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「パソコンが使えないから」という理由で町内会の総務部長兼副会長を押し付けられた。だが、手伝うそぶりのない役員に言葉を失った

  • 2026.6.6

戻って一週間で役員を背負わされた春

35年ぶりに実家へ戻ってきた春のことだった。両隣と向かいに挨拶を済ませたその数日後、町内会の名簿を片手に高齢の住人がやってきた。

約500世帯が加入する自治会で、住人のほとんどが70歳を超えている地域だ。

「ちょうど新しい方が来てくれて助かりました」

笑顔の裏に有無を言わせぬ圧があった。挨拶の余韻が消えないうちに、私は役員候補に組み込まれていた。

役員は8人。

集会所の会議室で分担を決める日になると、空気はいっそう露骨だった。

会計、広報、防災、行事。負担の重い役職が読み上げられるたび、古参の役員たちは口々に同じ理由で手を引いた。

「パソコンが使えないから、よろしくね」

自慢でもするように繰り返され、最も仕事量の多い総務部長兼副会長が、何の経歴も聞かれないまま私に回ってきた。

日中の仕事中に届いた訃報回覧の催促

役員になった初月から、平日の昼間に何度もスマートフォンが鳴った。

訃報の全世帯回覧をすぐに作って配って欲しいという要請が、自治会の重鎮から立て続けに届いた。

私は普通に勤めに出ている身だ。

日中の会議や接客の合間に、紙の回覧文書をすぐに用意するのは現実的ではない。

他の役員に「手が空いている方、お願いできませんか」とメッセージを送ったが、返事は来なかった。

既読がついて、それきりだった。

仕方なく定時で抜け、自宅のプリンターで文面を組み、夜の住宅街を一軒ずつ歩いた。

汗を拭いながらインターホンを押して回ったが、その間も同僚役員からの応答は一通もないままだった。

頼んだはずの回覧を逆ギレで突き返された朝

負担の偏りが続くので、75歳の総務副部長に「次から至急の回覧はお願いできますか」と直接頼みに行った。

「いいよ、任せて」と気持ちよく引き受けてくれて、私は胸を撫で下ろした。

ところが3週間後の役員定例会で進捗を確認した瞬間、副部長の顔色が変わった。

「それは総務部長の仕事だ!」

突然の怒声で、会議室の空気が固まった。

引き受けたこと自体を忘れていたのか、最初から忘れる前提で頷いていたのか、確かめるすべはなかった。

机を叩かんばかりの剣幕に、私は反論を飲み込んだ。

その流れでデジタル回覧板への移行も提案してみたが、「使えないから」の一言で議題ごと潰された。

ペーパーレスが当然の時代に、コピー用紙だけが大量に減っていく自治会の構図に、頭の中で答えのない数字が積み上がった。

35年ぶりに戻った実家の、最初の春の記憶になった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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