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手術で“21日間”入院した50代女性→「高額療養費制度があるから大丈夫」のはずが…退院後、健保から届いた通知に“青ざめたワケ”

  • 2026.6.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

入院費と聞くと、「高額療養費制度があるから、自己負担はある程度で済む」と考える方は少なくありません。たしかに、保険診療の医療費には、年齢や所得に応じた上限があります。

しかし、入院中にかかるお金のすべてが対象になるわけではありません。特に見落としやすいのが、本人の希望で個室などを選んだ場合の差額ベッド代です。

今回は、静かな部屋で療養したいと個室を選んだ50代女性の事例をもとに、入院費で確認しておきたいポイントを見ていきます。

「医療費は上限まで」と思っていたら、請求書で固まった

事例の女性は、53歳の会社員です。手術を伴う入院が決まり、医師からは「入院期間は2週間前後」と説明を受けていました。

女性は「高額療養費制度があるので、医療費には上限がある」と聞いており、入院費については大きな心配をしていませんでした。

入院手続きの際、病院から個室の案内を受けました。料金は1日9,350円。大部屋なら差額ベッド代はかかりませんでしたが、女性は「術後は眠れないかもしれない」「同室の人に気を使うより、落ち着ける部屋がいい」と考え、個室を選びました。

当初は14日ほどで退院できる見込みでしたが、回復に少し時間がかかり、入院は21日間に延びました。差額ベッド代だけで、9,350円×21日=19万6,350円です。

さらに、一般的な所得区分では、入院中の食事代が1食490円、1日3食で1,470円。21日分では3万870円になります。病衣やタオルのレンタル代が1日440円で9,240円、診断書の文書料が5,500円、日用品代なども数千円かかりました。

退院後、健康保険組合から届いた高額療養費の支給決定通知を見た女性は、「高額療養費でかなり戻ると思っていたのに」と青ざめました。医療費の自己負担分は一定額が戻ってきたものの、差額ベッド代や食事代は対象外だったことをそこで初めて知ったのです。

戻る医療費と、戻らない入院費は分けて考える

高額療養費制度は、同じ月に医療機関や薬局などで支払った保険診療の自己負担額が、年齢や所得に応じた上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。

ただし、対象になるのは基本的に保険診療の自己負担部分です。入院に関連して支払うお金でも、次のような費用は原則として対象外です。

  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事代
  • 病衣、タオル、日用品などのレンタル代
  • 診断書などの文書料
  • 先進医療や自由診療の技術料
  • 家族の交通費や付き添いに伴う費用

特に差額ベッド代は、1日単位で積み上がります。1日9,350円でも、10日なら9万3,500円、20日なら18万7,000円、30日なら28万500円です。

「1日あたりなら払えそう」と考えていても、入院が長引くと負担は大きくなります。また、個室だけでなく、2人部屋や4人部屋でも差額ベッド代がかかる場合があります。

なお、差額ベッド代は、本人が希望して同意した場合にかかるのが基本です。治療上の必要や病院側の都合で差額ベッド室に入る場合などは、請求されないケースもあります。入院時は、差額ベッド代の金額と同意書の内容を把握しておきましょう。

入院費は「上限額」だけで判断しない

入院費の相談で特にお伝えしたいのは、「高額療養費制度があるから大丈夫」と決めつけないことです。制度で負担を抑えられる部分と、対象になりにくい部分を分けて見る必要があります。

今回の事例では、個室代だけで約20万円、食事代やレンタル代なども含めると、想定以上の自己負担になりました。個室を選ぶこと自体が悪いわけではありませんが、家計面では「選ぶ前の確認」が大切です。

個室を希望する場合は、少なくとも次の点を確認しておきたいところです。

  • 差額ベッド代は1日いくらか
  • 入院予定日数が延びた場合、総額はいくらになるか
  • 食事代やレンタル代を含めると、別途いくら必要か
  • 医療保険の入院給付金でどこまで補えるか
  • 希望ではなく病院都合の場合、差額ベッド代の扱いはどうなるか
  • 入院が月をまたぐ場合、高額療養費の計算がどう変わるか

たとえば、入院給付金が1日5,000円でも、個室代が1日9,350円なら、1日4,350円の不足です。21日間なら9万1,350円となり、食事代やレンタル代まで含めると、給付金だけで十分とは限りません。

入院費は、「制度があるから大丈夫」とひとくくりにせず、預貯金、医療保険、公的制度の役割を分けて見ておくことが大切です。個室を選ぶ場合は、1日あたりではなく、入院が延びた場合の総額で確認しておきましょう。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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