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「車は1台、駐車場も1台分あれば十分」戸建てを購入した40代夫婦。数年後、後悔することになった切実なワケ

  • 2026.7.6
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

マイホームを購入するとき「車は1台しかないから駐車場も1台分あれば十分」と考える方は少なくありません。駅が近い立地ならなおさらでしょう。

しかし、家族の暮らしは何十年も続きます。その間には子どもの成長だけでなく、親の介護など、購入時には想像していなかった出来事が起こることもあります。そのため、現在の暮らしだけを前提にした駐車場計画が、将来も最適とは限りません。

今日は、駐車場1台分の戸建て住宅を購入したことで、数年後、介護生活の中で大きな負担を抱えることになった40代ご夫婦のお話をご紹介します。

Aさんが譲らなかった駐車場計画。「車は1台で十分」

これは5年前、私が会社員時代に不動産売買仲介に携わっていた頃のお話です。

40代のAさんご夫婦は、駅から徒歩圏内にある戸建て住宅を購入されました。共働きで、お子さまはいません。車は1台だけ所有しており、ご主人は電車通勤でした。

「車は1台で十分なんです。維持費もかかりますし、電車通勤なので2台目はいらないんですよ」

特に頻繁に友人や親族が訪れるわけでもありません。限られた敷地を有効活用するため、駐車場は車1台がちょうど収まる広さに設計し、その分、庭やアプローチを広く確保しました。

数年後に事情が一変。始まった親の介護

状況が変わったのは、入居から数年後です。

離れて暮らしていたお母さまの体調が悪化し、ご自宅で同居しながらAさんご夫婦が介護を支えることになりました。通院の付き添いだけでなく、買い物の支援や各種手続きも増え、自宅には訪問介護スタッフやケアマネジャー(介護サービス全体の計画を作成・調整する専門職)が訪れるようになります。

ところが、そのたびに困ったのが駐車場所でした。自宅の駐車場は自家用車で埋まっています。近隣にはコインパーキングもあまりありません。訪問介護スタッフたちからは、駐車場所について相談されることもありました。

「前面の道路が狭くて停めづらいですね…」「近くに駐車できる場所はありますか?コインパーキングでもいいのですが…」

親族が車で来る日も重なると、誰かが離れた場所へ車を停めに行かなければならず、介護そのものよりも駐車場所の確保に時間を取られる日もあったそうです。

雨の日の送迎は想像以上に大変だった

さらに負担が大きかったのは雨の日でした。介護タクシーが到着しても、自宅前には十分な駐車スペースがありません。

道路状況によっては停車しづらく、慌ただしく車椅子へ移乗したり、荷物を積み込んだりしなければなりませんでした。

「しまったな…。車を停める場所さえあれば、もっと落ち着いて介助できたのに…」

Aさんは、何度も後悔したそうです。

実は、訪問介護などで使用する車両については、地域や状況によっては警察署へ申請し「駐車許可証」の交付を受けられる制度があります。ただし、申請すれば必ず許可されるわけではありません。Aさんのケースでも、前面道路の幅や周辺の交通状況などが理由で、許可が下りませんでした。

参考:駐車許可の概要、申請手続等(警察庁)

駐車場を広げようとしたが約100万円の工事費が必要に

ご夫婦は、駐車場をもう1台分増やせないか検討しました。しかし、庭や植栽、門柱など外構を大きく作り直す必要があることが判明します。

見積もりは約100万円。

「この部分を駐車場にするには、庭の撤去や門柱・アプローチのやり直し、土間コンクリートの打設など大規模な外構工事が必要になります。費用も時間もかかるので、簡単な工事ではありませんよ」

施工会社からこのような説明を受け、ご夫婦は工事を断念しました。結局、その後も介護サービスや親族が来るたびに駐車場所の確保へ気を配る生活が続いたそうです。

駐車場計画は将来の暮らしまで見据えて考えたい

戸建て住宅では、庭やアプローチの広さを優先したくなることがあります。

一方で、家族の暮らしは購入時のまま続くとは限りません。

親の介護でライフスタイルが変化すると、必要な駐車スペースも大きく変わる場合があります。特に介護では、訪問介護や介護タクシー、親族による送迎などで車の出入りが増えることもあるでしょう。

状況によっては駐車許可制度を利用できるケースもありますが、地域や条件によって運用が異なるため、必要になった際は担当者や警察署への確認が必要です。

住宅は建物だけでなく、外構も一度完成すると簡単には変更できません。

だからこそ、現在の車の台数だけで判断するのではなく、10年後、20年後に親の介護や同居、子どもの成長などで暮らし方が変わる可能性まで想像しながら、家づくりや駐車場計画を考えることが大切です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。

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