1. トップ
  2. エピソード
  3. 「一緒に行きましょ」同居している義母と出かける日々。だが、出かけようとした時の義母の嫌がらせに気づいたワケ

「一緒に行きましょ」同居している義母と出かける日々。だが、出かけようとした時の義母の嫌がらせに気づいたワケ

  • 2026.6.6

同居初日の小さな違和感

結婚してすぐ、夫の実家で同居が始まった。

台所も洗面所も慣れない動線で、毎朝ぎこちなく動いていた頃の話だ。

義母は穏やかな60代で、初日からよく声をかけてくれた。

買い物、散歩、市役所への用事まで、何かと一緒に行きましょうと誘ってくれる。

「一緒に行きましょ」

有り難く支度をしていると、玄関の方で軽い物音がする。

居間に戻ると、義母の姿はもうない。

卓上のお茶が湯気を立てたままだった。

あれ、と思いながらサンダルをつっかけて表に出ても、角を曲がる背中すら見えなかった。

一度や二度なら物忘れがひどくなったと本気で心配した。

夫にもそう相談した。

返ってきたのは「年だし忘れっぽいんじゃない」という気の抜けた返事だけだった。

同じことが週に二度、三度と続く。財布もエコバッグも握りしめたまま、ひとり玄関に立ち尽くす日が増えていった。

玄関で目撃した本当の顔

その日も「ちょっとそこまで」と声をかけられた。

財布だけ取って急いで階段を降りたとき、玄関に立っていた義母の顔が、開いた扉の隙間からはっきり見えた。

口角がきゅっと上がり、目尻はくしゃっと笑っている。

声を出さずに肩を震わせて、明らかにニヤニヤしていた。

私と目が合うと、義母は何事もなかったように扉を閉めて出ていった。閉まり際の隙間から覗いたピンクのスニーカーが、軽い足取りで遠ざかっていく音まで聞こえた。

あぁ、嫌がらせだったんだ。

胸の真ん中に冷たいものが落ちた。

物忘れでも勘違いでもない。誘っておいて置き去りにする、そのギャップを楽しんでいたのだ。

居間に戻って、湯気の消えたお茶を見つめた。ここに私の居場所なんてあるのだろうかと、初めてはっきり思った瞬間だった。

義妹を誘った日だけは違った

その後も同じことは何度も続いた。

決定打になったのは、義妹が遊びに来た日だ。

同じように「買い物行こう」と声をかけた義母は、義妹の支度が終わるまで玄関で待っていた。

靴ベラまで渡し、玄関先のプランターの花を一緒に眺めながら「ゆっくりでいいわよ」と笑っていた。

並んで歩く二人の背中を、窓越しに見送った。

確信犯ですよね、と心の中で呟くしかなかった。私の支度のときだけ、忘れたふりが発動するのだ。

夫に話しても「気のせいじゃない」で終わる。同居の解消を口にしたら、義母は今でも穏やかな顔で誘ってくる。あの玄関で見たニヤニヤだけが、今もまぶたの裏にこびりついている。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる