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アラフィフ男性が『セカンドハーフガールズ』を読んでみた。推しが八つ股不倫→40代独身女性3人は、人生の後半戦をどう生きていく?【書評】

  • 2026.5.22
セカンドハーフガールズ 稚野鳥子/講談社
セカンドハーフガールズ 稚野鳥子/講談社

【漫画】本編を読む

今や老若男女だれもが夢中になれる“推し活”。マンガ『セカンドハーフガールズ』(稚野鳥子/講談社)の主要キャラ3人の女性たちは、アラフォーにして、“推し”に全力であった。だが、推し活を楽しむマンガだと思って読み始めると、物語は一変する。本記事では、アラフィフ男性の立場で彼女たちの奮闘をレビューしたいと思う。

小山田寧々(おやまだ ねね)、五十嵐樹百合(いがらしじゅり)は共に40歳で中学生からの付き合い。いわゆる幼馴染であり、独身であり、そして推しを同じくするオタ友であった。彼女たちは余暇も収入もほぼ推しのアイドル・RENJIのために使っている。これもまた充実した人生だ。中年男性である自分にも覚えがある。若い頃よりも多少余裕ができるため、時間もお金も趣味につぎ込めるのだ。

他がどうあれ彼女たちは幸福だ。年下が羨ましがるほど彼女たちは肌ツヤも良く元気そのもの。推しがいることは健康に良いのである。だが、幸せな時間は唐突に終わる。ある日推しだったRENJIの八つ股不倫が発覚しそのまま芸能界を引退してしまう。寧々たちの生きがいであった推し活が消滅したのだ。彼女たちの生活は空っぽになる。

寧々たちは、自分たちが人生を折り返していたことに気づく。日本人の健康寿命(※)は女性なら約75歳で、彼女たちは既に半分以上生きてしまっていた(男性の健康寿命は約72歳)。40歳の寧々たちは人生の後半戦、つまりセカンドハーフに突入していたのだ。

※日常生活を自立して元気に過ごせる平均的な期間、平均寿命とは異なる

人生を試合にたとえると、前半は推しという得点を奪い勝っていた。だが理不尽な逆転をゆるしてしまった。寧々と樹百合と、少し年下の広橋由宇の3人は、セカンドハーフの戦いに向けて戦略・戦術を練り直すことに。

寧々は40代からのマッチングアプリに挑戦し、樹百合は中学の同級生とワンナイトラブを経験し、由宇は自分を担当する美容師に心をときめかせる。だが、そこで彼女たちは中高年の恋愛の難しさや体力の衰えを突きつけられる。

それでも彼女たちは生きていく。何度倒れても、そのたびに立ち上がる。そうするのが人生なのだ。推しを無くしても、体力を失っても、恋に失敗しても人生は終わらないのだ。

彼女たちのセカンドハーフの戦いは、前向きで素晴らしいと感じるだろうか。はたまた身につまされるだろうか。同じく人生を折り返している私は、性別を超えて共感しすぎて笑えなかったが“学び”があった。

どんなことがあっても人生には楽しむ余地が残っているということ、何かにときめこうとする勇気をもつべきだということを、セカンドハーフガールズは教えてくれる。彼女たちの戦いを終わるまで見届けよう。そして自分も、試合終了のホイッスルが鳴るまではやりきろう、そう思えた。

文=古林恭

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