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更年期に血圧が上がる理由。エストロゲンの減少と“血管の老化”に向き合う、40代からのヘルスケア

  • 2026.5.21

突然の高血圧に戸惑う声が多い更年期。低血圧だった人が40代後半から急に血圧が上昇する背景には、エストロゲン低下による血管の老化や自律神経の乱れが潜んでいる。性差医療の専門医に聞く、血管のしなやかさを守るメカニズムとは?

話を聞いたのは……

宮尾益理子(ミヤオマリコ)
医学博士・アットホーム表参道クリニック副院長。東京大学大学院加齢医学講座修了。同大学医学部附属病院老年病科、関東中央病院代謝内分泌科、同院健康管理センターなどを経て2018年より現職に。正常な加齢変化、特有の病態や疾患など「高齢者総合診療」の専門家、さらに女性特有の症状や病態、健康、「性差医学」の専門家として活躍。現在も東京大学医学部付属病院でも診療している。https://www.o-athome.jp/

更年期の女性に急増する「突然の高血圧」への戸惑い

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「ずっと低血圧だったのに、高血圧注意と言われ、戸惑っている」。更年期に差しかかる40代後半の女性たちからこんな声をよく聞く。「確かに女性はもともと低血圧な人が多いのですが、更年期を境に血圧が上昇し、高血圧の診断を受ける人も少なくありません」というのは性差医療に詳しいアットホーム表参道クリニックの宮尾益理子医師だ。

そもそも血圧は、血液が動脈を流れるときの血管の内側にかかる圧力を意味している。病院で測定すると高めに出る傾向があるため、血圧の正常基準は120/80mmHg未満、自宅測定なら115/75mmHg未満。140/90mmHg以上であれば高血圧と診断される。

「更年期以降に血圧が上昇する理由はひとつではありません。最大の理由はエストロゲンの低下。エストロゲンは血管のしなやかさを守り、血管抵抗を下げる働きを持っていますが、閉経とともにエストロゲンが減少し、血管の老化が進むことで高血圧に移行しやすくなるのです」

「忙しくて休めない」が血管の負担に。睡眠の質と血圧の意外な関係

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「そして、更年期から体脂肪のつき方も変わります。以前は皮下脂肪中心だったのが男性と同様に内臓脂肪が蓄積しやすくなります。エストロゲンの力を失うことで、更年期以降は男性に多かった疾患を起こしやすくなるのです」

さらに更年期世代の生活様式も高血圧に影響していると宮尾医師は指摘。

「更年期になると自律神経が乱れやすく、睡眠の質が低下する人が少なくありません。忙しいのに休めない、そんなストレスがある環境も血圧上昇に影響していると考えられます。特に睡眠は、6時間未満だと血圧が上昇するという研究データもあります」。日本人女性はそもそも睡眠時間が短いこともあり、こういった実態を知らない女性が多いという。

「女性の場合、定期的に健康診断を受けていない人も少なくないため、血圧を把握する機会がなく、気づかないことも多いのです。ただ、血圧上昇は血管のダメージに影響し、心臓や脳など命に関わる部位の疾患にも関与します。スポーツクラブ、薬局などで血圧計を見かけたら測ってみましょう。血圧が高いと言われた人は、腕で測るタイプの血圧計を購入し、朝晩2回の家庭での測定を続けてみて」

「一度飲み始めたら一生?」血圧の薬に対する不安と、内服が必要な理由

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血圧コントロールには、減塩や運動、十分な睡眠などが効果的だが、それでも血圧が上昇する場合は、内服薬が必要となる場合もある。

「血圧の薬は、一度飲んだら一生やめられないので……と躊躇する人がいますが、高血圧が続くと、血管、心臓、腎臓に負担がかかります。内服薬で血圧を安定させ、内臓を守ることが重要です。必要な場合には、内服薬も利用しましょう。中には低血圧のままの人もいます。痩せていて、筋肉量が少ない人に多い印象がありますが、測ってみなくてはわかりません。血圧は体質や生活習慣などの多くの要因で決まりますが、副腎や甲状腺などのホルモンの異常が原因の可能性もあるので、受診して調べてもらうことも必要です」

From Harper's BAZAAR May 2026 Issue

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