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「夏の夕方、ゲリラ豪雨が…」ベランダがプール状態に…30代夫婦が見落とした落とし穴【一級建築士は見た】

  • 2026.7.6
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「夏の夕方、ゲリラ豪雨が降ってきたんです。窓の外を見たら、ベランダがプールみたいになっていて。気づいたときには、窓のサッシを越えて部屋の中にまで水が入りかけていました」

そう話すのは、都内の分譲マンション(築16年・約70㎡・3LDK、約6,000万円)に暮らすAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。これまで気にとめたことのなかったベランダから思わぬ形で水が入り、住まいの弱点に気づきました。

「あわててタオルで食い止めましたが、フローリングが少しふやけてしまって」と振り返ります。

ゲリラ豪雨で、ベランダは「プール」になりうる

夏に多いゲリラ豪雨は、短い時間に大量の雨が降るのが特徴です。問題になりやすいのが、ベランダの「排水口」です。床は雨水が排水口へ流れるようゆるやかに傾けられていますが、排水口が落ち葉や砂、ほこりで詰まっていると水が流れず、ゲリラ豪雨では水位が上がってプール状になることがあります。

そして水位が窓のサッシを越えると、室内へ水が入り込みます。窓を閉めていても、たまった水のほうが高くなれば、すき間から侵入してしまうのです。

「自分の部屋のこと」が、階下にも影響する

この問題が怖いのは、自分の部屋だけにとどまらないことです。マンションでは、上の階のベランダにたまった水があふれ、階下の部屋に流れ込んで漏水の被害につながることもあるとされています。

知っておきたいのが、ベランダの位置づけです。マンションのベランダは、区分としてはマンション全体の「共用部分」、つまり住民みんなで共有する部分にあたります。ただし、構造上そこに出入りして使えるのは、その住戸の人だけです。そこで、その人だけが使える共用部分という意味で「専用使用部分」と呼ばれます。いわば、持ち物としては全員のもの、でも使うのはその家の人だけ、というわけです。

ポイントは、この「使うのはその家の人」という点です。そのため、日ごろの掃除や排水口のゴミ取りといった管理は、その住戸の人の役目とされています。もし日常的な掃除を怠ったことが原因で排水口がゴミで詰まり、水があふれて階下に被害を与えた場合、その賠償責任は管理組合ではなく、ベランダを使う住人が問われることがあるのです。

Aさんは幸い階下漏水までは至りませんでしたが、「気づくのが遅れていたら、下の階に迷惑をかけていたかも」とひやりとしたそうです。

Aさん夫婦はどう対応したのか

雨がやんでから排水口を確かめると、土ぼこりや枯れ葉、ゴミが流れをふさいでいました。手で取り除くと水はスムーズに流れるように。固いもので無理に突くと塩化ビニルの排水管を傷めることがあると知り、手とブラシでていねいに行ったといいます。

ふやけたフローリングについては、加入している火災保険の契約内容を確認し、保険会社と管理会社に相談しながら対応を進めたそうです。(補償の可否は原因や契約内容により異なります)

「自己流で直す前に、まず保険と管理会社に確認してよかったです。以降は、季節の変わり目に排水口を点検しています」とAさんは振り返ります。

家を買うときも住んでからも「ベランダの水はけ」を意識して

ふだん見落としがちなベランダの排水まで意識しておくと安心です。

・排水口(ドレン)が、落ち葉・砂・ほこりなどで詰まっていないか
・大雨のあと、ベランダに水がたまって引きにくくなっていないか
・排水口の掃除は、固い棒で突かず、手やブラシ、ワイヤーなどでやさしく行う
・万一の浸水に備え、加入している火災保険の補償内容や適用条件を確認しておく

「降ってから」ではなく「降る前」に備えて

ゲリラ豪雨は降り出してからの対処では間に合わないことも少なくありません。だからこそ、被害を防ぐカギは「降る前」の備えにあります。とくに梅雨明けから夏はゲリラ豪雨が増える時期。シーズンの前に一度、排水口まわりを点検しておくだけで、いざというときの安心がぐっと違ってきます。

「自分の部屋を守る」ことと「階下に迷惑をかけない」こと。その両方のために、ベランダの小さな排水口に目を向けること。それが、夏の突然の大雨と上手に付き合っていくための第一歩です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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