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『プラダを着た悪魔2』アンディの恋人は必要だったのか?恋愛ライターが斬る

  • 2026.5.19
Aeon / Getty Images

※この記事は『プラダを着た悪魔2』のネタバレを含みます。

映画『プラダを着た悪魔2』が公開されて以来、本作に関するさまざまなトピックがSNSをとおして議論されている。煌びやかなファッションはもちろんのこと、メディア業界における変革の必要性や、仕事のあり方まで、そのテーマは実に幅広い。

そんななか、セックス&リレーションシップを専門にする恋愛ジャーナリスト、メーガン・ウォレスは、本作の「『恋愛の描かれ方』が最も興味深かった」と語る。その理由とは? US版『コスモポリタン』より。

アンディにとって、恋愛は不要?

20年前に公開された前作同様、本作はラブコメというより、“お仕事映画”としての要素が強い。アン・ハサウェイ演じるアンディ(アンドレア)は、子どもを持たず(卵子を凍結していることに触れている)、シングルで、パートナーを見つけなければならないという願望もほとんど抱いていない。彼女が「人生の意味を見つける方法は、恋愛だけではない」と認めているところも新鮮だ。よき友人たちに囲まれ、クリエイティビティを発揮し、キャリアに必死に食らいつくことも、人生の目的になり得るのだと証明している。

James Devaney / Getty Images

恋人役のキャラクターは何の特徴もない?

とはいえ、本作ではアンディに男性の恋人が登場する。彼の名前を覚えていない人がほとんどかもしれないが、パトリック・ブラモール演じるピーターは、これ以上ないほど“一面的”な人物として描かれているのだ。もちろんパトリックの演技自体は申し分ないのだが、ピーターについてわかっていることといえば、1)オーストラリア人で、2)建設業界で働き、3)離婚経験があり、4)アンディのことを心から大切に思っている、ということだけだ。

これには、興味深い点がいくつかある。まず、2006年の第1作を読み解くうえで、アンディの恋人ネイト(エイドリアン・グレニアー)は、彼女のキャリアに対する野心や、デザイナーブランドをまとった美しい姿に脅威を感じる“悪役”と見なされることが多い。

20年後にも同じことが繰り返されないようにするため、続編の製作陣は恋人の役割を、「職に就いている独身男性がまだ存在する」と私たちに思い出させるためだけの、“何の深みもない彼氏”に置き換えることにしたようだ。

さらに興味深いのは、前作『プラダを着た悪魔』の原作小説の続編である、ローレン・ワイズバーガーの『プラダを着た悪魔 リベンジ!』との違い。この小説はウエディング業界がテーマとなっており、アンディ自身も結婚し、ウエディング情報誌を立ち上げることになる。

いっぽう続編映画でのアンディは、恋愛を人生の中心に置くキャラクターとして描かれていない。むしろ恋人であるピーターを単なるお飾りのような存在として描いた点においては、“フェミニズムの勝利”といえるのかもしれない。

登場人物の恋愛や結婚の行く末は?

また、『プラダを着た悪魔2』はさまざまな意味で、1作目が持つ“若々しい楽観主義”を覆す作品だ。登場人物たちは年齢を重ね、賢くなり、自分たちの人生が「理想的なおとぎ話」とかけ離れた道筋をたどっている現実と向き合っている。この映画は、2026年に私たちの多くが抱える、仕事や家族、恋愛、離婚など、複雑で多面的な人間関係のあり方をいくつも描いているのだ。

前作から登場するエミリー・ブラント演じるエミリーは、「ディオール」での責任ある仕事にまい進しながら、かなりクセのある億万長者の恋人ベンジー(ジャスティン・セロー)との関係をエンジョイし、元夫とはぎくしゃくしつつも共同で子育てをしている。

いっぽう、トレイシー・トムズ演じるアンディの親友リリーは、40代の成功したギャラリストで子育てをしている模様。

そして、前作の終盤で痛烈な離婚を経験した、メリル・ストリープ演じる編集長のミランダは、その原因の少なくとも一部はワーカホリック的な生き方にあったと示唆されていたが、今回は新たな愛を見つけている。相手は、どこまでも彼女を支える夫で、音楽家のスチュアート(ケネス・ブラナー)。情緒的な成熟度でいえば、間違いなく上位1%に入る男性だ。

Jason Howard/Bauer-Griffin / Getty Images

これほどまでに多様な人間関係が描かれているなかで、なぜアンディに“一面的な恋人”が必要だったのかは、正直なところ理解しがたい。パートナーを探していない女性であることの、何が問題なのだろうか。感じのいい男性が現れた瞬間、なぜ私たちは彼女が再びデート市場に身を投じることを期待してしまうのだろうか。

なお、ピーターが本当に“一面的”だったのかについては、別の見方もある。ピーターを演じたパトリックの妻で、俳優のハリエット・ダイアーは、「シーンがカットされた」「編集が容赦なく削られている」とSNSで反論。アンディとのデートシーンとみられる場面も本編から外されたことに触れ、スクリーンに残ったピーターの存在感の薄さは、脚本上の意図というより編集の結果だった可能性を示唆している。

そもそも、アンディの仕事の状況は、持続不可能に近いほど厳しい。デートを優先事項のひとつとして考える余裕が彼女にあるとは、なかなか想像しづらい。そしてアンディのキャリアが抱える複雑さ以前に、「恋愛は義務ではない」という、忘れてはならない事実がある。2026年になった今なお、私たちはなぜ自分の意思でシングルでいることを選び、子どもを持たない女性を、これほどまでに恐れているのだろうか――?

From COSMOPOLITAN UK

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