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「私らしく走り続ける」三浦愛がKYOJO CUPで描く女性ドライバーとモータースポーツの未来。

  • 2026.6.25
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全日本F3選手権で女性史上初のクラス優勝を成し遂げ、現在はチーム「AIWIN」を設立し、監督兼ドライバーとして活躍する三浦愛さんにインタビュー。「女性であることがコンプレックスだった」と語る彼女の、葛藤の乗り越え方や自分だけの輝き方を見つけた方法とは?未来に悩むガール世代へ贈るキャリアのヒントをたっぷりお届け。

三浦愛/12歳から本格的にカート競技をスタート。大学4年時にフォーミュラカーにステップアップし、全日本F3選手権において女性史上初となるクラス優勝という快挙を達成。現在は自身のレーシングチーム「AIWIN」を立ち上げ、監督兼ドライバーとして第一線で指揮を執りながら、誰もが身近に楽しめる“開かれたモータースポーツ”の実現を目指している。 Nakajima41 / Hearst Owned

物心ついたときからもっていたモータースポーツのDNA

ELLEgirl:今のご職業に就いたきっかけや理由を教えてください。

実家が自動車整備工場で、父親と兄が幼い頃からレースをやっていたことが一番の理由です。小学生の頃から、家族みんなで車に乗って全国各地のカート場を転々と移動するというスタイルが当たり前でした。私自身は最初から走っていたわけではなく、兄が出場するレースをピットから眺めている側だったんです。兄や周りの速い選手たちが、どんなライン取りをして、どんな風にスピードを乗せてコーナーを曲がっていくのかを、幼いながらにじっと観察していました。物心がついた時からレースがすぐ近くにある環境にいました。

ELLEgirl:「自分もレースを走りたい!」と思ったきっかけはありますか?

兄のレースをずっと見ている中で、子どもながらに「もっとこうやって走ればいいのに!」って自分なりに思うところがあったからなんです。自分は走ったことがないのに、兄に向かって「みんなはここのラインを通っているよ」なんてアドバイスをしていました。そうやって頭の中で描いていた理想の走りを、今度は自分自身の力で形にしてみたいと思ったのが原点ですね。

ELLEgirl:マシンのメカニズムにも興味があったそうですが、技術や知識はどのように身につけましたか?

実家が自動車整備工場ということもあり、現場では走り以外のメカニカルな部分にも興味を持っていました。ドライバーとしてのスキルはもちろんですが、車そのものの構造を知ることも大切だと思います。技術や知識に関しては、年齢を重ねていくにつれて熱心に勉強を重ねて身に付けていきました。どうすればもっと速く走れるかというドライビングテクニックの研究に加えて、車の細かな構造や工学的な仕組みも学生時代にしっかり学びました。

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「これが私の職業」と覚悟を決めた瞬間。女子1人の工学部からプロの道へ。

ELLEgirl:モータースポーツが自分の職業になると実感し始めたのはいつ頃ですか?

明確に意識が変わったのは、自分に大きなスポンサーがついてからです。大学4年生の時に、ありがたいことに本格的にスポンサーについていただくことが決まり、フォーミュラカーという大きなレーシングカーへとステップアップすることになりました。ここがプロとしての実感が湧いた一つのタイミングです。

ELLEgirl:当時、三浦さんのようにフォーミュラカーのレースに参戦する同世代の女性ドライバーは、周りにどのくらいいたのでしょうか?

