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なぜ私は、預かった同僚の恋も、彼の昇進も、軽く扱ってしまったのか

  • 2026.6.16
ハウコレ

机に積んだままの書類が、その日はいつもより重たく感じました。指先で同じ行を二度なぞるばかりで、なかなか前へ進みませんでした。前の日に交わした短いやりとりが、頭の隅に引っかかっていたからです。それが誰かの立場まで揺らすことになるとは、思ってもいませんでした。

「うちらの仲じゃん」と、私が聞き出した秘密でした

その秘密は、私が聞き出したものでした。同僚が誰かと付き合っているらしいと感づいて、私は給湯室で問いかけました。「気になる人がいるんでしょ。うちらの仲じゃん、誰にも言わないからさ」。彼女は何度かはぐらかしていました。それでも私が引かずにいると、ためらいながら打ち明けてくれました。

「実は、同じ職場の人と付き合ってるの。ここだけの話にしてね」。私は、もちろん、とうなずきました。相手が、昇進の話が出ている人だということも、このとき聞きました。けれどそのときの私は、秘密の重さより、打ち明けてもらえた距離の近さに満足していたのだと思います。

二日後、私の軽さが彼の立場まで揺らしていました

先輩に詳しく話したつもりはありませんでした。ただ、否定しなかったというだけです。けれど確信を持った先輩が別の人に伝え、その人がまた別の人へと広げていきました。

二日後、仕事のチャットはその話で持ちきりでした。しかも話は、おめでとうでは終わりませんでした。上司が彼を異動させるのではないか、昇進も消えるのではないか。当人のいないところで、そんな憶測まで並んでいました。私はようやく、自分のしたことの大きさを知りました。彼女が守ろうとしていたのは、二人の時間だけではなかったのです。

問い詰められて、私は開き直ってしまいました

昼休みに呼び止められたとき、私は手元の書類に目を落としたままでした。彼女は声を抑えて、「あなたにしか話してないのに、なんでみんな知ってるの」と、それだけを聞いてきました。

けれど私の口から出たのは、謝罪ではなく「隠してたつもり?正直、みんな薄々気づいてたよ」です。自分のしたことを認めるのが怖くて、相手の心配のせいにしてしまったのです。彼女はそれ以上は問わず、その場を離れていきました。遠ざかる足音を聞きながらも、私は書類から目を上げられませんでした。本当は、ごめんのひとことで済む話でした。それが言えなかったのは、聞き出しておきながら守れなかった自分から、目をそらしたかったからだと思います。

そして...

あの一件のあと、私は彼女に謝りました。返事はそっけないもので、それで終わりでした。許してもらえると思っていたこと自体が、甘えだったのだと思います。私が秘密を漏らしたことは、いつのまにか職場中に知れわたっていました。今度は、当人のいないところで噂されるのは私のほうでした。「あの人には話さないほうがいい」。はっきり言われなくても、向けられる視線でわかります。何かを打ち明けてくれる人も、軽い相談を持ちかけてくれる人も、気づけば一人もいなくなっていました。

打ち明けてもらえた近さに甘えて、その重さを軽く扱った私に、同じ軽さが返ってきただけのことです。机の上の書類は、あの日から、ずっと私の前に積まれたままになっています。

(20代女性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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