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子どもの熱中症対策、暑い日だけでは不十分?クリニック院長の中澤先生にお伺いしました

  • 2026.6.20

子どもが熱中症にならないためには、どんなことに気を付ければいい?事前に準備ができたり、予防できたりする方法はある?毎日の暮らしで気を付けることは?そんな悩みについて、なかざわ腎泌尿器科クリニック院長、中澤佑介先生にお答えいただきました。

ママ広場

夏の暑さが年々厳しくなり、子どもの熱中症対策に不安を感じているご家庭も多いのではないでしょうか。
熱中症は、炎天下で激しい運動をしたときだけに起こるものではありません。湿度が高い日、急に暑くなった日、風通しの悪い室内、車内などでも起こります。特に子どもは、大人よりも暑さの影響を受けやすく、自分の体調の変化をうまく伝えられないこともあります。
だからこそ、熱中症対策は「暑くなってから慌ててするもの」ではなく、日常生活の中で少しずつ準備しておくことが大切です。
この記事では、乳幼児から中高生までの子どもを持つ保護者の方に向けて、家庭でできる熱中症対策、水分補給のコツ、部活動や屋外学習がある日の備え、受診の目安についてわかりやすく解説します。

子どもはなぜ熱中症になりやすい?

子どもは大人に比べて体温調節がまだ十分に発達していません。また、身長が低いため、地面からの照り返しの影響を受けやすいという特徴があります。大人が感じている以上に、子どものいる高さでは暑くなっていることがあります。
さらに、遊びや運動に夢中になると、のどの渇きや体調不良に気づくのが遅れることもあります。乳幼児の場合は、自分で「暑い」「気持ち悪い」「休みたい」と伝えることが難しいため、周囲の大人の見守りが欠かせません。
顔が赤い、汗を大量にかいている、元気がない、機嫌が悪い、ぼーっとしているなど、いつもと違う様子があれば注意が必要です。

まずは「暑さ指数」をチェックしよう

熱中症対策では、気温だけでなく「暑さ指数」を確認することが大切です。暑さ指数はWBGTとも呼ばれ、気温だけでなく、湿度、日差し、照り返し、風の影響などを合わせて、熱中症の危険度を示す指標です。
たとえば、気温がそれほど高く見えなくても、湿度が高い日は汗が蒸発しにくく、体に熱がこもりやすくなります。そのため「今日は曇っているから大丈夫」と油断するのは危険です。
環境省の「熱中症予防情報サイト」では、地域ごとの暑さ指数を確認できます。外遊び、登下校、部活動、屋外学習、レジャーの予定がある日は、天気予報とあわせて暑さ指数も見ておくと安心です。
日本スポーツ協会の指針では、暑さ指数が31以上の場合は「運動は原則中止」とされ、特に子どもの運動は中止すべきとされています。暑さ指数が高い日は、予定を変更する、屋内で過ごす、活動時間を短くするなどの判断が必要です。

水分補給は「のどが渇く前」に

熱中症予防の基本は水分補給です。ただし、のどが渇いてから飲むのではなく、のどが渇く前に少しずつ飲むことが大切です。
子どもには、登校前、外遊びの前、運動の前、休憩中、帰宅後など、飲むタイミングを決めておくと習慣にしやすくなります。「休み時間ごとに飲む」「外に出る前にひと口飲む」など、具体的に伝えると実行しやすくなります。
日常生活や短時間の外出であれば、水や麦茶などでよいことが多いです。一方で、長時間の運動や大量に汗をかく活動では、水分と一緒に塩分も失われます。そのような日は、食事や補食、必要に応じて塩分を含む飲み物を取り入れることもあります。
ただし、スポーツドリンクや経口補水液を常に飲ませればよい、というわけではありません。これらには糖分や塩分が含まれているため、活動量や汗の量に合わせて使うことが大切です。持病があるお子さん、食事制限があるお子さんは、主治医に相談しておくと安心です。

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「暑熱順化」は暑さに少しずつ慣れること

最近、「暑熱順化」という言葉を耳にすることが増えました。暑熱順化とは、体が暑さに慣れていくことです。
暑くなり始めの時期や、急に気温が上がった日は、体がまだ暑さに慣れていないため、熱中症のリスクが高くなります。暑熱順化には個人差がありますが、数日から2週間ほどかかるとされています。
家庭でできる暑熱順化は、特別な運動ではありません。涼しい時間帯に親子で散歩をする、軽く体を動かして汗をかく、無理のない範囲で湯船につかるなど、日常生活の中で少しずつ体を暑さに慣らしていきます。
大切なのは、いきなり暑い場所で長時間過ごさないことです。乳幼児に「暑さに慣れさせるため」といって、暑い場所に長くいさせる必要はありません。短時間の外遊びや、室内で体を動かす遊びから始めましょう。
小学生以上でも、いきなり炎天下で長時間運動するのではなく、短い時間から始め、休憩と水分補給を必ずセットにします。寝不足の日、食事が十分に取れていない日、体調が悪い日は、熱中症になりやすいため無理をしないことが大切です。

