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“貯金262万”で住宅ローンを繰上返済→『預金に置いておくより良い』と思いきや…3週間後、40代夫婦を襲った“予想外の事態”

  • 2026.7.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

住宅ローンは、早く返すほど得だと考える方も多いかもしれません。繰上返済をすれば、将来の利息や返済期間を減らせる可能性があります。

ですが、返済したお金は、教育費や急な支出が発生しても簡単には戻せません。繰上返済とNISAの優先順位を考えるときは、返済後に残る現金まで確認する必要があります。

今回は、夏ボーナスの手取り104万円を全額繰上返済に充てた40代夫婦の事例です。

「20万円減らせた」と安心する夫

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Mさん(47歳・仮名)は、パート勤務の妻(45歳)、中学2年生の長男、小学5年生の長女と暮らしています。

夫の年収は約692万円、妻は年約132万円。住宅ローン残高は約2,680万円、残りの返済期間は22年、金利は年0.82%で、毎月の返済額は約11万1,000円でした。

子ども2人の塾代や習い事代も、月約6万2,000円かかっています。

夏ボーナスの手取り104万円が入った時点で、普通預金は約262万円になりました。

妻は、長男の高校受験に備えてボーナスを手元に残し、毎月の家計に余裕があれば、2万2,000円のNISA積立を始めることも考えていました。

しかし、Mさんは「投資は値下がりするかもしれないが、住宅ローンは返した分だけ確実に減る」と考えます。完済予定は69歳でした。定年後まで返済を残したくないという思いから、104万円全額を期間短縮型の繰上返済に回したそうです。

金利が変わらない前提では、返済期間が約11カ月短くなり、将来の利息も約20万円減る見込みでした。Mさんは「預金に置いておくより、確実に負担を減らせた」と安心します。

104万円を返した3週間後の誤算

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ところが、3週間後にまとまった支出が重なりました。

長男の夏期講習や模試、教材費、追加授業で約22万8,000円。希望する高校2校の説明会に参加するための交通費や宿泊費で約10万8,000円が必要になりました。さらに、11年間乗っていた車に不具合が見つかります。エアコンや電装部品の修理費として、約38万1,000円の見積もりが出ました。合計すると、短期間で約71万7,000円が必要です。

繰上返済後の普通預金は約158万円。そこから支払えば、残るのは約86万円でした。

Mさん一家の住宅ローンや食費、光熱費、保険料などを含む毎月の支出は約43万2,000円です。支払い後の預金残高は、毎月の家計支出約2カ月分にすぎません。

給与収入は今後も入りますが、車の追加修理や家族の病気、長男の進学費用が重なれば、預金がさらに減り、分割払いや新たな借入れを検討する可能性も出てきました。

家計相談で今後の支出を整理すると、FPから「今回は繰上返済とNISAのどちらを選ぶかではなく、まず104万円を手元に残すべき状況でした」と指摘されたそうです。

ボーナス入金後の預金262万円は、毎月の支出約43万2,000円の約6カ月分です。繰上返済をしなくても、近く必要になる約71万7,000円を差し引けば、残るのは約190万円。家計支出に換算すると約4.4カ月分でした。

まとまったお金を返済や投資へ回す余裕は、もともと大きくなかったのです。

予定していた毎月2万2,000円のNISA積立もいったん見送り、まずは預貯金を増やすことになったそうです。

利息と一緒に減っていた「すぐ使えるお金」

繰上返済には、利息や返済期間を減らせる利点があります。一方で、返済した資金は教育費や修理費には使えません。

住宅ローン控除を利用している場合は、年末のローン残高が減ることで、控除額の計算に影響する場合があります。

また、最初の返済月から繰上返済後の最終返済月までの償還期間が10年未満になると、その年以後は原則として住宅ローン控除を受けられません。

NISAで購入する株式や投資信託には、元本割れの可能性があります。数年以内に使う予定のお金は、投資に回さず預貯金で確保することが大切です。

確認したいのは「どちらが得か」より返済後の残高

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

繰上返済とNISAの優先順位は、住宅ローンの金利だけでは決められません。

確認したいポイントは次の3つです。

  • 一つの目安として、毎月の家計支出の6カ月分を残せるか
  • 1~3年以内の教育費や大きな支出を確保できているか
  • 急な支出にも借入れなしで対応できるか

Mさん夫婦の場合、夏ボーナス104万円はすぐに繰上返済やNISAへ回さず、夏期講習や車の修理に備えて残す方法が現実的でした。

予定している支払いを済ませ、家族構成や収入の安定性に合った生活防衛資金を確保してから、余ったお金を繰上返済とNISAのどちらに回すか考えます。

ボーナスの使い道は、「いくら返せるか」ではなく、「使ったあとに何カ月分の家計支出が残るか」で判断することが大切です。

※事例はプライバシー保護のため、内容の一部を変更しています。繰上返済の試算は、元利均等返済、ボーナス返済なしで、金利が変わらず、手数料がかからない場合を前提としています。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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