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「子連れは迷惑でしょ」と睨まれた美術館で、隣に立った学芸員が見せた行動

  • 2026.5.20
ハウコレ

3歳の娘と訪れた美術館で、見知らぬ女性に冷たい言葉を投げかけられた私。下を向きかけたそのとき、隣に立ってくれた学芸員さんの行動が、いまも記憶に残っています。

私は3歳の娘を持つ会社員です。仕事に追われる毎日のなかで、休日くらいは娘の世界を広げたいと、以前から気になっていた美術館へ二人で出かけました。人もまばらで、穏やかな午後を過ごしていたつもりだったのです。

娘とふたりで訪れた美術館

チケットを購入して第1展示室に入ると、娘は目を丸くしてあちこちの絵を指差しました。「これなあに?」「ママ、あの猫みたいなのかわいい」。声を抑えるよう何度か娘に伝え、ベビーカーを邪魔にならない位置に寄せながら、ゆっくりと作品を見て回ります。 家事と仕事に追われる日々のなかで、娘とこうして笑いあう時間は、私にとっても貴重な休息でした。「絵って、お話みたいだね」と笑う娘の横顔を見ながら、来てよかった、と思っていたのです。

「子連れは迷惑でしょ」というひとこと

第2展示室に進んだときでした。私たちの少し前を歩いていた40代くらいの女性が、ふいに立ち止まり、こちらに歩み寄ってきました。 「子連れは迷惑でしょ」 低い、けれどはっきりとした声でした。「すみません」とだけ口にして、頭を下げました。何か言い返したい気持ちはあったはずなのに、言葉になりませんでした。 娘が不思議そうに私を見上げています。何でもないよ、と微笑もうとしましたが、思うように笑えませんでした。

隣に立ってくれた学芸員さん

そのとき、すっと隣に人の気配が立ちました。ベージュのジャケットを着た学芸員さんでした。 「どの絵が一番気になりましたか?」 柔らかな声で、私と娘に向かって話しかけてくれたのです。女性は何も言わず、別の展示室へ歩き去っていきました。

学芸員さんは、私たちのペースに合わせてゆっくりと作品を案内してくれました。娘が「お姉さん、絵にも家族がいるの?」と尋ねると、少しかがんで娘の目線に合わせ、「いるんですよ。この絵を描いた人にも、お母さんがいたんです」と答えてくれました。娘はうれしそうにうなずいていました。

そして...

出口に向かうとき、学芸員さんが「またいつでもいらしてくださいね」と笑顔で見送ってくれました。娘は帰りの電車で、もらったパンフレットを大事そうに抱えていました。 あの女性に言われた言葉は、今も忘れられません。けれど、それ以上に強く残っているのは、隣に立ってくれた学芸員さんです。何も特別なことを言ったわけではない。ただ、私たちのとなりに立ってくれた。それだけのことが、これほど人の心を支えるのだと知りました。 娘は、また絵を見に行きたいと言っています。今度はきっと、もう少し胸を張って歩けそうな気がしています。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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