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42歳のアレクサ・チャンがたどり着いた現在地。エフォートレスな美の哲学とは

  • 2026.6.4
Getty Images

アレクサ・チャンの肩書きには事欠かない。モデル、ミューズ、プレゼンター、そしてデザイナーといった言葉がすぐさま思い浮かぶが、多くの人にとって彼女は、2010年代初頭のイギリスを代表するイットガールとして記憶されているだろう。

無造作なカーテンバングにはき込んだスキニージーンズ、そしてクラシックな赤いリップが、「タンブラー(Tumblr)」全盛期の象徴的なアイコンとしての彼女の地位を、瞬く間に確固たるものにした。それから20年以上を経た今もなお、彼女のエフォートレスでパリジェンヌシックなスタイルと、クールビューティの美学は、尽きることのないインスピレーションの源であり続けている。

Morgane Lay for Christian Dior Parfums

現在42歳となった彼女は、それがメディアにおける一種のシグネチャーとなっている一方で、自身の美容に対するアプローチは確実に進化していると、UK版「ELLE」の独占インタビューで明かした。

「昔は、ただ家から飛び出すように出かけていたんです」とアレクサは語る。「でも今は毎日、眉がきれいに整っているか、まつげがカールしているか、肌のトーンが均一かを確認する時間を取っています。自分の髪がどうすればよく見えるかも、ようやくわかってきたところ。だから下着姿のまま、しばらく鏡の前に立って身支度をしています」

そんな彼女が先週訪れたのは、ラ コル ノワール城。「ディオール」が親密なカントリーディナーを催したこの邸宅には、ブランドと親しくしているセレブが集い、“ラ コレクション プリヴェ”の新作フレグランス“ディオール パラダイス”のローンチが祝われた。

以下よりアレクサが、自身のナチュラルヘアとの向き合い方、フレグランスとファッションをめぐる哲学、そしてちょっぴりスピリチュアルなウェルネスの習慣について語る。

美との関わりかたについて

「若い頃は、フルメイクをすることもまったく気になりませんでした。ある意味、それは鎧をまとうような感覚だったんです。大胆なリップを塗るか、目元を強調するか。60年代のポップスター、それこそザ・ロネッツのメンバーみたいに見られたかったから、アイライナーは間違いなく多用していましたね。ただ、昔からファンデーションには必ずモイスチャライザーを混ぜていました。よりシアーで、ごく自然な仕上がりにしたかったから」

「世の中の人がメイクの技術にどんどん精通していくのと同じように、私も以前よりずっと、メイクをきれいにブレンドするようになりました。あからさまな印象を抑えるようになったんです」

「年齢を重ねることの何が素敵かって、等身大の自分でいることが、どんどん心地よくなって、誰かのコスプレをしなくて済むようになるんです。美しさは、自分を別人に変えることじゃなくて、すでに自分の中にあるものをさりげなく引き立てること。自分らしさを保ったまま、よりよい自分でいるということ。私はもっと魅惑的な自分でいたいんです」

ビューティにおける哲学について

「メイクに関してはミニマリストですが、スキンケアに関しては実はマキシマリストなんです。肌を徹底的に保湿することが私にとってはすごく大事なので、肌に入っていく限界の量までモイスチャライザーをたっぷりと重ねています。だって、肌の土台さえしっかり整っていれば、その後のメイクのステップはずっと楽になりますから」

Morgane Lay for Christian Dior Parfums

「サルマ・ハエックがインタビューで、自分の体に触れて“私はここにいる”と思い出させるのは健康的なことだ、と語っていたのを覚えています。それは間違いなく一理あると思うんです。自分の顔に触れて向き合っているとき、人は自分の体にしっかりと根を下ろすことができる。とてもプライベートで、瞑想的な感覚なんですよ」

シグネチャーであるウェーブヘアの作り方

Jacopo Raule / Getty Images

「TikTokで、髪を濡らしてクシャッと揉み込むと自分の髪に自然なカールがあるかどうかわかる、という動画を見るまで、自分がカーリーヘアだと気づかなかったんです。だから今は、髪を洗って自然乾燥させた後、もう一度髪を湿らせて毛束を作るように毛先を揉んでいます。美容師さんが使うような平たいプラスチック製のヘアクリップを使って、自然なカールの流れに沿って髪を巻き上げ、乾くまでピンで留めておくんです」

「私の髪はかなり細いので、すぐ乾くというメリットもあります。でも実のところ、このウェーブの本当の秘密は、私が持って生まれた髪質なんですよね」

フレグランスへのアプローチについて

「年齢を重ねるにつれて、フレグランスとの関係性も変わってきました。10代の頃は、香りといえば実質的にデオドラントくらいしか持っていなくて。でも今は、自分の気持ちの延長として、香りがどれほど大切か分かるようになりました。考えてみれば、視覚的な情報と並んで、香りは人があなたについて最初に気づくもの。まるであなたに寄りそう気配のような、意識の底に残る記憶なんです」

