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時代劇より恋愛ドラマ?【認知症グレーゾーンの脳に効く刺激】とは? Uターンした人の習慣

  • 2026.6.16

時代劇より恋愛ドラマ?【認知症グレーゾーンの脳に効く刺激】とは? Uターンした人の習慣

健常な脳と認知症の間にある「グレーゾーン」。この時期の過ごし方次第で、認知症への進行を抑えられる可能性があるといいます。実際に“Uターン”を果たした人たちが実践している、楽しみながら脳を元気にする習慣をご紹介します。

お話を伺ったのは
朝田 隆さん 認知症専門医

あさだ・たかし●筑波大学名誉教授、東京科学大学客員教授、認知症の早期発見と早期治療に特化した「メモリークリニックお茶の水」院長。
認知症予防と治療の研究・臨床の第一人者。
著書に『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』(アスコム)他多数。

グレーゾーンからUターンした人がやっていること

やっていること⑦ ドラマを見るなら時代劇より恋愛もの

一話で完結する時代劇や刑事ドラマは前話のストーリーを覚えておく必要がなく、気軽に見ることができる。だが、脳への刺激を求めるなら、展開の読めない恋愛ドラマにチャンネルを合わせるのが正解だ。

「週ごとに物語が展開するドラマは、話を記憶しておく必要があり、さらに感情が大きく動かされることも多い。安心して見られる時代劇もいいですが、恋愛ドラマを見て『この二人はどうなるの?』とハラハラドキドキすることは脳へのいい刺激に。たとえそれがドラマの中の疑似恋愛であっても、ときめきは脳と体を活性化させる力をもっています」

やっていること⑧ 夢中の推しがいる

脳を活性化する三大ホルモン「ドーパミン」「オキシトシン」「セロトニン」。これらの脳内ホルモンをあふれるほど分泌させるのが「恋愛」だが、ハードルが高い人もいる。そこでおすすめなのが「推し活」。

「イケメンの韓国人俳優さんにハマった患者さんは、韓国への推し旅や、ファン仲間との交流を楽しむようになってから、イキイキとした表情を取り戻しました。ときめく気持ちを持ち続けましょう」

やっていること⑨ リフレッシュは瞑想より塗り絵

「瞑想」には、脳を活性化する働きがあると言われている。

「しかし、心を無にしようとしてもすぐに雑念がわいてきて、かえって落ち着かなくなってしまうこともありますよね。それよりも、簡単に集中できてリラックスできるのが『塗り絵』です。指先を細かく動かす動作は、脳の前頭葉にある運動野の働きを高め、脳全体の血流をよくしてくれます。それだけでなく、『どこから塗ろうか』『何色にしようか』と全体を観察し、色を塗る順序を決めることでも、脳は活性化されます。色を重ねることに集中していると、いつの間にか余計な考えが消え、瞑想状態になりますよ」

やっていること⑩ ほめられるより人をほめることが多い

誰かにほめられるとうれしいものだが、実は「ほめる」ことのほうが、脳にとってはいいトレーニングになる。

「相手を心からほめるためには、その人のいいところを見つけるため、しっかり観察しなければなりません。そのプロセスが脳の活性化につながるわけです」

人をほめることで脳からは幸せホルモンの「オキシトシン」が分泌され、幸福感が得られることもわかっている。

「仏教で言う『お布施』のように、相手に喜びを与えることで、巡り巡って自分の心も満たされる。人をほめることは、自分の心を満たし、良好な人間関係を築くための素敵な習慣と言えるでしょう」

やっていること⑪ 脳トレをするならクロスワードより麻雀

一人で解くクロスワードパズルも脳トレには効果があるが、グレーゾーンからのUターンという点では、「対人ゲーム」に軍配が上がる。

「麻雀は相手の表情や手牌を読み、駆け引きを楽しむゲーム。こういった人対人で行う勝負事は、前頭葉への刺激も大きく、脳内ホルモンの分泌も増加。脳全体の活性化に大変有効なんです」

また、役を覚え、指先を使う麻雀は、脳の若返りに適している。

「特に女性の場合、これまであまりなじみのなかった麻雀の世界に飛び込んでみることが、脳にとって絶好のスパイスになります。未知の体験や異文化への好奇心こそが、脳を元気にしてくれるのです」

やっていること⑫ 創作料理や新メニューに挑戦している

「クリニックに通う女性の方は、70歳を過ぎた頃から料理の手際が悪くなり、お孫さんが遊びに来ても手料理でもてなすのをやめ、外食ですませることが増えたと言います。そんなとき、娘さんに誘われて料理教室へ。そこで習った創作料理の自由さに衝撃を受け、料理に対する意欲が復活。楽しく台所に立てるようになったそうです」

これまで当たり前のようにできていた料理が、徐々に面倒くさくなるのは、認知症グレーゾーンの代表的な特徴のひとつだ。逆に言えば、脳をフル稼働させる料理は、最高の脳トレとも言える。

「新しいレシピを試したり、食べたことのない味に出合ったりすることは、脳に新鮮な驚きを与えます。彼女が認知症グレーゾーンからUターンできたのは、娘さんのアプローチのおかげですね」

Uターンするために家族ができることは?

「親の様子がおかしい」「認知症グレーゾーンかもしれない」と気づいたとき、家族の前向きな対応がUターンの助けになると、朝田さんは話す。とはいえ、認知機能が低下すると失敗や間違いが増えるため、家族がイライラしたり、戸惑う場面も増えるだろう。「そんなときは、『これは病気の症状なんだ』と一歩引いて捉え、正面から責めたり、否定しないでほしいのです。『なんで?』『どうして?』と理屈で追い詰めるのもNG。本人のプライドが傷つき、心を閉ざしてしまう可能性がありますから」。きつく当たってしまった家族の側も、自己嫌悪に陥ることが多いという。「叱る代わりに、よかったところを見つけて『ほめる』ようにしてみてください。ほめられれば脳は喜び、意欲を取り戻します。リスペクトと愛情をもって接することは、相手の尊厳を守るだけでなく、家族自身の心を守ることにもつながるのです」(朝田さん)

イラスト/福場さおり 取材・文/恩田貴子

※この記事は「ゆうゆう」2026年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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