1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「今になって疑うのか…」母の預金1,800万円を管理していた58歳兄→4年後、弟が放った突然の指摘に“空気が一変したワケ”

「今になって疑うのか…」母の預金1,800万円を管理していた58歳兄→4年後、弟が放った突然の指摘に“空気が一変したワケ”

  • 2026.8.24
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

相続のご相談では、「親のためにお金を管理していたのに、兄弟から使い込みを疑われた」というケースがあります。

今回の事例は、80代の母親の預金を約4年間管理していた58歳男性のケースです。母親が亡くなった後、約280万円分の支出を十分に説明できず、弟との間に不信感が生まれてしまいました。

親のお金を管理するときに、どのような記録を残しておくべきかを解説します。

「兄が管理してくれるなら安心」だったはずが、相続後に空気が一変

今回の事例は、80代の母親と、58歳の兄、54歳の弟の家庭です。

母親は月約15万円の年金で一人暮らしをしていましたが、次第に公共料金の支払いや通帳の管理に不安を感じるようになりました。

そこで母親と兄弟で話し合い、母親の同意を得たうえで、近くに住む兄が日常の支払いや通帳の管理を手伝うことになりました。将来の相続で、お金の管理をめぐってもめないようにしたいという思いもありました。

当時の預金残高は約1,800万円です。遠方に住む弟も、「兄が見てくれるなら安心だ」と考え、日常のお金の管理を任せました。

母親は介護サービスを利用しており、自己負担は月約2万5,000円。通院費や薬代は月1万円前後、食費や日用品代には月4万〜5万円ほどかかっていました。

その一部を兄が立て替え、交通費と合わせて月2万〜3万円ほどを母親の口座から精算していました。兄は週に2回ほど母親の自宅を訪れ、買い物や通院の付き添いもしていました。

口座から引き出した現金は、食費や日用品代だけでなく、光熱費や固定資産税、衣料品代などの支払いにも使われていました。

さらに、給湯器が壊れた際には約35万円、浴室や廊下に手すりを設置した際には約18万円を支払っています。

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ただし、すべての支出について記録を残していたわけではありません。

医療費や修繕費の領収書は一部保管していましたが、日々の買い物や立替金の精算は、ATMから10万円単位で現金を引き出して対応していました。

兄としては、「母の同意を得て、母のために使っているのだから、細かな記録までは必要ない」という認識だったのです。

4年後、母親が亡くなり、兄弟で相続財産を確認しました。

通帳には10万円や20万円、多い月には30万円という現金の引出しが、4年間で約40回記録されていました。合計額は約640万円で、月平均にすると約13万円です。

兄が領収書や請求書で説明できたのは約360万円でした。残る約280万円については、食費や日用品代、交通費、立替金の精算だったと説明しましたが、詳しい記録はありません。

弟から「年間70万円も使い道が分からないのはおかしい」と言われ、兄は「4年間介護を任せていたのに、今になって疑うのか」と反発しました。

話を整理していくなかで兄が気付いたのは、母親の同意を得ていたことと、支出の内容を記録で説明できることは別だという点でした。

善意の管理でも、現金の引出しだけでは使い道を示しにくい

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

親の判断能力が保たれている間に、本人の同意を得て、子どもが支払いや通帳管理を手伝うことはあります。ただし、預かったお金は、あくまでも親の財産です。

また、親本人用のキャッシュカードを子どもが借りて使用することは、金融機関の規定に反する場合があります。

日常的に管理を手伝う場合は、代理人カードなど、利用できる正式な手続きを取引銀行へ確認しておくことが大切です。

現金を引き出すと、通帳には日付と金額しか残りません。支出した日、金額、使い道を記録し、領収書やレシートを保管しておくと、後から説明しやすくなります。

なお、領収書や記録がないからといって、直ちに使い込みと判断されるわけではありません。ただし、ほかの相続人から説明を求められたときに、具体的な使い道を示しにくくなります。

本人の判断能力が低下し、意思確認が難しくなった場合は、家族だけの判断で引出しを続けず、まずは取引銀行へ相談しましょう。

記録は管理した人を守るためにも必要

親のお金を管理するときは、不適切な支出を防ぐだけでなく、管理した人が後から疑われにくい状態をつくることも重要です。

月末に「食費・日用品代4万2,000円、医療費1万1,000円、介護費2万5,000円」とまとめるだけでも、支出を説明しやすくなります。

高額な修繕費や介護用品の購入は兄弟にも共有し、立替払いは領収書と精算日を残します。数か月に一度、口座残高や主な支出を家族で確認しておく方法も有効です。

相続時に支出の説明を求められた場合は、「親の同意を得て使った」という言葉だけでなく、通帳、領収書、支出記録を示せることが重要です。

記録を残すことは、ほかの相続人の不安を減らすだけではありません。長期間にわたって親を支え、お金の管理を担った人自身を守ることにもつながります。

「家族だから大丈夫」と考えるのではなく、家族だからこそ、後から確認できる形にしておくことが、相続時の不信感を抑えるための備えになります。

※プライバシー保護のため、年齢や金額など一部の情報を変更しています。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

の記事をもっとみる

注目コンテンツ