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『21世紀の大君夫人』はなぜ炎上したのか?IUとピョン・ウソク主演の王室ラブコメを徹底解説

  • 2026.5.20
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「王室☓財閥」という韓国ラブコメ成功パターンの全部盛り!と思って見始めたら、ぶっ飛んだラストに「そんな壮大なドラマだったんかい!」と誰もがびっくりしたに違いない『21世紀の大君夫人』。今回は5月17日に最終回を迎えたばかりの同作を大特集。

「ソンジェ」ことピョン・ウソクのカッコよさ、安定のIUの可愛さ、なんかしらんけど『タイタニック』しちゃうふたりのラブラブぶり、往年の名作『宮 ~Love in Palace~』との比較から、実は時代劇の鉄板とも言える設定まで、渥美が細かく解説させていただきます!

まずはあらすじを振り返り!

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舞台は、王室が存在する立憲君主制の架空の現代韓国で、ウソクは先王の弟=「大君(テグン)」。現在の王様は何年か前に死んだ先王の長男=まさかの8歳で、テグンは形ばかりの「摂政」として甥っ子を助けてるんですが、その手腕とイケメンぶりで王様以上に目立っちゃって国民に愛されてる存在です。王の母(つまり義理の姉)=「大妃(テビ)」のコン・スンヨン(『悪縁 アギョン』)は当然これが面白くないわけで、アイドルも結婚すりゃ人気がなくなる韓国で、スンヨンはウソクを潰すべく、どこぞの可もなく不可もない適当なご令嬢と結婚させようと目論みます!

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一方のIUは財閥キャッスルグループの常務で会長の長女。子供の頃から成績も抜群、美貌と派手さを持ち合わせ今どきのメディア戦略もダーティーな陰謀もお手のもの、部下を震え上がらせるカリスマ経営者なんだけども、韓国財閥モノのお約束、父親は後継者にアホな兄を推しており、IUはさっさと結婚させようとしてるんですね!なぜかっつうと、IUは「女子」である上に「庶子(愛人との間に生まれた子)」だから!

Courtesy via MBC

そんな中、「身分だけがない」IUは陰謀をめぐらし、「身分しかない」ウソク大君と結託して偽装結婚を企てます!国中がうっとりびっくり、スンヨン大妃大激怒の、ド派手なロイヤルウェディングをぶち上げるわけです!

リアル王子様ピョン・ウソクのカッコよさ!

最大の見どころは、なんつったってピョン・ウソクのカッコよさです!ウソクと言えば、主演のボゴムを完全に食った(※個人の感想です)カッコよさだった『青春の記録』、そして一昨年の『ソンジェ、背負って走れ!』の大ブレイクを経て、Aリスト入りして初の連ドラ主演作なわけですけど、イヤホント、ファンの方は待った甲斐がありました!というカッコよさなんじゃないでしょうか!

『花が咲けば、月を想い』(2021年)の世子ウソク。 Courtesy via KBS

ウソクの作品では、個人的には『花が咲けば、月を想い』っていうのが大好きで、なんでかいうたらここで演じているのが「世子様」つまり王子様で、これがもうめちゃめちゃカッコいいんですよ! 私の中で「王子様っていったらウソク」っていうのが出来上がっちゃったんですね!

Courtesy via MBC / Disney+
Courtesy via MBC / Disney+

だもんで今回の王子役は(現代版とは言え)待ってました!って感じなんですけども、ドラマの中でも「王子スーツ」って言ってるんですが、韓服風の前合わせのシャツに合わせるスーツはほとんど常にショールカラーで、今どきこのスタイルがこんなに似合う人が他います?!って感じの優雅さ!ウソクは少しなで肩気味で、なにしろ首が長く姿勢がいい!なんで、スーツはもちろんですけど、韓服の場面も王子様としてこれ以上ないハマりぶり!

時折入るベッドシーンは韓ドラおなじみのコメディ展開もあり。 Courtesy via MBC

ウソクのすごいところは、そういう高貴さを演じながらも、クスッっていう笑いを入れられるところ!「実は偽装じゃなくて、互いに好きなんじゃないの~」って感じになり始める6話くらいからの微妙な笑いの場面とかもすごい上手い!7話の結婚式の衣装合わせで、尚宮から「呼び方を”後輩殿”から変えたほうが」と言われ、初めて「私の妻」と発した時の、嬉しいのにそれを見せるのが恥ずかしくて取り繕うものの、嬉しさが溢れちゃうみたいな表情とか、もうめちゃめちゃ上手い!つうか可愛い!!ので是非!

王室×財閥でとにかく豪華!

あとはなんといっても、とにかくビジュアル的に豪華であること!韓国ラブコメの定石は「身分違い」で、「財閥☓新入社員」「王子様☓女官」「両班のお姫様☓下っ端武官」「会社CEO☓新入社員」「大スター☓マネージャー」「大作家☓新米編集者」みたいなことが多かったんですけど、今回はあなた「王室☓財閥」だもんで、そりゃ身分的には王族が上なんでしょうけど、「財力は常に私のほうが上」ってIUも言ってたりなんかしてるんで、ドラマはずーっと天上界の話です!

私邸とは…? Courtesy via MBC

出てくるクルマはずーっとベンツでそれもとっかえひっかえだし、IUが事故ったスポーツカーは韓国で数台、なんてエピソードもあったし、クルマだけじゃなくてヨットとかもあるし、王宮はさておき、ウソク大君の私邸つうのも、なんなんだよその全面ガラスぶりは!割れたら直すのいくらかかるんですか!って感じだし、IUのマンションもマンションのくせして廊下長がすぎるだろ!!って感じだし、ラストに出てくるベッドとかプロダクトプレイスメントなんだろうけど、あまりにデカすぎてどっちが縦でどっちが横かわかんないだよ!って感じで、韓ドラでおなじみ庶民のサンドウィッチ「サブウェイ」のプロダクトプレイスメントとかどうやってねじ込もうか、そらもう知恵を絞ったと思います!不自然極まりない形で出てくるのも御愛嬌!

