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「契約書が1枚ないだけで…」実家を3000万円で売却した50代男性を襲った“予想外の税負担”

  • 2026.7.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以来10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。親が遺した実家を相続する機会は、誰にでも訪れる可能性があります。

実家を引き継いだものの、住む予定がないために売却を選ぶ方は少なくありません。その売却の際に、多くの人が直面するのが税金の問題です。今回は、親が実家を買った当時の書類が見つからず、予想外に重い税金を課されてしまったFさんの事例をご紹介します。

「住まない実家」を売却して直面した税金の壁

都内に住むFさん(50代男性・会社員)は、地方にある一戸建ての実家を親から相続します。自身はすでにマイホームを持っているため、実家を売却する予定でした。

不動産を売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税や住民税が課税されます。自分が住んでいた家であれば、利益から最大3,000万円を差し引ける特別控除が使えます。

しかし、Fさんはその実家に住んでいませんでした。一定の要件を満たす空き家の売却に使える特例にも該当しないため、売却で出た利益がそのまま課税対象となる状況です。

親が買った値段がわからない「概算取得費」の罠

Fさんは、実家を3,000万円で売却する契約を結びました。税金の計算には、親が実家をいくらで買ったかという取得費が必要です。相続した土地や建物は、亡くなった親が購入したときの価格や時期を引き継ぎます。

しかしFさんは、実家を探しても当時の売買契約書や領収書を見つけられませんでした。両親はすでに亡くなり、購入当時の事情を知る人もいません。

「父がこの家を建てたときの契約書なんて、どこにいったんだろう」

親族にも尋ねましたが、数十年前の書類の行方を覚えている人はいませんでした。購入時の資料がない場合、売却金額の5%を便宜上の取得費とする「概算取得費」というルールを適用せざるを得ません。

3,000万円で売却したFさんの場合、取得費はわずか150万円として計算されます。実際には土地と建物で2,000万円近くかかっていたはずですが、証明できなければ5%になってしまいます。

その結果、売却益が単純計算でも約2,850万円と大きく算定され、その利益にかかる譲渡所得税が非常に重くなりました。

「契約書が1枚見つかるか、そうでないかで税金が数百万円も変わるなんて思いもしなかった」

Fさんは手続きを終えた後に、そう言って肩を落としました。

実家を相続したときにすぐ確認すべき書類

実家を相続したら、まず親が購入した当時の売買契約書や領収書、通帳の記録などを探してみてください。住宅ローンの契約書や購入当時のパンフレットなども、取得費を示す手がかりになります。

また、相続税を支払っている場合は、その一部を取得費に上乗せして税負担を軽くできる取得費加算の特例が使える可能性があります。この特例は、相続開始から3年10か月以内に売却することなどの要件があり、概算取得費と併用することも可能です。

実際に適用できるかについては、事前に税理士などの専門家へ確認するとよいでしょう。また取得費が不明なままだと、税負担が大きく膨らみかねません。ご両親が元気なうちに、購入時の契約書や領収書の保管状況を聞いておきましょう。

参考:No.3258 取得費が分からないとき(国税庁)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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