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「まだ正式じゃないから…」間取りの打ち合わせを途中で辞めた30代夫婦の末路【一級建築士は見た】

  • 2026.7.8
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「いいなと思ったハウスメーカーで、申し込みをして、間取りの打ち合わせに入ったんです。でも、進めるうちに希望と合わない気がしてきて。思い切ってやめることにしたら、それまでの設計にかかった費用は戻らない、と言われて戸惑いました」

そう話すのは、注文住宅を検討していたAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。まだ工事の契約の前だったので、いつでも白紙に戻せると思い込んでいたといいます。

「『まだ正式じゃないから』と思っていて。どの段階で、何にお金がかかるのか、よく分からないまま進めていました」とAさんは振り返ります。

家づくりは「段階を踏んで」進んでいく

注文住宅は、いきなり工事が始まるわけではありません。多くは、申し込み、間取りや見積もりの打ち合わせ、工事の契約(工事請負契約)、着工へと、段階を踏んで進みます。

支払うお金にも種類があります。申し込みのときの「申込金」、設計や調査にかかる「設計料」、工事の契約のときの「手付金」などです。会社によって呼び方や扱いは異なりますが、見落とされやすいのは、契約を進める過程で間取りの設計や地盤の調査が始まると、その費用が実際に発生していくという点です。後からやめても、すでに行われた作業の分は、戻らないことがあります。

「戻る・戻らない」は、段階と契約しだい

では、途中でやめたら、支払ったお金は戻らないのでしょうか。これは一概には言えません。

戻るかどうかは、解約する段階や契約内容によって変わります。設計や調査がほとんど進んでいない初期段階であれば戻るケースもありますが、設計や詳しい調査が進んでいる場合、その実費分は戻らないことがあります。

Aさんの場合も、すでに設計の作業が進んでいたため、その分が対象となりました。金額は、申し込みのときに預ける申込金で10万円ほどが一つの目安とされ、設計が進んでいれば、その費用が上乗せされて、十数万円から数十万円ほどになることもあります。会社や進み具合によって幅があるため、いくらかかるのかは、事前の確認が欠かせません。

なお、工事請負契約まで進んだ後でも、工事が終わるまでは、施主の側から解除すること自体は可能です(民法第641条)。ただしその場合は、それまでに会社が行った作業の費用や損害を支払う形になります。契約後は、工事代金に対する割合で金額が決められていることもあり、段階が進むほど負担は大きくなります。金額や条件は会社によって異なるので、契約の前に確認しておきましょう。

Aさん夫婦はどう対応したのか

費用の扱いに戸惑ったAさん夫婦でしたが、まずは受け取っていた書面を読み返すことにしました。

どの費用がどういう性質のものなのか、担当者に改めて説明を求め、すでに進んでいた設計の分は、戻らないことを受け入れました。なお、いわゆるクーリング・オフは、訪問販売など不意打ちの契約で頭を冷やす期間を設ける制度です。住宅展示場や会社の事務所は、自分から出向いて契約する場所のため、こうした申し込みでは使えないことが多く、やめ方は契約書の記載がたよりになります。

迷うときは、地域の消費生活センターに相談する方法もあります。「段階ごとに何にお金がかかって、やめるときはどうなるのか、最初に聞いておけばよかったと痛感しました」とAさんは振り返ります。

家を建てるときは「契約の段階」まで確認して進める

注文住宅で住宅会社と話を進める際は、プランや金額だけでなく、契約の段階と費用の流れまで確認しておくと安心です。とくに以下の点を意識してみてください。

・申込金・設計料・手付金など、どの段階でどんなお金がかかるのか
・途中でやめた場合、支払ったお金がどうなるのか
・設計や調査などの作業が、どの段階から始まるのか
・契約書に、解約やキャンセルについての記載があるか

「プラン」だけでなく「お金の流れ」も最初に確認して

理想の住まいを思い描くとき、つい間取りやデザインに気持ちが向きます。一方で、家づくりは段階を踏んで契約が進み、それにつれてお金も動いていくものです。

大切なのは、プランの中身だけでなく、契約がどう進み、どの段階で何にお金がかかるのかを、早いうちに把握しておくこと。そして、もしものときにどうなるのかも、契約の前に確かめておくことです。

「どんな家を建てるか」だけでなく、「どう契約が進むか」まで知っておくこと。それが、安心して家づくりを進めるための第一歩です。

参考: 民法(e-Gov法令検索)

※契約の内容やキャンセル時の費用は、住宅会社や契約によって異なります。詳しくは、契約前に各社へご確認ください


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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