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40代からの「歯肉やせ」の原因は老化ではない? すぐに始められるセルフケアと対策を専門医が伝授

  • 2026.5.22


話を聞いたのは……
大岡 洋(おおおか ひろし)

大岡歯科医院 目黒診療所院長。東京歯科大学卒業後、ハーバード大学歯学部・公衆衛生学部大学院修了。Sc.M.(Master of Science)取得。東京歯科大学非常勤講師(審美・咬み合わせ分野)。2003年、東京都品川区の大岡歯科医院(目黒診療所・中延診療所)の3代目の代表に就任。予防歯科から、難易度の高い顎関節症の治療まで幅広い治療を行っている。

「老化」という誤解。40代から始まる歯肉やせの真実

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「歯と歯の間の隙間が広くなった気がする」「歯肉がやせて下がってきた気がする」。40代以降の女性たちからこんな声が聞こえてくる。「歯肉がやせるのは老化現象のひとつ」と思っている人も多いはずだ。しかし『歯みがきするから歯は抜ける』の著書があるハーバード大学歯学部で臨床と公衆衛生学部で予防医学を学んだ大岡歯科医院の大岡洋氏は「年齢ではなく歯周病が原因のケースが非常に多い。実際に20代でも歯肉やせが起きている人はいます」と指摘する。

「ギネスブックに『罹患している人が最も多い感染症』と掲載されている歯周病は、20年以上かけてゆっくりと症状なく進行します。さらに免疫が低下し始め、ホルモンバランスが崩れる30~40代はまさに歯周病の全盛期。“歯肉やせ”は、その初期症状と言えます」

歯肉やせの真の黒幕。土台である「骨」を侵食する歯周病菌の脅威

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「多くの人が歯周病を老化現象と思いがちですが、歯肉は皮膚の3倍以上の速さで、実年齢に関わらず新陳代謝を繰り返す再生能力をもつ、いわば“老化しない”組織です。ですから、加齢で歯肉がやせたわけではありません」

その原因は、歯を支えている骨にあるという。「歯周病は歯周病菌が歯と歯肉の隙間に入り込み、歯を支えている骨を溶かす病気です。歯肉がやせたと訴える人のほとんどは歯周病が始まっています」。

やせた歯肉を戻す治療としては、口腔内の歯肉を採取して移植する外科処置、ヒアルロン酸を注入する処方などがあるが、どれも対症療法的なアプローチと言える。大岡氏は「どの治療法を選択しても、歯周病のケアが不十分であれば、再び歯肉がやせてしまいます」と語る。

では、気になる歯肉やせはどう対処したらいいのだろうか。

歯肉やせから歯茎を守るために重要な、歯磨きの基本ルールとは?

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「そんなことで? と思う人もいるかもしれませんが、日頃の歯ブラシを見直してみてほしいと思います。歯周病は歯肉の血液循環が悪いために引き起こされた状態ですから、歯と歯肉の境目に歯ブラシを入れて汚れを取るとともに、マッサージすることが大事です。残念ながら、歯の白い部分だけを磨きあげる『歯磨き』では歯周病には効果がありません。また歯ブラシは柔らかめや超極細毛はNGです。汚れが取れず歯肉を逆に傷つけますので、おすすめできません。『ふつう』の毛質を選ぶといいでしょう。

毎食後歯ブラシすることが推奨されていますが、歯周病菌は抗菌作用のある唾液が少なくなる就寝中に活動しますから、毎回3分鏡も見ずに歯ブラシするなら、就寝前に10~15分かけて鏡を見ながら、エサとなる汚れを取り除く方が予防効果はある、と私は考えます。歯ブラシの仕方に関しては自己流の人が多いので、一度歯科医院でチェックしてもらい、効果的な歯ブラシの仕方を教えてもらいましょう。また、2~3カ月に1度は歯科医院でセルフケアだけでは取れない汚れを除去してもらいましょう。地道なケアですが、歯周病ケアがきちんとできれば歯肉やせは止まり、若々しい口元を持続できるはずです」

From Harper's BAZAAR Apri 2026 Issue

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