Morgane Lay for Christian Dior Parfums

「私には香りのワードローブがあって、シーンに合わせて使い分けています。服を選ぶのと同じ感覚で、フレグランスもその日の気分で変えるんです。身につけるものって、気分を高めるためであれ、何かを表現するためであれ、その日一日の自分のムードをコントロールする助けになってくれないと。たとえば、その日はリラックスしている印象を与えたいと思えば、ボーイッシュなスタイルにして、はき込んだリーバイスのジーンズにフーディを合わせて。でもバッグはすごく上質なものを持つ。そして香りは、個性的でありながらも決して主張しすぎない、自分を引き立てて、自分と一緒に生きてくれるようなものを選ぶのです」

新作“ディオール パラダイス”について

「私は幸運にもクリスチャン・ディオールが愛したカントリーサイドの邸宅を訪れることができました。彼はそこでくつろぎ、本当の友人たちをもてなしていたと聞いています。このフレグランスは、まさにそんな、居心地のいい我が家のような温もりを呼び起こしてくれるんです。フランシス・クルジャンがこの香りを作ったことが、(ここに来て)完全に腑に落ちました。だって邸宅の外に立って美しい田園風景を見渡すと、その景色が香りの印象を完璧に映し出しているんですから」

Thomas Chéné for Christian Dior Parfums

「この香りは、その土地の風景を模倣しているんです。だから、まずアーモンドのノートがあって、それから花がほころび始めたような、優しく繊細なフローラルノートが続きます。カクテルのネグローニやオールドファッションドの最後に添えられるオレンジピールのような香りも少し感じられますね。ウッディでジェントルマンのような雰囲気がありながらも、とてもフェミニンで柔らかい香りです」

Morgane Lay for Christian Dior Parfums

国内外でのウェルネス習慣について

「鍼治療は大好きなんです。ロンドンにいる鍼灸師は、もうほぼ全員診てもらったと思います。でも、フェイシャルは本当に退屈に感じてしまって。実際のところ、施術後のほうがかえって肌の調子が悪く見えることすらあるくらい。とはいえ、フェイシャリストのソフィー・カルボナリ氏と、ストーク・ニューイントンにある『ビューティ プランプ クリニック』には通っています。もしロンドンでソフィーの予約が取れたら、絶対に行くべきです。彼女は独自のナチュラル製品を使っていて、まるでトランス状態に陥るみたいなフェイシャルマッサージをしてくれるんです。メットガラの前に受けたのですが、もう天国でした。彼女の指先には本当に魔法が宿っているんです」

「今年の初めには、タイにある『カマラヤ コ サムイ』という素晴らしいウェルネスリトリートに、10日間ひとりで行ってきました。そこでハーバリストに診てもらって、瞑想や陰ヨガを学んで、中医学も体験できて。本当に最高でしたよ。世間の人が想像するよりも私、ずっと“スピリチュアル系”なタイプなんです」

Dimitrios Kambouris / Getty Images

アレクサの美学について

「私はミックスルーツで父は中国人、母はイギリス人です。イギリスで生まれたので、ある種の“ここの人間ではない感覚”を与えられていたんです。自分のアイデンティティがイギリスに縛られることがなかったから、他の国へ移住することも私にとっては大したことじゃありませんでした」

「2009年頃にNYへ行った時のことを覚えています。当時は完璧にブローされた髪が流行中で、誰もが磨き上げられたみたいに洗練されていて、歯まで真っ白。アメリカには、ある種の画一的なルックスがありました。でも、それはその後すっかり消え去りました。今では誰もが自分らしさを表現していて、多様性が広がっているのを見るのは本当に嬉しいことです」

Arnold Jerocki / Getty Images

「つまり、パリジェンヌやニューヨーカーは特定のスタイルでなきゃいけないという古い固定観念が、SNSによって打ち砕かれたんですよね。今では誰もが、あらゆる場所の文化が溶け合ったようなルックスをしている。とはいえ、私にとってはやっぱりフランス人が最高ですね。彼らは着こなしが本当に上手で、とにかくシックですから」

メイクとファッションの関係について

「ビューティには、ワードローブのあり方をまるごと変えてしまう力があると思っています。そして私はマスキュリンとフェミニンが織りなす緊張感が、たまらなく好きなんです。黒のトラウザーに白のタキシードシャツといった、よりボーイッシュな装いの日にはメイクの比重を少し重くします。あるいは先週末、友人の40歳の誕生日パーティーへ行ったときのこと。とても退屈な黒のドレスを着ていたので、まぶたにきらめきを足し、粘膜に黒のアイライナーを引いてバランスを取りました。

Neil Mockford / Getty Images

トレンドへの挑戦について

「先日、生まれて初めて髪をアップにまとめたんですけど、完全にパニック状態で。コテで髪を巻きすぎてしまって、いかにもパーティー仕様のカールになってしまったんです。4分後には家を出なきゃいけなかったから、ジェルをなじませてコームでとかして、髪をスリックバックに撫でつけました。結果的にうまくいったし、トレンド感のあるスタイルにもなりました。でもこういうスタイルは、自分の頭の形にしっかり気を配って、自分の長所を引き立てる工夫が必要なんです。だから普段の私は、髪をちょっと無造作に崩しておくくらいのほうが好き。そうするとメイクや服装まで、いっそうクールに演出できますよ」

Francois Durant for Getty Images and Christian Dior Parfums



Realization : Urmi Pandit Translation & Text : Nathalie Lima KONISHI

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