ものすごく少なかったです。今のモータースポーツの環境とは全然違っていて、当時は女性がフォーミュラカーのレースにいるということ自体が、業界全体で珍しがられるような時代でした。でも、高校、大学と工学部に所属していてクラスの中で女子が私1人だけという状況だったので、そういった環境に身を置くこと自体は慣れていました。性別は関係なく、ただ「同じスポーツをして戦っているアスリートの集まり」として捉えていたので、男女の違いを特別に意識して悩むことは当時はありませんでした。

だからこそ、女性ドライバーが参戦する『KYOJO CUP』に初めて出場した時は、目の前に同じ立場で戦う女性たちがたくさんいて本当に新鮮でしたね。

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人生の形を作った3つの分岐点

ELLEgirl:これまでの道のりで、ターニングポイントとなった出来事を3つ教えてください。

1つ目は、高校生の時にヨーロッパへ渡って現地のレースに挑戦したことです。日本のレースにだけ参加していた頃は、周囲に女性が少なかったとはいえ、比較的上位をキープして走ることができていたんです。でも、ヨーロッパで待っていたのは世界の圧倒的な壁でした。思うような走りができず、予選落ちという悔しい経験もしました。世界のレベルを突きつけられたことで、「もっと世界で対等に戦いたい、誰よりも速く走りたい、もっと強くなりたい」というプロとしての強いハングリー精神が芽生えました。それが17歳の時で、まさにレーシングドライバーとしての土台や基礎を作り始めた、すべての始まりの瞬間でした。

2つ目は、全日本F3選手権で女性として初めて優勝を成し遂げたこと。全日本F3選手権というのは、最高峰のF1や日本国内のトップカテゴリーであるスーパーフォーミュラへと勝ち上がっていくための登竜門なんです。

ただ、F3は過酷なレースなので、周囲からは「女の子だし、体もどちらかと言えば小さい方だから、絶対に無理だろう」という冷ややかな声ばかり。そんな中、プレッシャーを跳ね除けて優勝を掴み取ることができました。女性ドライバーがF3で優勝したのは世界初だったこともあり、それまで「無理だ」と言っていた周囲の態度が一変しました。何においてもきちんと成果を出すことが自分にとっても周りにとってもいい影響を与えるんだなと感じました。

3つ目が、レーシングチーム「AIWIN」を自らの手で立ち上げたことです。チームを作ろうと決意したきっかけは、自分自身がこの先もレースを続けるべきか、ドライバーとしてのキャリアをここで一度やめるべきかという選択肢を迫られたことでした。悩んだ末に出た答えは「これまで自分をここまで育ててくれたモータースポーツの世界に、恩返しがしたい」ということ。自分が本当にやりたいことと、業界への恩返しを両立する方法を真剣に考えて、チームの設立へと踏み切りました。

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誰もが楽しめる“開かれたモータースポーツ”の世界を作りたいという想い

ELLEgirl:三浦さんが実現したかった理想のモータースポーツとはどんな姿だったのでしょうか?

メディアに取り上げられたり表舞台に出てきたりするのは、プロのトップレーサーたちばかりですよね。 ですが、レースの世界には趣味として心から楽しんでいるアマチュアドライバーの方たちもたくさんいます。私たちプロドライバーはそういった多くの人たちに支えてもらっているからこそ、サーキットで思い切りレースができているんです。だからこそ、チームとして誰にでもモータースポーツを楽しんでもらえるような場を提供したいと思いました。

あとは、何よりも未来を担う子どもたちに、サーキットを見て憧れや夢を抱いてもらえるような世界にしたいという想いがあります。モータースポーツってどうしても「ハードルが高い」という印象を持たれがちなんですよね。だから、そのハードルを私自身の手で下げられるような活動をして、誰もがもっと身近に感じられるような世界を作っていきたいと思っています。ただ、アットホームな場所だけではなく、勝負の世界である以上、勝つことや強いチームであり続けることはチームの方針として崩さない部分です。

ELLEgirl:その想いが芽生えたきっかけは何だったのでしょうか?