部活動や屋外学習がある日は、家庭での準備が大切

中高生になると、部活動や体育祭の練習、屋外学習など、保護者がその場で見守れない場面も増えてきます。だからこそ、家庭での事前準備が重要です。
まず大切なのは、前日の睡眠と当日の朝食です。寝不足や朝食抜きは、熱中症のリスクを高めます。暑い時期の部活動や屋外活動の前日は、夜更かしを避け、朝食をきちんと取ってから出かけるようにしましょう。
持ち物としては、十分な量の飲み物、汗ふきタオル、帽子、着替え、冷却用のタオルや保冷剤などが役立ちます。学校やチームに対して、暑さ指数が高い日の活動方針、休憩の取り方、体調不良時の連絡方法を確認しておくことも大切です。
また、子ども本人にも「無理をしないこと」を伝えておきましょう。まじめな子ほど、練習を休むことや途中で抜けることに罪悪感を持ってしまうことがあります。
「頭が痛い」「気持ち悪い」「足がつる」「ふらふらする」「いつもよりしんどい」と感じたら、すぐ大人に言ってよいことを、家庭で繰り返し伝えておきましょう。体調を伝えることは、わがままではなく、自分の命を守る大切な行動です。

年代別に気をつけたいポイント

乳幼児は、自分で水分を取ったり、服の調整ができません。ベビーカーは地面に近く、照り返しの影響を受けやすいため、保護者がこまめに様子を見る必要があります。短時間でも車内に子どもを残すことは非常に危険です。
小学生は、遊びに夢中になりやすく、のどが渇いていても飲むのを忘れることがあります。外遊びの前に「何分遊んだら水分を取る」と約束しておくとよいでしょう。
中高生は、部活動や行事などで活動量が増えます。本人が「これくらい大丈夫」と思っていても、寝不足や体調不良が重なると熱中症のリスクは高くなります。体調を我慢しないこと、暑さ指数を確認すること、休憩を取ることを日頃から話しておきましょう。

こんな症状があれば早めに対応を

熱中症が疑われるときは、まず涼しい場所へ移動します。衣服をゆるめ、首、わきの下、足の付け根などを冷やしましょう。意識がはっきりしていて、吐き気がなく、自分で飲める場合は、水分と塩分を補給します。
一方で、次のような症状がある場合は危険なサインです。
呼びかけへの反応がおかしい、意識がぼんやりしている、けいれんがある、まっすぐ歩けない、自分で水分を飲めない、嘔吐を繰り返す、体がとても熱い。このような場合は、無理に水分を飲ませず、すぐに医療機関を受診するか、救急要請を検討してください。
「少し休めば大丈夫」と様子を見すぎると、重症化することがあります。判断に迷うときは、医療機関や救急相談を利用しましょう。

毎日の小さな習慣が子どもを守る

子どもの熱中症対策は、特別なことをするよりも、日常の小さな習慣を積み重ねることが大切です。
暑さ指数を確認する。のどが渇く前に飲む。外に出る時間を工夫する。休憩を予定に入れる。暑さに少しずつ慣れる。寝不足や体調不良の日は無理をしない。
こうした対策を家庭で続けることで、熱中症のリスクを減らすことができます。
また、学校や部活動、習い事などで不安がある場合は、家庭だけで抱え込まず、先生や指導者に相談しましょう。子ども自身が「つらい」と言いやすい環境をつくることも、熱中症予防の大切な一歩です。
暑い季節を安全に過ごすために、親子で「暑い日の過ごし方」を話し合ってみてください。日々の備えが、子どもの体と命を守ることにつながります。

執筆者

プロフィールイメージ
中澤佑介
中澤佑介

なかざわ腎泌尿器科クリニック院長

[プロフィール]
【資格】金沢医科大学 医学博士、日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医
2003年 京都府洛南高等学校 卒業
2012年 金沢医科大学 医学部医学科 卒業
2012年 金沢医科大学 氷見市民病院 初期臨床研修医
2014年 金沢医科大学 泌尿器科学 助教
2019年 金沢医科大学 大学院 博士課程修了
2021年 誠美会 池田クリニック(非常勤)
2021年 なかざわ腎泌尿器科クリニック 院長
2023年6月 JR金沢駅前にメンズヘルスクリニック(Gran Clinic)を開院。
2024年9月 JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニックを開院。
※Gran Clinicは自由診療部門Granとして併設

患者さんに近い立場で専門的治療を提供したいという想いから、クリニックを開設。男性だでけなく、女性にも身近な泌尿器科クリニックを目指しています。

なかざわ腎泌尿器科クリニック

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