ウソクの義理の姉(王である兄の奥様すなわち王妃)役のコ・スンヨンの低音ボイスの台詞まわしがいちばん王族っぽいと、炎上のさなかひそかに評価を上げていた。 Courtesy via MBC

ウソクとIUの衣装はもちろんですが、個人的にはコン・スンヨンの衣装が印象的でした!現代的にアレンジされた韓服もよかったし、エレガントかつ高飛車な雰囲気の洋服も素敵なので、2回目に見る方はそのあたりもぜひご注目ください!

現代劇っぽいけど、実は全然時代劇!

私は韓国ドラマにおいては、現代劇も好きだけど、時代劇のほうが実は好きかもと言う人でして、今回のドラマの面白さは、舞台は現代だけど「時代劇だったな!」という感想です!というのもですね、このドラマの人物配置は、まんま「ドロドロ時代劇」とそっくりだから!

現代劇とは思えないほど、ウソクのロイヤル衣装シリーズが楽しめるのも醍醐味。 Courtesy via MBC

そもそも「大君」という地位は、時代劇では「陰謀の始まりの合図」!李朝の王室では、基本的に王様の息子=王子たちは基本的に「大君」と呼ばれて、そこから「王を継ぐことが決まった王子」が「世子(セジャ)」になる、つまり世子が決まった後の「大君」は「王位継承権がない王子」って意味なんですけど、当然ながら世子に何かあれば「次の世子になる資格を持った存在」なので、「今の世子は気に入らねえな!」って人たちに利用されがちなんですね。同時に、大君自身が「世子になるべきは俺なのに」と思ってる場合もあります!ドラマの序盤でウソクを「現代の首陽(スヤン)大君」と呼ぶセリフが何回かあるんですけど、このスヤン大君っていうのは、ハングルを考案した李朝4代セジョン大王の次男で、父の後継で王になった兄の死後、王になった幼い甥っ子を王座から引きずり下ろし、7代王(世祖)になった人です。つまりウソク大君は世の中に「王位を狙ってる、ゆくゆくは甥っ子から王位を奪うのでは?」と思われてる存在ってことです!

韓ドラあるあるの、ヒロインに恋するけど全く報われない可哀想な男ポジをしっかりと演じきったノ・サンヒョン。 Courtesy via MBC

さらに、ウソク大君と対立する王の母スンヨン大妃の実家は「王妃を4代続けて出している家系」なんですが、娘を王に嫁がせる(=外戚になる)ことは、娘がいる(もしくは娘しかいない)家系が王宮で権力を握るための常套手段で、王妃の父親=府院君(プウォングン)もまた、陰謀には欠かせません!そしてノ・サンヒョン(『サウンドトラック#2』)演じる総理大臣!これは朝廷の最高権力者=領議政(ヨンイジョン)で、ドロドロ時代劇でNo.1の陰謀マン!!まさに面白い時代劇そのまんま、鉄板の人物配置なんですね!

「宮」との対比と、大炎上中の歴史修正問題

古くからの韓国ドラマファンはご存知だと思いますが、「韓国に王室が存在していたら…?」という発想から始まるドラマの元祖は、本作と同じMBCで2006年に放送された超大ヒットドラマ『宮(クン)~Love in Palace』。

『トラウマコード』のチュ・ジフンが王子様を演じて大スターになったドラマです。今回のドラマの放送開始の会見でも、監督が「『宮』に負けないくらいの面白いドラマなので」とアピールしていて、個人的には「王室」を見る視点がどれだけ現代的に変わっているのかな~なんてことをポイントに見ていたんですが、みなさんはどう感じたかな~なんてことにも興味が湧きます!

実は今回のドラマは、韓国で評判を呼ぶと同時に、王室の描き方について物議を呼び大炎上もしちゃっているんですねー。韓国は自分たちが築いてきた国のあり方、その歴史にプライドを持っているので、歴史をベースにした作品だと「ファンタジーだからって何でもかんでも許されるもんじゃない」という人も多く、これまでも『哲仁王后 俺がクイーン!?』とかも議論を呼んでたし、2話放送で電撃的打ち切りになった『朝鮮駆魔師』なんてドラマもあったりして、結構難しい部分があるんですね。私は歴史好きなので、確かにちょっと「これはどうなってこうなったのかな?」と思う部分も無きにしもあらずだったんですけど、それにしても主役のIUが矢面に立たされ謝罪めいたことまでするハメになったというのは、なんとも気の毒だなあ…としか思えません。

唯一深堀された脇役がこのふたりというのでまたプチ炎上…。 Courtesy via MBC

結論:16話でしっかり描けばまだ炎上は防げた!?

昨今気になっているのは、やっぱり面白いドラマは16話なんだよな!ってこと。今回のドラマでも「キャッスルビューティーの社内に面白いキャラがたくさんいたのに!」とか「チョ・ジェユン(『還魂』)演じる府院君のワルな部分がもっと見たかった!」とか思っちゃって、16話だったらあれもこれもぜーんぶできたのに~と思わずにはいられなかったんですけども、もし16話だったら設定の部分ももう少し丁寧に描くことができたかもしれないな~なんて思う渥美でした!

『21世紀の大君夫人』
ディズニープラススターにて全12話配信中。

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