1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 障害のある息子のため“3,000万”貯めた60代夫婦→「とにかく多く遺してあげよう」貯蓄を続けたが…相続時に直撃した“想定外の誤算”

障害のある息子のため“3,000万”貯めた60代夫婦→「とにかく多く遺してあげよう」貯蓄を続けたが…相続時に直撃した“想定外の誤算”

  • 2026.6.17
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、障害のある息子さんの将来のために貯蓄を続けてこられた60代Oさんご夫婦の体験談です。

「親が貯めたお金で何とかなる」と考えていたものの、相続でまとまった財産が渡った際の管理や生活費の受け渡しに不安を感じ、生前から使える制度を知らなかったと気づかれた経緯をご紹介します。

「親が貯めたお金で、息子の将来は何とかなる」

Oさんご夫婦は60代。障害のある息子Tさん(成人)の将来のため、長年こつこつと約3,000万円の貯蓄を続けてこられました。

「自分たちが遺すお金で、息子の生活は何とかなる」と考え、生前に特別な手立ては取っていなかったといいます。

「とにかく多く遺してあげようと、それだけを考えていました」と言われていました。

相続でまとまった財産が渡るときの難しさ

ご主人のOさんが他界され、息子のTさんにまとまった財産が相続されることになりました。

相続税については、障害のある方が財産を相続する場合、「障害者控除」によって税額が大きく軽減され、かからないこともあります。ご夫婦が本当に直面したのは、障害のあるお子さまが、まとまった財産をご自身で管理していくことの難しさでした。親が元気なうちは支えられても、親亡き後に誰が管理し、計画的に生活費を渡していくのかという不安です。

実は、生前から使える制度がありました。特定贈与信託です。障害のあるお子さまのために、信託銀行などに財産を預けると、重い障害のある特別障害者は6,000万円、それ以外の特定障害者は3,000万円まで贈与税がかかりません。

さらに、親御さまが亡くなった後も信託銀行が財産を管理し、お子さまへ定期的に生活費を渡してくれる仕組みです。

「お金を遺すことばかり考えて、どう渡すかを考えていませんでした」

Oさんの奥さまはそう振り返ります。

生前に使えば、非課税の枠と管理の備えに

特定贈与信託を生前に使っていれば、6,000万円(または3,000万円)まで贈与税がかからず、親御さま亡き後の管理も信託銀行に任せられました。

この信託の大きな利点は、贈与税の非課税枠に加えて、親御さま亡き後も信託銀行が財産を管理し、計画的に生活費を渡してくれることです。相続税そのものは障害者控除などで軽くなることも多く、特定贈与信託はおもに「どう管理して渡すか」を整える備えになります。

「いくら遺すか」だけでなく「どう渡すか」

障害のあるお子さまの将来を支えるとき、大切なのは「いくら遺すか」だけではありません。「どう渡すか」を生前から整えておくことが、重要です。

特定贈与信託を使えば、特別障害者は6,000万円、それ以外の特定障害者は3,000万円まで贈与税がかからず、親御さま亡き後も信託銀行が財産を管理してお子さまへ生活費を渡してくれます。

Oさんご夫婦のように「貯めること」だけに気を取られず、信託や生前贈与といった渡し方も含めて、早いうちに専門家へ相談しておきましょう。それが、お子さまがこの先安心して暮らせる備えになります。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

の記事をもっとみる