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ダンサーKELO、岡本太郎の言葉に感銘「何かを表現するとき汚くていいし、不完全でもいい」【私の愛読書インタビュー】

  • 2026.5.29

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日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)」のKADOKAWA DREAMSに所属する、プロダンサーのKELOさん。地上波テレビ番組「ダンス甲子園」で2連覇を果たし、舞台・アート作品への出演や、音楽アーティストのミュージックビデオ出演、「東京ゲゲゲイ」での活動、D.LEAGUE史上初となる2ラウンド連続でのMVD(※1)受賞など、ストリートダンスでの経験を糧に幅広く活躍している。(※1…最優秀ダンサー・MVD OF THE YEAR)

そんなKELOさんが愛読するのは、芸術家・岡本太郎の『自分の中に毒を持て』(青春出版社)だという。「嫌われるのを恐れてはダメだ」と学んだ過去の読書体験、そして、日常で抱く「言葉」への思いとは。

岡本太郎からの学び「嫌われるのを恐れてはダメだ」

――KELOさんにとって、自身の「愛読書」を1冊選ぶとしたら?

KELO 岡本太郎さんの『自分の中に毒を持て』ですね。高校時代、ヴィレッジヴァンガードの店頭で見つけたんです。岡本太郎さんに関する本がたくさん並んでいた中の1冊で、表紙からたぎるエネルギーを感じました。生まれ育った街が一緒で、地元には「川崎市岡本太郎美術館」もあるので名前は知っていたんです。でも、強く惹かれたのは本を読んでからでした。

――実際に『自分の中に毒を持て』を読み、どのような部分が印象に残りましたか?

KELO 「嫌われるのを恐れてはダメだ」という部分ですね。何かを表現するにしても汚くていいし、不完全でもいいという岡本太郎さんの言葉に感銘を受けました。今でも自分を奮い立たせるためにペラペラめくりますし、この本からパワーをもらっています。

――表現というと、KELOさんのダンスとも通じるものがあります。

KELO そうだと思います。ダンスでは「キレイに見せて当然」というイメージがあるかもしれませんが、自分の生命力でもって、内側からにじみ出るものを泥臭く見せなければいけないときもあるんです。岡本太郎さんの言葉はすべて、プロのダンサーとなった今も忘れていません。

本を読みながら考える「Dリーグをいかに盛り上げられるか」

――岡本太郎さんの『自分の中に毒を持て』とは高校時代に出会ったそうですが、元々、読書の習慣もあったんでしょうか?

KELO 本は、小学校では朝読書の時間に読んでいました。でも、同級生がファンタジー作品のような小説を読んでいる中、僕は自己啓発書を読んでいたんです。小説を読みはじめたのは、中学時代です。村上春樹さんの『ノルウェイの森』を読んだし、SF映画も好きだったので、洋画『ブレードランナー』の原作も読みました。

――ダンサーとして活躍するようになってから、読みはじめた本も?

KELO Dリーガーとして「24-25 SEASON」に「KADOKAWA DREAMS」に加入してから読んだ本もあります。「Dリーグをいかに盛り上げられるか」の視点から、プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」の川崎ブレイブサンダースのデジタル戦略を解き明かす『ファンをつくる力 デジタルで仕組み化できる、2年で25倍増の顧客分析マーケティング』(藤掛直人/日経BP)のようなビジネス書も、よく読んでいます。

――本によるインプットは、ダンサーとしてのアウトプットにも結びついているんでしょうか?

KELO 以前はありました。でも、最近はそれほどないかな。自分に眠る潜在意識をどう引っ張り出せるかが大事だと思っているし、インプットは本に限らず、日常生活のすべてなんですよ。朝起きた瞬間ですでに、自分に何が刺さるかを考えてはいて、自然とアウトプットできるようにするのが理想です。Dリーグをはじめ、プロのダンス界ではパフォーマンスが平均化されてきた傾向もありますし、誰にも替えがきかないパフォーマンスをするには、そうしたインプットに対する意識も必要だと思っています。

――Dリーグでのダンスパフォーマンスにも、その意識はあらわれていそうです。

KELO みんなが動いていたら、自分は立ち止まるような。KADOKAWA DREAMSのメンバーではあるけど、ダンサーとして「自分を見てほしい」という気持ちもどこかにあるんです。チームとしても、見せ方のアクセントになればと思って、パフォーマンスしています。

自分の「言葉」はしっかり残していかないといけない

――本は言葉によって何かを表現するものですが、KELOさんも日頃から言葉で何かを記録しているのでしょうか?

KELO 東京ゲゲゲイのMIKEYさんと一緒に東京ゲゲゲイの曲を作っているので、歌詞のヒントをよくメモっていますね。あとは、内省のために日常を記録しています。メモというほどではないんですけど「なぜ、あのとき僕はこう感じたんだろう」と、時々の出来事と感情を言葉にして残しているんです。自分と話し合うための“独りカウンセリング”のような感じですね。

――XやInstagramでも熱心に発信していますが、昨今のAIも含めSNSで飛び交う言葉にはどのような思いがありますか?

KELO いずれ近い将来に、SNSで積極的に発信する人は少なくなるのかなと。「何が本当で何がウソなのか」と疑いながらでは楽しめないと思います。でも、だからこそ自分の言葉はしっかり残していかないといけないし、その時々で感じたものを発信していきたいんです。僕は僕として、誰かの心に刺さる表現を続けられればと思います。

――そうした表現のひとつとして、本を書いてみたい意欲もあるんでしょうか?

KELO あります。自伝は書きたいと思っているんです。世界各国の路上でゲリラ的にパフォーマンスしてきた「世界一周ダンスの旅」を1冊の本にするのも面白そうですし、写真と合わせたフォトエッセイでもいい。1ページめくるたびに名言を紹介する本も、アイデアにはあります。実は、好きな漫画も描きたいんですよ。

――具体的な漫画のアイデアは浮かんでいるんでしょうか?

KELO あります。青春ダンス漫画です。貧乏な家庭に生まれ育ち、片親の母を失った主人公がダンスに打ち込み、育ててくれたおばあちゃんに応援してもらいながら、世界をめざすストーリーを考えていて。僕は絵を描けないのでイラストレーターさんに絵をお願いしたいんですけど、タイトルは『ダンススンダ』にしたいですね。

取材・文=カネコシュウヘイ 撮影=林ユバ

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