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『実家に帰らせていただきます』と家を出た妻→夫のパソコンに残された『検索履歴』

  • 2026.6.7
ハウコレ

「実家に帰らせていただきます」と書き置きを残して、私は家を出ました。

大きなけんかをしたわけではありません。ただ、毎日の家事も、仕事の疲れも、私ばかりが抱えているような気がして、もう限界でした。

それから3日後、必要な荷物を取りに家へ戻ると、開いたままの夫のノートパソコンが目に入りました。見るつもりはなかったのに、そこに並んでいた言葉から目が離せなくなったのです。

家事も仕事も『全部やってる』のは誰か

夫はテレビを見ながら「今日も疲れた」とつぶやきました。

私も仕事を終えて帰ってきたばかりでした。それでも、買い物をして、洗濯物を取り込み、夕飯の準備をして、明日の準備までしていました。

夫は「手伝うよ」と言ってくれます。でも、私が頼んだときだけ動くことが多く、何をすればいいかを考えるのはいつも私でした。

「手伝う」ではなく、一緒に暮らしているなら一緒に考えてほしい。そう思っていた気持ちが、少しずつ積もっていました。

その夜、私は短いメモを残しました。

「実家に帰らせていただきます」

開いたままのノートパソコン

実家に帰ってから3日ほど経った頃、仕事で使う書類や着替えを取りに、一度だけ家へ戻ることにしました。

家の中に人の気配はなく、ノートパソコンの画面だけが薄く光っていました。ブラウザが開きっぱなしになっていて、検索バーには最近の検索ワードが残っていました。『妻が出て行ったときの連絡』。

誰かに踏み込まれたわけでもないのに、私は思わず後ずさりしました。そのまま玄関に戻ろうとしたのですが、もう一度画面に視線を戻してしまったのです。検索履歴のタブを、私はそっとクリックしていました。

画面に並んでいた検索ワード

履歴には、夫が私の不在中にひとりで検索した言葉がずらりと並んでいました。『妻が怒っているときの対処』『夫婦のやり直し方』『家事分担の平均』『営業職の残業時間』『妻が出て行ったときの連絡』。私は画面を見つめたまま、しばらくその文字列を追っていました。家事分担の平均を、夫はこの3日で初めて調べたのです。結婚して5年、私が何百回も口にしてきたことを。そして履歴の一番上に、まったく文脈の違う言葉が一行だけ残されていました。『30代の自分史の書き方』。

そして...

画面を閉じようと指を動かしたとき、デスクトップが目に入りました。新規の文書ファイルがひとつ、置かれています。タイトルは『俺の30年』。中身を開く勇気は、そのときの私にはありませんでした。私は必要な物だけを持って、また家を出ました。夫がいま何を書こうとしているのか、何を振り返ろうとしているのか、私には分かりません。ただ、これまで『今日も疲れた』としか言わなかった人が、何かを始めようとしていることだけは、画面の向こうから伝わってきました。それでも、まだ戻る決心はつきません。あのファイルを開いて読むのは、もう少し先のことになりそうです。

(30代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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