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タワマン19階を一目惚れ即決も「こんなにこもるとは…」入居後、30代夫婦を襲った思わぬ盲点【一級建築士は見た】

  • 2026.6.22
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「内見したのは、よく晴れた春の日でした。ホテルのような内廊下に一目惚れして即決したのですが、梅雨に入って、こんなに空気がこもるとは思わなくて…」

そう話すのは、都内のタワーマンション(築5年・42階建て・19階・約74㎡)を約9,800万円で購入したAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。窓のない内廊下は絨毯敷きで照明も上品。外廊下より落ち着いた雰囲気に魅力を感じ、住まい選びの決め手のひとつになったといいます。

ところが梅雨に入ると、玄関を出た瞬間の内廊下の空気が、どこか重くじめっと感じられるようになりました。さらに住戸内でも、部屋干しした洗濯物のにおいや、クローゼットのこもったにおいが気になり始めたそうです。「見た目はすごく上質なのに、梅雨はなんだか息苦しく感じました」と振り返ります。

内廊下は、自然換気より「機械換気」で環境を保つ

タワーマンションの内廊下は、建物の内側に廊下を配置し、共用部の環境を空調や換気設備で一定に保つつくりが特徴です。外廊下のように雨風や砂ぼこりが吹き込みにくく、プライバシーや防犯の面でメリットがあります。

一方で、内廊下は外気に直接開かれた空間ではないため、共用部の空気環境は自然換気ではなく、空調・換気設備の働きに左右されます。梅雨どきに「空気が重い」と感じるかどうかも、設備の設定や管理状態によって差が出ます。これは内廊下の欠点というより、外廊下とは空気の整え方が違うという「特性」です。

また、住戸内も別の意味で湿気がこもりやすい時期です。梅雨は外気そのものの湿度が高く、部屋干しや入浴後の湿気も重なります。気密性の高いマンションは、窓を開ければ解決するというより、機械換気を前提に空気環境を整える住まいです。そのため、24時間換気や給気口が十分に機能していないと、湿気やにおいがこもりやすくなります。

カギを握るのは「24時間換気」を止めないこと

現代のマンションには、多くの場合24時間換気システムが備わっています。これは2003年の建築基準法改正によって、シックハウス対策として住宅への設置が義務づけられたものです。

この仕組みは、窓を開けなくても給気口から外気を取り入れ、室内の湿気や汚れた空気を少しずつ排出するものです。梅雨どきにこれを止めたり、給気口を閉じたままにしたりすると、かえって湿気やにおいがこもりやすくなります。

とくにクローゼット、下足入れ、家具の裏など、空気が動きにくい場所では、湿気がたまりやすくなります。こうした場所は、結露やカビ、こもったにおいの原因になりやすいため注意が必要です。

Aさん夫婦はどう対応したのか

内廊下と室内のこもりが気になり始めたAさん夫婦は、まず住戸内の換気の使い方を見直しました。

ふさぎがちだった給気口を開け、24時間換気を止めずに使うようにしたほか、梅雨どきはエアコンの除湿運転を併用するようにしました。洗濯物の部屋干しは浴室乾燥機のある浴室を中心に行い、クローゼットや下足入れ(シューズボックス)は扉を少し開けてサーキュレーターで空気を動かすようにしました。

また、内廊下の空気の重さについては、共用部の空調や換気の設定も関わるため、気になる点を管理会社へ相談したそうです。「住戸の中の換気を整えるだけでも、こもり方はかなり変わりました。いまは内廊下の落ち着いた雰囲気を、また気持ちよく楽しめています」とAさんは話します。

タワマンは「梅雨の空気」まで考えて選ぶ

内廊下型のタワーマンションを検討する際は、見た目の高級感だけでなく、湿気の多い時期の空気環境までイメージしておくと安心です。とくに、次の点は確認しておきたいところです。

・内廊下の換気や空調が、どのように管理されているか
・住戸に24時間換気システムが備わっているか
・給気口の位置や、ふさがず使いやすい配置になっているか
・浴室乾燥機や除湿に使える設備があるか
・クローゼットや収納で通気を確保しやすいか

「ホテルライク」を快適に保つために

雨風が入らず、静かで、プライバシーも守られる――内廊下の上質な雰囲気は、タワーマンションならではの確かな魅力です。そして、その快適さは見た目だけでなく、空調や換気の設備がきちんと働いていることで支えられています。

大切なのは、「内廊下だから湿気がこもる」と避けることではなく、機械換気を前提とした暮らし方に切り替えて、この特性と上手に付き合うことです。24時間換気を止めない、除湿を併用する、収納の通気を意識する。こうした工夫があれば、梅雨どきの湿気やにおいは和らげやすくなり、内廊下の魅力を一年を通して楽しめます。

「晴れた日の見た目のよさ」だけでなく、「梅雨に空気がどう動くか」まで想像すること。それが、内廊下の魅力を存分に味わいながら、長く快適に住みこなすための第一歩です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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