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退職金を投資にまわしてはいけない理由。60代の正しい退職金の使い方とNG行動

  • 2026.6.11

退職金を投資にまわしてはいけない理由。60代の正しい退職金の使い方とNG行動

もうすぐ定年を迎える方は、退職金の預け先や使い道について検討されていることでしょう。今回は、「投資にまわしても大丈夫だろうか」という悩みに、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんがお答えします。

【もうすぐ定年!Yさんの悩み】
来年、夫が60歳で退職。夫は「老後のために、退職金を投資で増やしたい」と話していますが、失敗して減るのが心配です。退職金は、どこに預ければいいですか?

【井戸さんのアドバイス】
・退職金が出ても、あわてて投資に走るのは失敗のもと!
・まずは1年程度普通預金に預けて、使い道をじっくり考えましょう。
・10年以内に使う予定のお金は、定期預金や個人向け国債で安全にキープを。
・投資は、10年以上使わないお金で行いましょう。

退職金は1年程度普通預金において、使い道を考える

退職金が出たからといって、いきなり全部投資にまわすのは危険!
いつ、いくらお金が必要かわからないまますべて投資してしまうと、急にお金が必要になったとき、損をしていても解約せざるをえなくなってしまいます。

退職金が出たら、まずは1年間を目安に普通預金に預けておいて、使い道をじっくり考えましょう。

1年たてば、生活費がどれくらいかかり、退職後の収入や年金で暮らしていけるかどうか、赤字が出るとしたらどれくらいか、などがわかってきます。
また、家のリフォームや子どもの結婚・出産など、今後のイベントも予想して予算をとっておくと安心です。

退職金の預け先を考えるのは、ここから。
お金の使い道や使う時期によって、最適な預け先は違ってきます。

10年以内に必要なイベント費は、定期預金、個人向け国債へ

家のリフォームや旅行、子どもの結婚祝など、10年以内に使いたいお金は、定期預金や個人向け国債で元本確保の金融商品でキープしておきましょう。

1年以上先に使うお金なら、特におすすめなのが個人向け国債の「変動金利型10年満期」です。

ワンポイント! 個人向け国債・変動金利型10年満期とは?

市場金利の動きに応じて半年ごとに金利が見直される国債で、今のような金利上昇の可能性が高い局面では固定金利型より有利。
もしも市場金利が下落しても、最低金利0.05%が保証されているので安心です。

1万円から買い付けられ、半年ごとに利息が受けとれます。

1年経てば、いつでも中途解約が可能。手数料として直近2回分の利子×0.79685が差し引かれますが、元本割れはありません。

毎月発行されていて、全国の銀行や証券会社で購入できます。自分の口座がある金融機関でチェックしてみましょう。

イザというときの資金→普通預金、定期預金

病気や介護など、イザというときに備える資金は、必要なときにいつでも引き出せる預貯金に預けましょう。

老後の平均的な医療費は250万円、介護費は580万円が目安で、合計830万円です。

ただ、必ずこれだけ必要というわけではありません。イザというときに備えすぎて、老後を楽しむ余裕がなくなるのは本末転倒。加入している医療保険の保障なども考慮しながら、自分が「これだけあれば十分」と思い切れる額で備えるといいでしょう。

10年以内に使う生活費→定期預金、個人向け国債

退職後の生活費の赤字補てんとして10年以内に使うお金も、元本割れのリスクがない定期預金や個人向け国債に預けておくと安心です。

「生活費の不足分がいくら必要かわからない」という人は、簡単にキャッシュフローを予測してみましょう。

<例>
60歳でいったん退職し、65歳まで年収300万円で就労した場合。
生活費 300万円
夫の年金(65歳から) 170万円
妻の年金(65歳から) 80万円

この例でいうと、生活費が300万円として、働いて収入があるうちは収支トントンですが、65歳で仕事を辞めると、年間50万円の赤字が発生します。

60歳で退職したあとの10年間で、生活費の赤字補てんに必要な額は赤字50万円×5年間=250万円に。

10年以上使わないお金→投資へ

退職金や預貯金から10年以内に使うお金とイザというときの備えをとりおいて、残ったお金が投資にまわしてもいいお金です。

投資にまわしてもいいお金の計算例

<例>
退職金と預貯金(老後資金) 2000万円

60~70歳までに必要なお金
イベント費…家のリフォーム200万円 子どもの結婚祝100万円
医療介護費…830万円
生活費の赤字補てん…250万円
合計 1380万円

投資に回してもいいお金は
2000万円-1380万円=620万円

投資を始めるなら、利益が非課税になる「NISA」が有利です。

ただし、単位株などにまとまった額を投資するとリスクが高くなりがち。おすすめは、幅広い銘柄に分散投資してくれる投資信託です。「つみたて投資枠」を使って、毎月一定額を積み立てていくと、さらにリスクが分散されます。

退職金が出ると、取引先の金融機関から投資商品をすすめられることもよくありますが、勧められた商品=自分にとっておトクな商品とは限りません。うのみにせず、自分のペースで投資にまわす額を決めて、コツコツ運用していきましょう。

ワンポイント! キャッシュフローを予測して老後の生活設計に役立てよう

キャッシュフローを予測することは、老後の生活設計を考えるときにも役にたちます。

たとえば、前出の家計で65歳からの赤字を減らしたい場合、
「夫が65歳以降も働けないか?」
「妻も働いて収入を得られないか?」
「妻の年金を繰り下げ受給できないか?」など、
夫婦で話し合ってさまざまな可能性を検討してみましょう。
そのうえで、フローチャートに落とし込んでみると、家計の変化がすぐわかります。

入ってくるお金に対する生活費の見直し例

60歳から65歳までは、夫300万円、妻60万円で就労し、360万円の年収があるとすると、見直し後の家計が赤字になるのは、70歳から。

この時期に備えて、60歳から投資で資産を育てていってもいいですね。

井戸美枝さんプロフィール
いど・みえ●ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、国民年金基金連合会理事。生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題が専門。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、雑誌や新聞に連載を持つ。近著に『フリーランス大全』(エクスナレッジ)。『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP)など著書多数。
ホームページ:http://mie-ido.com
X(旧Twitter):@mieido

※2024年9月12日に配信した記事を再編集しています。

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