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日本eスポーツ選手の4割以上で「睡眠の質が悪い」と判明

  • 2026.6.15
日本のeスポーツ選手の間で睡眠の質の低下が広がっている / Credit:Canva

eスポーツは、反応速度や集中力、判断力が勝敗を左右する競技です。

そのため、選手が高いパフォーマンスを維持するには、日々の練習だけでなく、脳の働きを支える「睡眠の質」も重要になります。

筑波大学の研究チームは、日本のeスポーツ選手90人を対象に、睡眠の質やプレイ時間帯との関係を調査しました。

その結果、選手の43.3%が「主観的睡眠の質が悪い」と分類され、特に午前3時〜8時59分の早朝プレイとの関連が示されたのです。

この研究は2026年6月3日付の『SAGE Open』に掲載されました。

目次

  • eスポーツ選手の睡眠はどれくらい乱れているのか?
  • プロは就寝・起床が遅く、アマチュアは睡眠時間が短めだった

eスポーツ選手の睡眠はどれくらい乱れているのか?

eスポーツは、ゲームを用いて勝敗を争う競技として実施されています。

試合中には、画面上のわずかな変化を見逃さず、瞬時に判断し、正確に操作する必要があります。

つまり、eスポーツ選手にとって睡眠は、単なる休息ではなく、競技力を支える重要な土台です。

一方で、eスポーツ選手は夜遅くまで練習や試合を行うことがあり、睡眠リズムが後ろにずれたり、睡眠時間が短くなったりする可能性があります。

しかしこれまで、eスポーツ選手の睡眠の質を、プロとアマチュアの違いも含めて調べた研究は多くありませんでした。

そこで研究チームは、日本の1つのプロチームと5つのアマチュアチームに協力を依頼し、計90人のeスポーツ選手を対象にWeb調査を行いました。

参加者の内訳は、プロ選手35人、アマチュア選手55人で、平均年齢は22.4歳です。

睡眠の質を評価するために使われたのは、日本語版の「ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)」です。

これは、過去1カ月の睡眠について、寝つき、睡眠時間、睡眠の効率、日中の眠気や支障などを点数化する質問票です。

この研究では、PSQIの総得点が5点を超えた人を「主観的睡眠の質が悪い」と分類しました。

また研究チームは、使用デバイス、競技歴、時間帯ごとのプレイ頻度、平日・休日のプレイ時間、画面と顔の距離、プレイ中の飲食習慣なども調べています。

その結果、全体の43.3%が「主観的睡眠の質が悪い」と判定されました。

平均就寝時刻は午前2時02分、平均起床時刻は午前9時07分、平均睡眠時間は6時間32分でした。

この時点で、eスポーツ選手の睡眠には一定の問題がある可能性が見えてきます。

では、その問題はプロとアマチュアで違っていたのでしょうか。より詳細な結果は次項で見ていきます。

プロは就寝・起床が遅く、アマチュアは睡眠時間が短めだった

まず注目したいのは、睡眠の質が悪い人の割合について、プロとアマチュアの間に大きな差が見られなかったことです。

睡眠に問題があると分類された割合は、プロ選手で37.1%、アマチュア選手で47.3%でした。

数字だけを見るとアマチュアの方が高く見えますが、この差は統計的に有意ではありませんでした。

つまり、この研究からは「アマチュアの方が明確に眠りの状態が悪い」とまでは言えません。

しかし、睡眠の“パターン”には違いがありました。

プロ選手はアマチュア選手よりも、就寝時刻と起床時刻が明らかに遅くなっていました。

一方で、総睡眠時間はプロ選手の方が長い傾向がありました。

これは、プロ選手の生活がeスポーツ中心になりやすく、夜遅くまで活動して朝も遅く起きる生活になっているためだと考えられます。

つまりプロ選手では、睡眠時間が極端に短いというより、睡眠の時間帯が後ろにずれる「睡眠相の遅れ」が課題になりやすいのです。

一方、アマチュア選手は、学業や仕事などの予定とeスポーツを両立している可能性があります。

その場合、日中の予定を動かしにくく、夜に練習時間を確保することで、睡眠時間が短くなっている可能性があります。

さらに研究では、午前3時〜8時59分にeスポーツをプレイしていることが、主観的睡眠の質の悪さと関連していました。

この時間帯の大部分は、多くの人にとって本来眠っている時間です。

そのため、早朝プレイをする生活パターンは、睡眠時間の短さや睡眠リズムの乱れと関係している可能性があります。

今回の研究は、eスポーツ選手の睡眠問題が、単なる夜更かしではなく、競技レベルや生活環境によって異なる形で現れる可能性を示しています。

eスポーツが競技として広がるほど、練習量や技術だけでなく、選手の眠りをどう守るかも重要な課題になっていくのです。

参考文献

High Prevalence of Poor Sleep Quality Among Japanese Esports Players
https://www.tsukuba.ac.jp/en/research-news/20260605143000.html

元論文

Prevalence and Factors Associated with Poor Subjective Sleep Quality Among Electronic Sports Players: A Cross-Sectional Study
https://doi.org/10.1177/21582440261420180

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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