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“肩の痛み”を訴える60代母→「ただの五十肩」と思いきや…医師に告げられた“診察結果”に、娘「早く病院へ行けばよかった…」

  • 2026.7.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

 

みなさまこんにちは。あらゆる病気をお持ちの患者さまを日々安全にお守りしている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「ただの五十肩でしょ」と、実家で肩の痛みを訴える60代の母に対し、市販の湿布でやり過ごしていた40代の娘さん。

しかし数週間後、母は寝返りすら打てない激痛に襲われます。慌てて受診した結果は「リウマチ性多発筋痛症」。幸いステロイド薬による適切な治療で元の生活に戻れましたが、娘さんは「老化と決めつけずもっと早く病院へ行けばよかった」と後悔を口にしています。

なぜ、五十肩だと思っていた痛みがこれほどの事態を招いたのでしょうか。今回は、親に起こった「見逃してはいけない激痛」について解説します。

「リウマチ性多発筋痛症」は体幹近くの大きな関節周囲で起きる激しい炎症

なぜただの肩の痛みが、全身を動かせなくするほどの事態を招くのでしょうか。この「リウマチ性多発筋痛症」は、以下のようなメカニズムで進行します。

【全身が動かせなくなるフロー】

  1. 免疫の異変:加齢などをきっかけに、体内の免疫システムに何らかの異変が発生します。
  2. 激しい炎症の広がり:本来は関節の滑らかな動きを助ける肩や股関節などの「体幹に近い大関節」の周囲で、制御不能な激しい炎症が一気に広がります。
  3. 動作の困難:この強力な炎症によって筋肉や大関節の周囲が固まり、起き上がる、寝返りを打つといった日常動作が、激痛を伴い非常に困難になります。

「年齢のせい」という油断と、重大な合併症の境界線

「歳をとれば誰だってあちこち痛むもの」「老化に伴うちょっとした痛みに毎回付き合ってはいられない」。

ご自身の家庭や仕事で懸命に毎日を生きる皆さんが、高齢の親の訴える痛みを「いつものこと」とやり過ごし、市販の湿布で対応しようとしてしまったというのは、珍しい話ではありません。

しかし、今回ぜひお伝えしたい「特徴」があります。この病気は五十肩とは異なり、両側の肩や太ももといった大きな関節の周囲で、同時に対称的な激しい痛みが起こるのが特徴です。

さらに注意すべきなのは、この病気に「巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)」という血管の重大な炎症を合併することがある点です。これを放置すると、こめかみの激しい頭痛だけでなく、眼の動脈の炎症による「視力障害(失明)」など、取り返しのつかない事態を招きかねません。

重症化する前に、確認すべき3つのサイン

痛みがただの老化なのか、急いで専門医を受診すべきリウマチ性多発筋痛症なのかを見分けるために、以下の3つのサインを確認してください。

1. 両側の肩や太ももが「急激に・同時に・対称的に」痛む

五十肩は片側から徐々に痛むことが多いですが、この病気は両肩や両太ももが一気に、同時に動かせなくなるほど痛むことがあります。

2. 起床時に体が硬く強張る「朝のこわばり」がある

朝起きたときに体が動かしにくく、体を動かさずにじっとしているとさらに痛みが強くなる特徴があります。

3. 痛みのほかに「微熱や全身のだるさ」を伴う

ただの五十肩では熱は出ませんが、全身の激しい炎症を反映して、微熱や強い疲労感、食欲不振などが同時に出ることがあります。

加齢による変化の中に潜む病気にご注意を

「きっと加齢に伴う痛みだから、病院に行けば湿布をもらうだけだろう」。そんな思いから自身の親を病院へ連れて行くのをためらってしまうお気持ちは、よく分かります。多くの場合、加齢による変化というのも事実です。油断してしまうのは仕方のないことです。

しかしこの病気は、適切な薬物治療(主にステロイド薬)によって速やかな改善が見込まれます。長期的な服用と副作用の管理が必要になるため、治療の第一歩としてまずは「両肩を同時に痛がるといった特徴的な症状があれば、リウマチ科や膠原病内科へ」と覚えておきましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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