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「今晩は久しぶりに外食しようか」30階のタワマン夫婦が帰宅すると…29〜26階まで連鎖した"思わぬ事態"

  • 2026.7.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

「洗濯機を回している間に、ちょっと買い物へ行こう」

このように、家での待ち時間を有効に使いたいと考える方は多いでしょう。普段は何事もなく終わる家事です。しかし、もし洗濯機の排水ホースが外れたまま数時間にわたって水が流れ続けたらどうなるでしょうか。

今日は、30階建てタワーマンションで実際に起きた漏水事故をご紹介します。一見すると「よくある水漏れ」でしたが、“ある事情”によって発見が遅れ、被害は複数の住戸へと拡大。

タワーマンションならではの環境が被害を大きくした、思いもよらない漏水事故の実態です。

30階で起きた“ほんの少しの水漏れ”

これは、タワーマンションの入居者から直接聞いた事例です。ある日、30階に住む40代のAさんご夫婦は、洗濯機を回したまま買い物へ出かけました。

「今晩は久しぶりに外食しようか」
「帰りに駅前にできたカフェにも寄って帰ろう」

そんな会話を交わしながら外出したそうです。

ところが、その頃、自宅では大変なことが起きていました。その日に限って、洗濯機の排水ホースが外れてしまったのです。排水されるはずの水は床へ流れ続け、洗面室から廊下、リビングへと広がっていきました。もちろん家には誰もおらず、異変に気付きませんでした。

そして、この事故にはもう一つ、大きな不運が重なっていました。

下の階、そのまた下、そのさらに下まで“空室”だった

通常であれば、水はすぐ下の住戸へ染み出します。天井から水が落ちてくれば、下の住人が管理会社へ連絡し、比較的早い段階で原因が判明するケースがほとんどです。

しかし、このマンションでは29階、28階、27階がいずれも空室でした。売却中の住戸や長期間利用されていない部屋が続いていたため、漏水の発覚が大きく遅れてしまったのです。

水は天井裏や配管スペース、壁の内部を伝いながら階下へ流れ続けました。数時間後、26階の住人が天井から水が漏れていることに気付き、慌てた様子で管理会社へ連絡しました。

「天井から水が落ちてきています!」

管理会社は各階を順番に確認し、ようやく30階の住戸で大量の漏水が起きていることが判明したのです。その頃、外出先から戻ったAさんご夫婦は、自宅の惨状を目の当たりにしました。

「うわぁ!なにこれ!水浸しじゃない!」

奥様は思わず悲鳴を上げたそうです。

被害は26階まで拡大…修繕費は約1,000万円

被害は想像以上でした。30階だけではなく、29階から26階まで複数の住戸で、大規模な復旧工事が必要となりました。

主な工事内容は、以下のとおりです。

  • 天井のクロス(壁紙)の張り替え
  • 床材の交換
  • 建具の補修
  • 電気設備の点検・交換
  • 乾燥作業

工事は数ヶ月に及び、被害総額は約1,000万円に達したそうです。

さらに大変だったのは、お金だけではありませんでした。

被害を受けた複数の区分所有者(マンションの各住戸の所有者)への説明や謝罪をはじめ、管理会社との打ち合わせ、保険会社による事故調査、工事日程の調整、補償内容の確認など、多くの対応に追われることになったのです。

関係者が多かったこともあり、話し合いは長期間に及びました。

幸いにも、加入していた火災保険の水濡れ補償や個人賠償責任保険(他人に損害を与えた際の補償)が適用され、高額な修繕費の大部分は保険で対応できました。

それでも、免責金額(自己負担額)の支払いや各種手続き、近隣住民への謝罪や対応など、事故後もしばらく落ち着かない日々が続いたそうです。

タワーマンションなどの共同住宅では“漏水の発見”が遅れることもある

タワーマンションなどの共同住宅では、上下階に空室や長期不在の住戸があると、漏水などの異常が発見されるまで時間がかかる場合があります。

今回のような事故による被害を少しでも防ぐためには、日頃から次のような点を意識しておくことが大切です。

  • 洗濯機の排水ホースや給水ホースに緩みや劣化がないか定期的に確認する
  • 防水パンを設置し、万一の漏水に備える
  • 長時間外出する際は、できるだけ洗濯機を運転したままにしない

日常の家事が、思わぬ大規模事故につながることもあります。

だからこそ、「少しくらい大丈夫」という油断を避け、設備の点検や使い方を見直すとともに、万一に備えて保険の補償内容も確認しておくことが、自分の住まいだけでなく近隣住民を守ることにもつながるでしょう。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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