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4月〜6月で残業代が“月7万”増えた40代男性→「社会保険料には関係ない」と思いきや…7月の給与明細を見て“絶句したワケ”

  • 2026.7.20
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

給与明細を見て、「基本給は変わっていないのに、なぜか手取りが減った」と感じることがあります。その原因の一つが、社会保険料です。

会社員の健康保険料や厚生年金保険料は、基本給だけで決まるわけではありません。残業代や通勤手当なども含めた報酬をもとに、標準報酬月額という金額が決められます。

今回は、7月に社会保険料の見直し時期を知った40代会社員の事例から、標準報酬月額の見落としやすい点を見ていきます。

「基本給31万円だから大丈夫」と思っていたら…

Nさん(仮名・42歳男性)は、都内の会社に勤める会社員です。基本給は月31万円。通勤手当は月1万5,000円です。これまで給与明細を見るときは、総支給額と手取り額をざっと見る程度で、社会保険料の欄を細かく確認することはありませんでした。

Nさんは、社会保険料について「基本給をもとに決まるもの」というイメージを持っていました。基本給が変わらなければ、社会保険料も大きく変わらないと思っていたのです。

ところが春に部署異動があり、仕事量が増えました。4月から6月に支給された残業代は、4月が約8万円、5月が約6万8,000円、6月が約7万4,000円でした。残業代が増えたことで、その月の手取りもいつもより多くなりました。

Nさんは、「忙しい時期だけの一時的な収入だから、社会保険料にはあまり関係ないだろう」と考えていました。残業代が増えた分、家電の買い替えやカード払いに回してもよいと思ったそうです。

ところが7月、会社の総務から社会保険料の見直し時期(定時決定・算定基礎届)について説明がありました。そこで初めて、標準報酬月額には基本給だけでなく、残業代や通勤手当も含まれることを知ります。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

春先の残業が、秋からの手取りを直撃する仕組み

4月に支給された報酬(基本給31万円、残業代約8万円、通勤手当1万5,000円)は約40万5,000円。5月に支給された報酬は約39万3,000円、6月に支給された報酬は約39万9,000円でした。3か月の平均は約39万9,000円です。

残業が少ない時期であれば、Nさんの報酬は基本給31万円と通勤手当1万5,000円を合わせて、月32万5,000円程度です。そのため、これまでは標準報酬月額を「32万円」として社会保険料が計算されていました。

しかし、4月から6月に支給された報酬をもとにすると、見直し後は標準報酬月額が「41万円」と、実に9万円も上がってしまう可能性がありました。基本給は1円も変わっていないのに、春先の残業代が標準報酬月額を押し上げてしまったのです。

仮に本人負担分を大まかに見積もると、標準報酬月額が9万円上がった場合、毎月の社会保険料(健康保険・厚生年金・40歳以上は介護保険)は、合計で毎月1万3,000円ほど増える(手取りが減る)ことになります。

「残業代が増えた月は手取りも増えたので、少し余裕ができたと思っていました。でも、その後の社会保険料に影響するとは考えていませんでした」

Nさんは、今後の給与明細に反映される前に、家計の見通しを見直すことにしました。残業代が多かった分をそのまま使い切るのではなく、毎月の手取りが少し減る前提で、カード払いと積立投資の額を調整したのです。

7月の算定基礎届は、その後の手取りに関係する

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

標準報酬月額は、社会保険料を計算するための基準です。毎年の「定時決定」では、原則として4月・5月・6月に支給された報酬をもとに見直され、その年の9月から翌年8月までの丸1年間使われます。

そのため、4月から6月に支給された残業代が多い人は、基本給が変わっていなくても、秋以降の社会保険料が上がることがあります。

ただし、給与明細を見る上で、いくつか実務的なルールも知っておくと安心です。

  • 「支払基礎日数(17日の壁)」に注意 4〜6月のうち、病気での欠勤や休職などにより、給与支払いの基礎となった日数が「17日未満(パート等は11日未満)」の月がある場合、その月は平均の計算から除外されます。
  • 年間平均との差が大きい場合の救済策 「春先だけ仕事が極端に集中して残業が増えたが、年間を通すと残業はほとんどない」という場合、4〜6月の平均で計算すると不公平が生じます。そのため、「4〜6月の平均」と「過去1年間の平均」との間に2等級以上の差がある場合は、年間平均をもとに標準報酬月額を決定できる特例(年間平均の特例)が用意されています。該当しそうな場合は、会社の総務担当者に相談してみましょう。

社会保険料アップは「未来への投資」でもある

手取りが減るという点だけを見ると、社会保険料の増加はただの「負担増(損)」に思えるかもしれません。しかし、社会保険料は税金とは異なり、「支払った額に応じて、自分に返ってくるリターン(保障)も大きくなる」という強力な側面を持っています。

  • 将来もらえる年金額が増える:厚生年金保険料を多く納めると、将来受け取れる「老齢厚生年金」の受給額が生涯にわたって増額されます。
  • 万が一の休職・出産時の手当が増える:病気やケガで休職したときの「傷病手当金」や、産休育休時の「出産手当金」「育児休業給付金」は、すべて標準報酬月額の「約3分の2」が基準となって支給されます。基準が高ければ、万が一のときに受け取れる給付金の額も手厚くなります。

「手取りが減って損をした」と悲観するだけでなく、「自分の人生のセーフティネットと将来の年金貯蓄が、少し手厚く強化されたのだ」と捉えることも、健康的な資産形成を続ける上での大切なマインドセットです。

給与明細をチェックする際は、総支給額だけでなく、社会保険料、税金、そして最終的な「残るお金」までを総合的に確認し、秋からの家計運営に役立てていきましょう。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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