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「お隣が車を境界ギリギリに停めて…」4LDK購入の30代夫婦が正直モヤモヤした思わぬ落とし穴【一級建築士は見た】

  • 2026.6.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「うちとお隣の駐車場が隣り合っているのですが、間に壁がなくて境界石だけなんです。お隣が車を境界ぎりぎりに停めて、うちの敷地側で乗り降りされるので、正直もやもやしていて…」

そう話すのは、昨年、郊外の分譲戸建て(4LDK・延床約32坪/土地約40坪、約4,800万円)を購入したAさん(30代夫婦・子ども2人の4人暮らし)です。日当たりや間取りは気に入っていますが、駐車場まわりが思わぬ悩みの種になりました。

Aさん宅もお隣も駐車場の幅は2m弱しかなく、かなり狭め。しかも駐車場が玄関アプローチを兼ねているため、Aさんは隣と反対側の塀ぎりぎりに車を寄せ、運転席側からしか乗り降りできていません。一方、お隣は境界際に停めて両側から乗り降りするので、結果的にAさんの敷地を使う形になっているのです。

「これから長い付き合いのご近所なので、強く言うのもためらってしまって」とAさんは振り返ります。

駐車場の「幅」は、車のサイズだけでは足りない

そもそも駐車場の幅は、車が収まればいいというものではありません。車本体に加え、ドアを開けて人が乗り降りするスペースが要るからです。

国土交通省の指針では、普通自動車の駐車スペースは幅2.5m×長さ6.0m以上が目安とされています。しかし幅2.5mでも、車幅1.7mの車を停めると両側を合わせた余りは0.8m(片側0.4m)ほど。ドアをしっかり開けて乗り降りするには、駐車スペースの幅が2.7m以上あることが望ましく、片側が塀の場合は3.0m程度あると安心とされています。

Aさん宅のように幅が2m弱しかないと、片側に寄せて停めても、もう片側のドアは満足に開けられません。車は入るのに乗り降りがしづらいという、購入時には気づきにくい落とし穴です。

「境界の内側」をどう守るか

では、隣の人が自分の敷地にはみ出して車の乗り降りをする場合、どう考えればよいのでしょうか。

土地の所有者には、自分の敷地を自由に使う権利があります。隣の人が無断で自分の土地に立ち入ったり使ったりするのは、本来、土地の所有権を侵害する行為にあたりえます。だからといって、相手の車を勝手に動かしたり物でふさいだりする「自力救済」は法律上認められていません。トラブルをこじらせ、かえって自分が不利になることもあります。

どうしても解決しないときは、弁護士に相談するという手もあります。ただし、弁護士に依頼すれば費用がかかり、解決までに時間もかかります。さらに、相手はこの先も隣に住み続ける人ですから、法的手段に踏み切ればご近所関係が決定的に悪くなりかねません。被害の大きさと、かかる手間や関係への影響を天秤にかけると、いきなり法に訴えるのは現実的でない場合も多いのです。

Aさん夫婦はどう対応したのか

もやもやを抱えていたAさん夫婦は、いきなり強く言うのではなく、段階を踏むことにしました。

まず、売買時の図面や境界標を確認し、自分たちの敷地の範囲を改めて把握しました。そのうえで、日ごろのあいさつを大切にしながら、あるとき「うちも駐車場が狭くて、乗り降りのときに少し困っていて」と、責めない形で切り出してみたそうです。

ただ、相手の停め方はすぐには大きく変わりませんでした。相手に悪気がない場合もあれば、駐車スペースの狭さから、どうしても広い側に寄せてしまう場合もあります。一度伝えただけで解決するとは限らないのが、境界まわりの難しいところです。

そこでAさん夫婦は、外構業者にも相談し、自分たちの敷地内でできる対策を検討しました。最終的には、車の出入りや玄関アプローチの邪魔にならない位置に、低めの植栽と目立ちにくいポールを設置。境界を強く主張するというより、「ここから先は自宅側のスペース」と自然に分かるようにしたのです。

完全にストレスがなくなったわけではありませんが、お隣がAさん宅側で乗り降りする回数は減り、以前よりも気持ちに余裕を持てるようになったといいます。

「最初は相手にどう伝えるかばかり考えていました。でも、境界を確認したうえで、自分たちの敷地内でできる工夫をしたことで、少し冷静に向き合えるようになりました」とAさんは振り返ります。

家を買うときは「駐車場の使い勝手」まで確認して選ぶ

駐車場は毎日使う場所だけに、使い勝手やお隣との距離感が暮らしの満足度を大きく左右します。境界に壁がない駐車場は、開放的な反面、停め方しだいでお互いの領域があいまいになりがちです。購入を検討する際は、間取りや日当たりだけでなく、以下の点も確認しておくと安心です。

・駐車スペースの幅(車のサイズだけでなく、ドアを開けて乗り降りできるか)
・隣の駐車場との境界がどうなっているか(壁・フェンスの有無、境界石の位置)
・駐車場が玄関アプローチを兼ねていて、停め方が窮屈にならないか

こうしたトラブルは、一度伝えただけで解決するとは限りません。だからこそ大切なのは、自分の敷地の範囲を図面で把握し、感情的にぶつからず向き合うこと。そして何より、買う前の段階で「停められるかどうか」だけでなく「毎日、気持ちよく使えるか」まで想像しておくことが、こうした悩みを防ぐ一番の近道になります。

参考:駐車場設計・施工指針について (国土交通省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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