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W杯、公式ボールは「キックオフ前充電が必要」なぜ?意外と知られていない“切実なワケ”

  • 2026.6.25
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(C)SANKEI【サッカー北中米W杯2026 日本練習】 練習に臨む上田綺世=ナッシュビル近郊(撮影・水島啓輔)■■■撮影時間は現地■■■

皆さま、こんにちは。プレー・観戦歴ともに30年以上のサッカー好きライター西山です。スマートフォンや家電ならまだしも、サッカーボールを充電する風景を想像できるでしょうか。

実は2026年ワールドカップで使用される公式試合球「トリオンダ」は、キックオフ前に充電を必要とします。今回はボールを充電する意外な理由と、世紀を跨いで導入された判定技術の切実な背景について解説します。

勝敗を左右した世紀の誤審とテクノロジーの導入

2022年カタール大会の日本対スペイン戦において、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)がゴールラインを割っていないと判断して得点が認められた「三笘の1ミリ」の場面は、まだ記憶に新しいでしょう。

現在はミリ単位レベルの精度で判定可能ですが、かつては人間の目の限界から、誤審がたびたび勝敗を左右してきました。象徴的なのがイングランド対西ドイツ(現ドイツ)の因縁の対決です。

1966年大会の決勝では、イングランド選手(ジェフ・ハースト)のシュートがクロスバーから真下に落ち、線審がゴールと判定しました。しかし、後に「実際はラインを割っていなかった」とする論争が起こります。

逆に2010年大会の同カードでは、イングランド選手(フランク・ランパード)のシュートが完全にラインを越えたにもかかわらずノーゴールと判定され、結果的にチームは敗退してしまいます。

1966年とは逆の誤審となり、20世紀から21世紀にまたがる大きな論争に発展したのです。この2010年の誤審を契機に、カメラ方式のゴールラインテクノロジーが導入されました。

ボール内蔵センサーの役割と充電が必要な仕組み

カメラによるゴール判定に加え、現在の公式試合球はボール自体に精密な機器を内蔵する段階へ進化しています。2022年大会の「アル・リフラ」や2026年大会のトリオンダには、1秒間に500回のデータを送信するIMU(ボールの動きを測るセンサー)が組み込まれました。

このセンサーはオフサイドの判定や、選手がボールにタッチした瞬間を高精度に検出する役割を担っています。2022年大会のポルトガル対ウルグアイ戦では、クリスティアーノ・ロナウド選手がボールに触れていないとセンサーのデータが示し、得点者が訂正される出来事もありました。

ゴールラインの通過はスタジアムの専用カメラで判定し、誰がいつ触れたかはボールのセンサーで判別するといった具合に役割を分けています。このセンサーを正常に動かすためにバッテリーが内蔵されており、試合前に専用の充電器で充電する必要があるわけです。

誤審をなくす執念が詰まったボールと観戦の視点

誤審をなくして公平な試合を実現したいという積年の要請が、充電するボールという最新形にたどり着きました。ちなみに市販されているレプリカのトリオンダにはセンサーが入っていないため、一般の利用者が充電を気にする必要はありません。

選手たちのプレーを正確にジャッジするため、目に見えないボールの中の技術が試合を支えているのです。あのボールの内部で1秒間に何百回もデータが送られていると想像すれば、きわどい判定シーンの見え方も少し変わってくるはずです。これから行われるワールドカップの試合を観戦する際は、最新技術が詰まったボールの動きにも注目してみてください。

参考:FIFAワールドカップ26公式試合球:TRIONDA(FIFA)



筆者:西山雄介
5歳でボールを蹴り始め、30歳まで社会人リーグに所属し、以降もフットサルでプレーを続けてきた無類のサッカー好きライター。観戦歴はJリーグが開幕した1993年から30年以上。日本代表の試合はスタジアムでも応援し、スペインでチャンピオンズリーグの観戦経験もある。これまでに買い集めたユニフォームは計30着以上。


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