私自身、現在はメーカーに所属しレースに出場することができていますが、若い頃はメーカーに所属していませんでした。いわゆるバックボーンがなかったんです。それは、当時のオーディションを勝ち抜けなかったことが理由なんですが、この世界でバックボーンがないことは、勝つことが難しい、トップカテゴリーに行くことが難しいことを意味します。

でも、メーカーに入らなくてもプロを目指しているドライバーはたくさんいるし、そこに光る原石もたくさんいる。後ろ盾がない不安な気持ちがわかるから、そういう才能を開花できるチームにしたいんです。

同じく、子どもの頃に整った環境がなければレースを諦めざるを得ません。熱いパッションを燃やしている子どもたちがたくさんいても、スタートラインに立つ前から諦めてしまうのは、その子の人生においても、この業界においてももったいないこと。子どもたちが純粋にやりたいと思ったことを一緒に叶えたいんです。自分のやりたいことを押し付けるのではなくて、仲間のやりたいことをたくさん実現していきたいですね。

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心拍数180の世界。偏見や僻みは「気にしない」のが正解。

ELLEgirl:レーシングの世界で、性別が理由で壁を感じた瞬間はありますか? それを乗り越える方法があればあわせてお聞かせください。

まず、体力的には不利だと言わざるを得ません。レースでは座って車を運転しているだけのように見えて、実際は緊張で心拍数が150~180まで上がり、そのまま30分以上走り続けます。そう考えると、どうしても女性は体力的な面で男性と差が生まれてしまいますが、女性は女性なりのトレーニングを行ったり、体型に合わせた道具を使ったりと、工夫次第で差は極限まで埋められます。

性別を理由にした偏見や僻みを感じた経験もあります。OLとドライバーを両立していた頃は、半日仕事をした後にトレーニングという生活だったので、同じ会社の人から「他の人が働いたお金をレースに使ってる」と言われたこともありました。

そういった逆境を乗り越える秘訣は、気にしないこと。自分が一番やりたいことだから、気にせずに走り続けようって思いました。自分に対してネガティブな感情を向けてくる人に時間を使うのはもったいないです。自分を応援して、大切に思ってくれる人たちのために頑張ろうって思うと自然と気にならなくなりました。

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ELLEgirl:三浦さんが思う、モータースポーツの楽しさを教えてください。

レースで勝った時の高揚感、達成感は何事にも代えがたい楽しさです。チームにはいろいろな人がいるのでアプローチの仕方も多様ですが、速く走ることや優勝することを全員が目指して頑張る過程がとても好きです。途中で喧嘩もすることもあるけれど、みんなが少しでもチームを良くしようと思った上での衝突は楽しいなといつも思ってます(笑)。

これからはチームとしての実績をどんどん作っていきたいです。可能性を秘めた選手がたくさんいるので、監督としてもレーサーとしても“史上初”を全員で作っていくことが楽しみです。

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24時間スケジュール&働くガールのマストアイテム

ELLEgirl:レースがある日のスケジュールを教えてください!
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ELLEgirl:お仕事バッグを見せてください!
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私のバッグ選びは「いつでもどこでも仕事ができて、そのまま出張に行けること」が鉄則。イニシャル入りのポーチや「AIWIN」ストラップのついたウォレットを愛用しています。

ELLEgirl:気合いを入れるためのマストアイテムはありますか?
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レースではヘルメットを被ってヘアが崩れてしまうので、持ち歩き可能な「リファ」のコードレスアイロンとコームが相棒。「ロレッタ」のヘアバームも愛用しています。チームの戦略をまとめたりレースの記録をとるノートも持っていると気合いが入ります。キッズにもらった手作りのブレスレットもお守り的な存在として持ち歩いています。

ガール世代へ贈るメッセージ。ありのままの自分らしさを輝かせて!

ELLEgirl:最後に、将来に悩む読者へメッセージをお願いします!

私は男性が多い世界で生きてきて、女性であることが自分の中ですごくコンプレックスでした。「男性だったら良かったな」って思いながら生きてる時間が長かったけれど、こうしてKYOJOを通していろんな女性と出会って、いろいろな生き方があることを知りました。

自分が輝ける生き方は人それぞれだから、自分らしさを隠したり抑えたりする必要は全然ないなって思います。ありのままに、自分らしく生きることで周りにいる人たちにいい影響を与えられるんです。だからELLEgirl読者の皆さんには、自分が輝ける場所を選んでほしいです。

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