席を離れ、トラブルが起きている乗客のもとへ足を運びました。

他の乗客に話を聞くと、トラブルの原因は冷房の吹き出し口を巡った一方的な口論のようでした。座席に座った乗客は、下向きに風が出ているため快適だったものの、バスの冷房吹き出し口は、扇風機のように動くわけではありません。

そのため、立って乗車していた乗客は暑さを凌げず立腹していたようでした。

そんなトラブルを目の前に、私は「ここまで怒る人って初めてみた」というのが正直な感想です。

トラブルの仲裁と怒りの矛先

バス車内で起きた乗客同士のトラブルには、悪化を防ぐためにも運転士が無理に立ち入るべきではありません。しかし、状況によっては乗客同士の間に立ち、トラブルの悪化を回避する必要もあります。

どちらの方法を取るべきかは、運転士の判断にゆだねられますが、当時の私は仲裁に入ることを選びました。口論とはいえ、トラブルが起きたまま発車し、万が一、乗客がケガをしてしまったら…と考えたからです。

冷房の風向を少し変えることで乗客たちの了承を得て、幸いにもトラブルの悪化は防げました。私の話に聞く耳をもってくれたため、怒っていても話がわかる人なんだと心を撫でおろしました。

しかし、実はこのとき、怒りの矛先が変わっていたことに私は気づいていませんでした。

その男性が降車する際、私に一言訪ねてきました。

「なぜ冷房の風は循環していないのか」

一般的な自家用車ですら、冷房の循環は難しいものです。私が返答に困っていると、乗客は続けて私に問いただそうとしました。

私が座る運転席を見て「バスなんだから全体が涼しくなるようにしろ!自分ばかり寒いほど涼んでるなんて!」と、舌打ちしながら言い捨てました。

もちろん、若干の苛立ちを感じつつも私は「乗客が多いと車内に熱気がたまりやすく、通路は暑く感じられたかもしれません。申し訳ございません」と真摯に謝罪しました。

寒さ対策をしているのは、可能な限り車内を冷やしているからです。しかし、そんな背景を知らない乗客は、まだ続けて言い放ちます。

「そもそも風の出ている場所が少なすぎる!扇風機のように冷たい風はみんなが感じられるようになぜしない⁉」と、バスの仕様にまで怒りをあらわにしだしました。

バスの仕様は運転士の責任ではない!それでも謝罪が求められる運転士

バス会社に入った頃、教官から「運転士は非常に弱い立場。言い返せばトラブル、黙ってもトラブル。そのために乗客に対応できる力を身につけろ」と言われたことがありました。

バスの仕様は運転士の責任ではありません。しかし、トラブルの悪化を防ぐため、私は教官の言葉を思い出しながら謝罪を続けました。

しかし、「バスを作っているメーカーには、そういったお言葉を頂戴した旨、お伝えさせていただきます。」というと、乗客は降車していきました。

きっと、バスの仕様を私に言っても意味がないと悟ってくれたのでしょう。

それ以来、何度か乗務していている時に、その乗客と出会ったことがありましたが、冷房のことでお言葉をいただくことはありませんでした。

どんなときでも、運転士は言い返すことができません。そのため、理不尽なできごとは数多くあります。しかし、このときのトラブルは、今でも友人との話の話題にするほど、16年経った今でもはっきりと覚えているクレームの1つとなっています。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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