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「何をしに来たんだろう」父の葬儀に座っているだけで帰った義理の親戚→母の友人だけが必死に動いていた違和感

  • 2026.5.17

父が亡くなった日、家に駆けつけてくれた母の友人たち

父が亡くなった、あの寒い朝のことです。

遺体を家に安置し、私は震える手で親戚に連絡を回し続けました。

慌ただしくお焼香台を整え、お茶の用意を始めようとしていたところに、最初に駆けつけてくれたのは、母の長年の友人たちでした。

友人達は、玄関に着くなり「貸して」と声をかけてくれます。

仕出しの手配、座布団の準備、お茶碗の用意、来客の応対。

母が泣き崩れて動けないのを察して、台所に立ってくれたり、近所の方々の対応を肩代わりしてくれたり。

本当に、その日の家の中を回していたのは、血のつながった親族ではなく、母の長い友人関係に支えられていた事実でした。

動いてくれている友人の方々の背中を見ながら、私は涙とは別の意味で胸がいっぱいになっていたのです。

居間に座っているだけで、そのうち帰った義理の親戚

お昼を過ぎた頃、玄関のチャイムが鳴りました。

立っていたのは、父の義理の母にあたる方と、その娘さんです。

父からすると異母兄妹の関係で、私から見ると遠い義理の親族にあたります。

「お悔やみ申し上げます」

義理の母にあたる方が、深々と頭を下げてくれました。

けれど、家に上がってからの二人は、玄関ホールから居間へ進み、座布団の上にすっと腰を下ろしただけ。

湯呑みを持ち上げる手は、ずっとお茶碗の縁を撫でているばかりです。

横では母の友人たちが、お盆を抱えて廊下を行き来しています。

仕出しの追加注文、近所の方の応対、お焼香に来てくれた人へのお茶出し。

けれど、義理の親戚の二人は、誰にも声をかけず、誰の手元にも気づかず、ただ居間の窓の外をぼんやり眺めていました。

「お手伝いしましょうか」のひと言も、ありません。

そしてお焼香だけ済ませると、二人は何かを呟くように小さく頭を下げ、玄関から静かに帰っていったのです。

玄関の引き戸が閉まり、廊下に静寂が戻ってから、私は誰にも聞こえない声でぽつりと呟きました。

「何をしに来たんだろう」

誰も口には出しませんでしたが、私の中で、その問いは消えずにずっと残り続けていました。

正直、いまとなってはもうお互い行き来もないので、どうでもいいのです。

ただ、あの日に台所と玄関を回してくれた母の友人たちのありがたさと、座っているだけで帰っていった義理の親戚との空気の差は、私の中で長く消えない違和感として残り続けています。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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