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女子大生が出会った、何の変哲もない街の風景を撮影する青年。彼と一緒に街を歩くことで見つけたものは? いつもの景色が輝き出す、街あるきラブコメ!【書評】

  • 2026.6.10

【漫画】本編を読む

『ふたり街あるき』(胡原おみ/KADOKAWA)は、「ただ街を歩く」なかで、驚きや発見、そして恋心を見つけていく「街あるきラブコメ」である。派手な事件も、大きな冒険もない。しかし本作を読んでいると、不思議といつもの街が少し違って見えてくる。何気ない風景の中に潜む「面白さ」を掘り起こしていく感覚が心地よい作品だ。

主人公・ヒナは、大学進学を機にひとり暮らしを始めたコミュ力高めの女子大生。住んでいる街に大きな不満はないが、かといって特別な魅力も感じていない。どうせ大学4年間を過ごすだけと、少し退屈な気持ちで日々を送っていた。そんなある日、街中の「なんでもない風景」を熱心に撮影している青年・カゲと出会う。ヒナは彼の不可解な行動に興味を持ち、一緒に街を歩き始めることにする。

街歩き漫画と聞くと、グルメや観光スポットが登場するものを思い浮かべるかもしれないが本作はそうではない。古びた看板、妙な形の建物、たくさん並ぶ室外機など、普通なら見過ごしてしまう景色が、カゲの視点を通して描かれており、それがとても面白く見えてくるのだ。自分の街にもこんな場所があったかもしれないと思い、街を見る視点が変わっているだろう。

ヒナとカゲの初々しい関係が心地よいのも魅力だ。コミュ力の高いヒナと、不器用なカゲ。正反対のふたりが一緒に街を歩くことで少しずつ距離が縮まっていく。その変化がとても自然で、同じ景色を共有していることの楽しさが伝わってくる。

毎日見ている街は退屈な風景になっていくが、本当はそこに無数の発見が眠っている。本作はそんな身近にある世界の面白さを教えてくれるのだ。そして読み終えたあとはきっと、少し遠回りしながら通ったことのない道を歩く散歩に出かけたくなるだろう。

文=練馬麟

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