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『からかい上手の高木さん』山本崇一朗の最新作『マネマネにちにち』ってどんな話? 野球部マネージャー3人の日常と、時々ラブコメがかわいすぎる【書評】

  • 2026.6.20

【漫画】本編を読む

高校野球といえば高校生の青春を代表するジャンルだ。高校野球を題材にしたマンガも星の数ほどある。ただ、本記事で紹介するのは野球部マネージャーたちの青春マンガである。

それが、おもしれー女子高校生たちの“日日是好日”(にちにちこれこうじつ)を描く『マネマネにちにち』(山本崇一朗/小学館)である。主人公は野球部の1年生マネージャー三人。彼女たちがマネージャーになった理由は三者三様だ。まず見た目はギャルの一ノ瀬かりなは、かなりの野球好き。また姫宮ユキは彼氏が野球部員であった(過去形)。そして渚茜。彼女は野球に詳しくなく、ただ“モテそう”という理由でマネージャーになったという。この三人の日常を『からかい上手の高木さん』(小学館)や『それでも歩は寄せてくる』(講談社)などの名作青春マンガを世に送り出した・山本崇一朗が描く。

本作は「山本作品といえば」という優しい空気感、思わずクスっとしてしまう絶妙な間、そしてキャラクターの多彩な表情が魅力だ。未読の方はぜひ読んでほしいが、渚と同じく野球に詳しくなくても問題はないのでご安心を。なお、単行本は「ゲッサン」本誌掲載時のカラーページをそのまま楽しめる豪華仕様であることも記しておく。

また、山本氏原作のアニメ作品で主人公役を務めた高橋李依、中村カンナ、夏吉ゆうこらが出演している本作のボイスコミックがYouTubeで公開中だ。こちらも併せておすすめしたい。

■「野球部員に優しいギャル」「ゆるふわなオトナ女子」「モテたすぎるおもしれー女子高生」彼女たちの賑やかなマネージャー物語

舞台はとある高校の硬式野球部。そこで一ノ瀬、姫宮、渚はマネージャー仕事をがんばる毎日だ。ボールを磨き……ながら「モテ」について語りあったり、ドリンクを用意して……オリジナル味の生成にいそしんだり、部室を掃除して……いたらエッチな本を発見しちゃったり。こう書くとまじめにやっていないようだが本人たちは真剣である。野球好きな一ノ瀬が二人を引っぱるわけではなく、基本的にマイペースな渚がかき回して、そこに二人がツッコミを入れていく展開だ。また、過去現在にわたって彼氏もいる姫宮の放つ“オトナ”なフレーズに、何のことだか分かっていない渚がトボケて、純情な一ノ瀬が大照れ、というパターンも結構多い。

一ノ瀬かりなは一見するとギャルだ。だが純粋に野球が大好きで詳しい。ルックスは中学生の時から筋金入りのギャルで、派手そうに思えるが言動はちゃんとしている。キツそうに見えつつも、他人に気を使いすぎるタイプで押しに弱くだいぶチョロい。渚には「ギャルがまともだと5割増しになってズルい」といわれている。なお恋バナには疎く、よく姫宮にドキドキさせられている。顔も性格も、おまけにスタイルも良く広い額もかわいい。

謎多き少女が姫宮ユキ。ゆるふわ小動物系のルックスだが、実はかなり“オトナ”のようで結構な頻度で恋人が入れ替わっているようだ。入部時の野球部の彼氏とは別れて、部内の別の男子と付き合いだした。たまに言動がいかがわしく、本気か嘘か分からないド級の発言をして驚かせてくる。ぱっつん前髪がトレードマーク。

そして渚茜。「モテそうだったからマネージャーになった」「モテたい」をことあるごとに口にするおもしれー女子高校生。一ノ瀬と姫宮を巻き込み、やりたいようにやりたいことをやろうとする。様子のおかしいところはあるけれど、マネージャー仕事はしっかりこなす。自己評価が高く少し(だいぶ?)“天然”。おでこは半分前髪で隠れている。

そんな渚は野球部員たちも振り回す。1年生部員である烏丸は彼女の幼馴染で、気の置けない仲だ。生真面目で硬派な彼は、おもしれー渚にいちいちツッコミはしないものの何だかんだと気にしている。二人が絡むと「天真爛漫」vs.「純情男子」のじれったさ抜群の空気になる。この絶妙なラブコメの匙加減にも注目してほしい。

■気楽に笑えてときにはぐっとくる、三人娘の最高の“にちにち”

楽しげでどこにでもありそうな日常を過ごす三人娘だが、本作は決してマンネリに陥らない。なぜなら時間が少しずつ前へ進んでいくからだ。マネージャーとして出会った三人は、グラウンド脇で一緒にテスト勉強をするようになる。制服も衣替えされる。中間と期末のテストの間には「全国高等学校野球選手権地方大会」、いわゆる“甲子園”への出場権を得るための公式戦が始まるのだ。マネージャーたちはお守りを作り、組み合わせ抽選会に向けて“部内最強運者”を決めるじゃんけん大会を開く。はたして野球部の運命は……。とはいえ、本作はあくまでグラウンドサイドにある渚たちの日常を描く物語だ。迎える高校最初の夏休み、三人は部活も遊びも全力で楽しむ。

たった一度きりの高校生活。その尊い時間は、当たり前の日常であり二度はない。だからこそ、何気ない出来事のひとつひとつが愛おしい。「マネマネにちにち」というタイトルには、作品のキャッチコピーにも使われている「どんな日もかけがえのない一日である」という意味の“日日是好日”の精神が込められているのだろう。

毎回三人娘は最高の“にちにち”を更新していく。気楽に笑えてときにはぐっとくる、彼女たちの“好日”をぜひ楽しんでほしい。

文=古林恭

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