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新築4LDKを購入も「まったく気づかなかった…」30代夫婦が後悔、梅雨に痛感した“動線ミス”【一級建築士は見た】

  • 2026.6.17
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「晴れの日の内見では、まったく気づかなかったんです。梅雨になって初めて、車から玄関までの数メートルがこんなに大変だとは…」

そう話すのは、郊外の新築戸建て(4LDK・延床約35坪/土地約48坪、土地・建物で約5,800万円)を購入したRさん(30代夫婦・子ども2人の4人暮らし)です。駐車スペースと玄関の位置関係を深く考えないまま、間取りやデザインを優先して家を選んだといいます。

ところが梅雨に入り、雨の日に車から降りて玄関までの数メートルを歩くたびに、家族も荷物もずぶ濡れになってしまう不便さに気づきました。

「子どもを抱っこして、傘を差して、荷物も持って…雨の日の乗り降りが、毎回ちょっとした戦いです」と振り返ります。

駐車場は「車を停められるか」だけでは決まらない

駐車場を考えるとき、多くの人は「車が収まるか」「出し入れしやすいか」に注目します。しかし、実際の使い勝手を大きく左右するのが、駐車場から玄関までの動線です。

とくに見落とされやすいのが、雨の日の移動です。晴れた日の内見では、車から玄関までの数メートルは気になりません。ところが雨が降ると、その数メートルで体や荷物が濡れてしまいます。子どもの乗せ降ろしや買い物帰りの荷物運びがあると、傘だけでは手が足りず、濡れずに移動するのは難しくなります。

駐車場と玄関が屋根でつながっていない住宅では、梅雨の時期にこの不便さが一気に表面化するのです。

「濡れる」だけでなく「滑る」リスクも

雨の日のアプローチには、濡れるだけでなく、滑るというリスクもあります。

玄関までのアプローチにタイルや石材が使われている場合、雨で濡れると表面が滑りやすくなります。子どもを抱えていたり、荷物で両手がふさがっていたりすると、転倒のリスクが高まります。とくに高齢の家族がいる場合は、転倒が骨折などの大きなケガにつながることもあり、注意が必要です。

アプローチの素材は、見た目の印象だけでなく、雨の日の安全性まで考えて選ぶことが大切です。

Rさん夫婦はどう対応したのか

雨の日の動線の問題に直面したRさん夫婦は、後付けでできる対策を進めました。

検討したのは、駐車スペースから玄関までをつなぐ、屋根付きの通路(アプローチ屋根)です。最近は、既存の住宅にも後付けできるアプローチ屋根が販売されており、駐車場の屋根と一体化させることで、車から玄関まで濡れずに移動できるようになります。

ただし注意したいのが、屋根のあるカーポートやアプローチ屋根は、建築基準法上、原則として建築面積に算入される点です。後付けすると、敷地の建ぺい率の上限を超える可能性があります。さらに、設置する地域や規模、既存建物との関係によっては、建築確認申請などの手続きが必要になる場合もあります。Rさん夫婦も、設置前に施工業者と自治体に建ぺい率や手続きを確認し、問題がないことを確かめたうえで設置しました。

あわせて、滑りやすかったアプローチのタイル部分には、滑り止め加工を施しました。「外構は引き渡し後でも手を入れられるけれど、追加工事になるぶん費用はかさむ。最初から雨の日の動線まで考えておけばよかった」とRさんは振り返ります。

駐車場は「雨の日の動線」まで考えて選ぶ

戸建ての購入や駐車場の計画では、車を停められるかどうかだけでなく、雨の日の移動まで具体的にイメージすることが大切です。とくに以下の点を意識してみてください。

・駐車スペースから玄関までの距離と、屋根の有無
・アプローチの素材(雨の日に滑りにくいか、防滑加工はあるか)
・子どもの乗せ降ろしや荷物運びのしやすさ
・将来、屋根や通路を後付けできる余地があるか(自治体ごとに異なる建ぺい率の余裕や手続きも確認)

「雨の日に強い住まい」にするために

ここまで雨の日の動線の問題を中心に紹介してきましたが、駐車場と玄関の動線は、計画段階で意識すれば十分に快適にできます。

駐車場と玄関を近づける、屋根付きの通路でつなぐ、滑りにくい素材を選ぶ──こうした工夫があれば、梅雨の時期も濡れずに、安全に乗り降りできます。屋根や通路は後付けでも対応できますが、建ぺい率の上限に余裕がなければ希望どおりに設置できないこともあり、追加の手続きや費用もかかります。新築時にまとめて計画しておくほうが、法的な制約をクリアしやすく、費用も仕上がりも有利になることが多いものです。

「晴れの日の使いやすさ」だけでなく、「雨の日に、子どもや荷物を抱えて快適に移動できるか」まで想像すること。それが、梅雨を快適に過ごせる住まいづくりの第一歩です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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