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退職金2,000万を受け取り→残高1,000万の住宅ローンを完済するが…3年後、60代夫婦を待ち受けていた“思わぬ事態”

  • 2026.7.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元銀行員の金融ライター・池田です。

退職金の使い道として、「住宅ローンの完済」を考えている人も多いのではないでしょうか。

利息負担を軽減できることはもちろん、“ローンがなくなった”という安心感も大きいですよね。

しかし、退職金をローン返済に充てる場合、重要となるのは手元資金とのバランスです。

今回は、退職金で住宅ローンを完済したものの、3年後に思わぬ事態に直面した男性の事例を紹介します。

退職金2,000万円で住宅ローンを完済した男性

62歳の男性・Aさん(仮名)は、長年勤めていた会社を退職することになりました。

Aさんは退職金で住宅ローンを完済すると決めていたため、残高1,000万円を一括で返済。

Aさん夫婦には退職金のほかに約300万円の貯蓄もあり、普通預金の残高は退職金の残りと合わせて1,300万円ほどになりました。

「退職金は半分になってしまいましたが、それでもまだ1,300万円残っている。毎月の返済がなくなり、生活も楽になるだろうと思っていました」

Aさんは当時をそう振り返ります。

生活費、自宅の修繕費、家電買い換えなどの出費がかさむ日々…

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

同い年のAさん夫婦は、それぞれ65歳で年金受給を開始する予定です。

そのため、Aさんが退職してから年金受給開始までの3年間は、貯蓄を切り崩して生活することになりました。

毎月の生活費は約25万円、3年間で約900万円に。

さらに追い打ちをかけたのが、予定外の突発的な出費でした。退職後すぐに自宅の雨漏りが見つかり、急きょ外壁塗装や屋根の修繕(約150万円)が必要になったほか、同時期にエアコンや冷蔵庫などの大型家電が相次いで故障。

固定資産税などの支払いも重なり、出費がかさみます。 そして3年後、1,300万円あった普通預金の残高は180万円ほどになっていました。

「こんなペースでお金が減っていくなんて…」

Aさんは厳しい現実に直面し、老後資金への不安からアルバイトとして働くことを決意。

今後は年金を受け取りながら収入を得て、貯蓄を維持するよう努めることにしたそうです。

ローン返済は手元資金とのバランスもチェック

住宅ローンの完済は「金利負担をなくす」という最大のメリットがありますが、以下の2つのポイントを見落とすと、後々大きな後悔につながる可能性があります。

  • 団体信用生命保険(団信)の喪失 住宅ローンには、契約者に万が一のことがあった際にローン残高がゼロになる「団信」が付帯しています。完済するとこの強力な生命保険が消滅するため、60代という病気のリスクが高まる時期に、万が一の備えを失うことになります。「低金利で借りられているなら、団信を生命保険代わりとしてあえてローンを残し、手元に現金を置いておく」というのも賢い選択肢です。
  • 住宅ローン控除の残存期間 もし住宅ローン控除の適用期間が残っている場合、一括返済することでその後の税制優遇が受けられなくなります。退職後も再雇用などで一定の収入(所得)が見込まれる場合は、控除期間が終了するのを待ってから完済した方が、トータルの収支でお得になるケースがあります。

「一括完済」か「一部繰り上げ」か、あるいは「あえて返済せず手元に現金を残す」べきか。目先の安心感だけでなく、団信の価値や税制メリットも含めて総合的にシミュレーションしましょう。

今回、Aさんは退職後の家計収支・支出を具体的に見積もっていなかったことで、貯蓄を切り崩すペースに不安を感じてしまいました。手元資金をいくら残すべきであるかは世帯差が大きく、年金の受給開始時期や年金額のほか、退職金以外の貯蓄額、まとまった支出の有無によっても異なります。

たとえば退職後すぐに年金を受給する場合、年金額によってはAさん夫婦が手元に残した「1,300万円」の貯蓄を維持できるケースもあるでしょう。

また、手元資金とのバランスを考えて、ローン残債の一部のみを繰り上げ返済するという方法も1つです。退職金で住宅ローンの繰り上げ返済をするかどうかは、年金額や老後の支出を踏まえたうえで慎重に判断しましょう。


監修・執筆:元銀行員・ikebu

元銀行員の金融・法律ライター。一種外務員資格(証券外務員一種)、行政書士資格を保有。大学では法学部・法律学科に在籍し、卒業後は地方銀行に入行。個人リテール業務において、投資信託・生命保険商品の販売を中心とする資産運用のサポートのほか、住宅ローンや相続などの幅広い業務に携わる。法人営業では、事業性融資や法人向けの運用商品販売を担当。現在は金融・法律ジャンルを中心にライターとして活動。銀行員時代の経験や保有資格を活かし、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説することを得意とする。

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