1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「家族のために」3,000万の生命保険に加入→月3万を払い続けるが…20年後、50代男性を待ち受けていた“想定外の大誤算”

「家族のために」3,000万の生命保険に加入→月3万を払い続けるが…20年後、50代男性を待ち受けていた“想定外の大誤算”

  • 2026.7.24
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

みなさんは、ご自身の生命保険をいつ見直したか覚えていますか?「加入したときのまま」という方、実はかなり多いんです。今回ご相談に来られた会社員のAさん(56歳・男性)も、その一人でした。

子どもが就職しても、保険料は月3万円のまま

Aさんが生命保険に加入したのは31歳のとき。

長男が生まれ、「家族のために」と契約したのは、終身保険に定期保険を上乗せした「定期付終身保険」。死亡保障は合計3,000万円というプランで、保険料は月約3万円。

「妻は専業主婦でしたし、自分に何かあったらと思うと、これくらい当然だと思っていました」。

その判断自体は間違いではありません。問題はその後です。長男は10年前に大学を卒業して就職。妻もパートで働き始め、住宅ローンは完済間近。それでもAさんは保障を見直さず、月3万円を払い続けていました。

この10年分だけで360万円。さらに過剰な保障に払い続けた分を積立投資に回していれば得られたはずの運用益まで含めると、約400万〜470万円規模にのぼります(※同等の保障を割安な掛け捨て保険等で確保し、毎月の差額2.5万〜3万円を10年間・年率5%で積立運用できた場合の試算)。

必要保障額は「引き算」で決まる

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

必要保障額とは、万一のときに遺族へ残すべきお金のこと。計算はシンプルで、「遺族の生活費×必要な年数」から、遺族年金・配偶者の収入・貯蓄を引き算します。

さらに、亡くなった本人が遺す財産である預貯金や株式、死亡退職金なども忘れずに差し引きましょう。加えて、いざというとき親族から支援を受けられるかどうかも、実は無視できない要素です。

遺族年金とは、厚生年金の加入者が亡くなったときに遺族へ支払われる公的年金のことで、子育て世帯なら年100万円を超えるケースも珍しくありません。つまり、子の独立・配偶者の就労・貯蓄の増加が進むほど、必要保障額は数千万円単位で減っていくのです。

Aさんの場合、計算すると必要保障額はほぼゼロ。住宅ローンに団信(団体信用生命保険。契約者が亡くなるとローン残高がゼロになる保険)が付いていたことも大きな要因でした。「必要ないものに、10年も払い続けていたんですね…」とAさんは苦笑いされていました。

見直しの選択肢は「減額・払済・解約」の3つ

保障が過剰であるときに気付いたときの選択肢としては、保障額を減らす「減額」、払込を止めて保障を残す「払済保険」、そして「解約」の3つがあります。ただ、私の答えはシンプルです。保障が不要なら、基本は解約しましょう。

ネックになるのは終身保険の元本割れです。解約返戻金が払込総額を下回ると、「損を確定させるのが嫌だ」という心理が働き、解約に踏み切れない方が本当に多い。しかし、すでに払ったお金は戻りません。

判断すべきは「これから払う保険料を、どこに置けば増えるか」です。低利回りの保険に置き続けるより、解約してNISAでの運用に回すほうが、長期で見れば合理的です。

そして、これから保険に加入する方へ。最初から掛け捨ての「定期保険」か「収入保障保険」を検討してください。収入保障保険とは、亡くなった後に遺族へ毎月給料のように保険金が支払われるタイプで、年数が経つほど受取総額が自然に減っていく仕組みです。必要保障額の減少に沿った形なので保険料が割安で、Aさんのような「過剰保障の放置」が起きにくいのです。また、そもそも解約返戻金がないため、「損をするからもったいない」という事態も起こりません。

人生の転機は保険の変え時!必要最低限の保障で賢く資産を守ろう

保険は「入って終わり」ではなく、ライフステージが変わるたびに見直すものです。子の独立や住宅ローン完済、配偶者の就労などが起きたら、それが見直しのサインです。

保険会社から「保障を減らしましょう」と連絡が来ることは、まずありません。保障を減らせば保険料収入が減るのですから当然で、これは担当者の怠慢ではなく業界の構造の問題です。

だからこそ、見直しは自分で判断するしかありません。大切な資産を守るためにも、「保険は必要最低限にする」点を押さえておきましょう。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