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仕事中寝てしまう、異常な眠気…ASDの大人は睡眠が乱れやすい?

  • 2026.7.21

会議中やデスクワークの最中に、強い眠気に襲われてしまう。夜はきちんと布団に入っているのに、朝起きても疲れが取れない。意志の弱さの問題ではなく、ASD(自閉スペクトラム症)の特性がある場合もあります。

ASDの特性と睡眠には、実は深い関わりがあることがわかってきています。神谷町カリスメンタルクリニック院長・松澤 美愛先生監修のもと、その理由と対処法を解説します。

ASDの大人は睡眠リズムが乱れやすいって本当?

結論からお伝えすると、ASDの人は、そうでない人と比べて睡眠に関する悩みを抱えやすいことが、複数の研究で報告されています。

寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝すっきり起きられないといった悩みは、ASDの大人によく見られる傾向のひとつです。

その背景として考えられているのが、体内時計に関わるホルモンの分泌リズムの違いです。眠気を促すメラトニンというホルモンの分泌パターンが、多数派の人と異なる場合があることが指摘されています。

寝室のわずかな光や音、寝具の肌触りなどが気になりやすい

また、感覚の敏感さも関係しています。寝室のわずかな光や音、寝具の肌触りなどが気になって、寝つきにくくなる方も多いのです。日中に考え事が頭から離れず、なかなか脳が休まらないという方もいます。

もちろん、こうした傾向がすべてのASDの方に当てはまるわけではありません。眠りの深さや睡眠時間には個人差があり、悩みのない方もいます。

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「怠け」とは限らない! ASDの大人が仕事中に強い眠気を感じる背景

仕事中の強い眠気は、単純な睡眠不足だけが原因とは限りません。ASDの特性がある方の場合、日中の疲労のたまり方そのものに理由があることがあります。

周りに合わせようとして疲れてしまう

大きな要因のひとつが、「マスキング」と呼ばれる行動です。これは、職場などの環境に合わせるために、自分の特性を意識的に抑え込み、周囲に合わせようと振る舞うことを指します。

表情や話し方を意識的に調整したり、感覚的な違和感を我慢したりすることは、想像以上にエネルギーを使う作業です。この疲労が蓄積し、日中の強い眠気として表れることがあります。

音や光、人の出入りで疲れてしまう

また、職場の音や光、人の出入りといった刺激を処理し続けることも、脳にとって大きな負担になります。

周囲が気にしないような刺激でも、常に情報として処理し続けている状態になりやすく、結果として疲れやすくなるのです。

夜型の生活リズムである

夜型の生活リズムになりやすいことも一因です。興味のあることに没頭しやすい特性から、夜遅くまで集中してしまい、翌朝の眠気につながるケースも見られます。

こうした背景を踏まえると、仕事中の眠気は「やる気の問題」ではなく、「特性による疲労の蓄積」として捉えるほうが実態に近いといえるでしょう。

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ASD以外にも考えられる眠気の原因

ここまでASDと睡眠の関わりについてお伝えしてきましたが、強い眠気の原因をASDの特性だけに結びつけすぎないことも大切です。他の要因が隠れている可能性も、あわせて考えておきましょう。

睡眠時無呼吸症候群

代表的なのが、睡眠時無呼吸症候群です。睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりすることで、深い眠りが得られず、日中に強い眠気が出やすくなります。

いびきが大きい、朝起きたときに頭が重いといった自覚がある場合は、注意が必要です。

うつ状態や強いストレス

うつ状態や強いストレスも、眠気や倦怠感につながることがあります。気分の落ち込みや意欲の低下をともなう場合は、こちらの可能性も考えられます。

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貧血や甲状腺機能の異常、薬の副作用

そのほか、鉄欠乏性貧血や甲状腺機能の異常、服用している薬の副作用なども、眠気の原因となることがあります。ナルコレプシーのように、突然強い眠気に襲われる睡眠の病気が背景にある場合もあります。

このように、眠気の原因はひとつとは限りません。思い当たる症状がある場合は、次に紹介する内容も参考にしてみてください。

日中の眠気を減らすためにできること

眠気を軽くするために、日常生活の中で取り入れやすい工夫をご紹介します。

起きる時間を一定にする

まず意識したいのが、起きる時間をできるだけ一定にすることです。就寝時間がずれても、起床時間を揃えることで、体内時計が整いやすくなります。

朝、太陽の光を浴びることも、体内時計をリセットする助けになります。

日中の刺激を減らす

日中の刺激を減らす工夫も効果的です。

職場でイヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンを使う、まぶしさが気になる場合はサングラスや帽子を活用するなど、感覚的な負担を減らすことで、疲労の蓄積を抑えられます。

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こまめに休憩を挟む

意識的に休憩を挟むことも大切です。マスキングによる疲れは気づきにくいため、時間を決めて一人になれる時間を作り、意図的に力を抜く時間を持つとよいでしょう。

寝るときは光や音を遮り、睡眠環境を整える

寝室の環境を整えることも役立ちます。遮光カーテンで光を遮る、耳栓や睡眠用のイヤホンで音を軽減する、肌触りの良い寝具を選ぶなど、自分にとって心地よい環境を用意してみてください。

カフェインの摂取は、午後以降控えめにすることをおすすめします。就寝前のスマートフォンの使用も、脳を興奮させやすいため、就寝の1時間ほど前には控えると眠りに入りやすくなります。

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こんな眠気は受診を考えよう

セルフケアを試しても改善が見られない場合や、次のような症状がある場合は、医療機関への相談を検討してください。

たとえば、会議中や運転中など、本来眠ってはいけない場面で突然強い眠気に襲われて眠り込んでしまう場合です。これはナルコレプシーなど、専門的な治療が必要な睡眠の病気の可能性があります。

大きないびきをかいている、睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがある場合も、注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群が疑われます。

十分な睡眠時間を取っているはずなのに、日中の眠気が改善しない場合や、気分の落ち込み、意欲の低下をともなう場合も、専門家に相談したほうがよいサインです。

眠気によって仕事や日常生活に支障が出ている場合、一人で抱え込まず、睡眠外来や心療内科、かかりつけ医などに相談してみましょう。原因に応じた適切な対処法が見つかることで、日中の過ごしやすさは大きく改善する可能性があります。

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参考文献
和田真孝.神経発達症における睡眠障害の特徴と治療.精神神経学雑誌.2025;127(3):175-181.
https://doi.org/10.57369/pnj.25-028

監修者プロフィール

神谷町カリスメンタルクリニック院長 松澤 美愛先生

東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会
URL https://charis-mental.com/
InstagramURL https://www.instagram.com/charismentalclinic

<Text:外薗 拓 Edit:編集部>

 

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