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「しまった…!」修学旅行の“団体切符予約”に震える駅員たち…→最も緊張する瞬間に「思いもよらなかった」

  • 2026.6.17
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今回は、私が駅員時代に体験した「駅員から見た修学旅行」のエピソードをご紹介します。修学旅行を楽しんでいただけの学生時代には思いもよらなかった、駅員の知られざる苦労の世界です。

最大の緊張の瞬間

学校の遠足や修学旅行、部活動の遠征で鉄道を利用した経験がある方は多いと思います。

駅によっては係員によるお見送りがあったり、特別なメッセージボードを掲出したりしているかもしれません。普段あまり鉄道を使わない地域の生徒さんが鉄道を利用する機会でもあり、乗務員も配慮していることでしょう。

私が修学旅行生に最も関係する業務は、むしろその旅行が始まる何週間も前に行われます。
「すみません、学生団体の予約をしたいのですが」

学校の、恐らくは事務の先生が窓口に申し込み用紙を持って来られた瞬間。この瞬間の私の胸中は以下の2パターンに分類できます。

「よし、学生団体の取り扱いは最近もやったし自信があるぞ。どんと来い!」というのがひとつ。
「しまった、最近すっかり個人旅行のお客様ばかりだったから何もかも忘れている!」と、うろたえているのがもうひとつのパターンです。

ルールの多い学生団体割引

というのも、ただでさえ複雑なルールや区間・期間ごとの例外扱いで埋め尽くされた鉄道のルールの中でも、学生団体割引はとりわけ難しいのです。

そのうえ、当時私が駅員をしている時は、理由はわかりませんが金額を機械が自動算出してくれないので、駅員が手計算で十数人から百人規模の運賃を算出しなければいけませんでした。

そのため、申し込み用紙を受け取ってすぐには金額を回答しません。駅とは別の団体予約を担当する部署に団体予約の申し込みがあった旨を伝え、希望の列車で予約が確定してから金額と共に後日回答すると案内します。

団体担当部署からの回答を待つ間に、他の駅員にも金額の再計算と機械への入力誤りがないかチェックしてもらうのです。

後輩たちが経験を積めない!

生徒さんたちにとって、非常に大事な修学旅行です。駅員のせいでトラブルを起こすわけにはいきません。

そのことがよくわかっている分、余計にプレッシャーを感じて「失敗したくないな」という思いから、ついつい当時の私や同期は「先輩のやり方を見せてもらおう。自分が主体的には進めたくない」と引っ込み思案になってしまっていました。

それでも学生団体は定期的に申し込みがあるのでおのずと鍛えられていくのですが、コロナ禍に入ると、この学生団体の申し込みもほとんどゼロになってしまいました。そうなると困るのは、数少ない申し込みがあったときに慣れた対応ができなくなってしまうことです。

特に2020年頃に入社した駅員たちは、団体に限らずお客さまの数が極端に少なかったため、なかなか有効な現場体験を積めず苦労していたようでした。

みんな自信なさげ?

それならキャリア10年以上のベテランなら1人でスラスラできるのかというと、私が見ていた限りではそうでもないようでした。

私より経験豊富な先輩であっても「この団体の申し込みがあったんだけど、金額これで合ってるかな?」という計算チェックの依頼や、「生徒1人減らしてほしいって電話があったんだけど、機械はどう入力すればいいんだったっけ?」という相談を私や後輩の駅員たちによくしていました。

のちに異動で配属されたターミナル駅では、独自に学生団体の運賃を算出できる方法を独自に開発して試験運用していました。今後、もし無人駅が増えて大規模ターミナル駅に業務が集約されるのなら、現場で仕事をしながら独自の開発まで対応しなければならないのかと、駅員として求められているレベルの高さに圧倒されてしまいました。

それと同時に、このような大規模駅の駅員でも、やはり学生団体の運賃計算を1人で行うことには不安があるのだなあ、と少し安心したことも覚えています。

10年以上前の思い出

私は中学生の頃、修学旅行に向けて授業の時間で新幹線に乗る練習をしていました。

「ただ新幹線に乗るだけなのに体育館にパイプ椅子で新幹線の座席と通路を再現して一斉に乗り降りする練習をするなんて、大げさな」
と当時は感じていました。

今思えば、あれは乗降に時間をかけて新幹線が遅延するようなことはさせまい、という先生たちの配慮だったのかもしれません。新幹線の終点である東京などの駅が目的地ならまだ余裕があったのでしょうが、都合の悪いことに時刻表の上では1分しか停車時間のない駅でした。

当時は乗務員や駅員を見て

「この人たちは、自分たち修学旅行生なんて毎日のように見ているだろうし、そんなに特別感もないのだろうな」

とひねくれた感情を抱いていましたが、鉄道会社に就職し、少し違う意味で当時の駅員や乗務員たちも緊張していたのでは、と考えるようになりました。


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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