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おなかと心を優しく満たしてくれる、"締め蕎麦"のススメ[秋山都さん今月のおすすめ]

  • 2026.5.10
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秋山都さん、山路美佐さん、森脇慶子さん、門上武司さん他、食通のジャーナリストや編集者が毎月ひとつのテーマから着想した3軒をまとめてご紹介する小誌連載「ガストロノミーの杜 極私的店案内」。

今回は編集者の秋山都さんが、東京の3店をご紹介します。

天ぷら、寿司、そして飲んだあとにつるりと一杯

沢村貞子さんは著書『わたしの脇役人生』のなかで「揚げたての豚カツを食べたあとはお茶漬一口と決まっている」と書いていました。ご馳走の最後を炭水化物で締めるとおなかも心も落ち着くというのは、私たち日本で育ったものに共通する嗜好なのかもしれません。

ただ、年齢とともに胃腸が衰えてきたのでしょうか、懐石の後半の"お食事"や、鍋の締めの雑炊を負担に感じるようになってきました。お酒を飲んでからラーメンを食べていたのも、いまは昔の話。大好きな天ぷらもコースの締めが「天丼」か「天ばら」が定番なのでしばらく二の足を踏んでいましたが、2025年春オープンの「天々蕎々 うめ庵」は名店「みかわ是山居(ぜざんきょ)」仕込みの天ぷらを堪能したあと、店主が手打ちした十割蕎麦をいただけるとあり、好物を一度でふたつ味わえてうれしいと即、訪問。

揚げ立てが一品ずつ出されたあと、つるりと蕎麦をたぐるのはおなかに軽く、鼻をくすぐる出汁の香りに心は落ち着き、いままでにない充足感。何より食べすぎたという罪悪感はゼロ。これからも天ぷらの締めは蕎麦一択!と決めた次第です。聞けば、蕎麦前と天ぷら数品のあとに蕎麦をいただく蕎麦コースもあるそうで、今度はそちらを試してみたい。

撮影=前川明範

"締め蕎麦"っていいな、と探してみますと、2025年7月開業のホテル「フェアモント東京」の寿司店「みぎわ」でも手打ちの十割蕎麦がいただけるというではありませんか。寿司の締めに蕎麦?とはちょっと意外でしたが、白神山地の水を使用したという透明感のある出汁に身体がキュッと引き締まるようで心地のよい食後感。願わくば、温かい「かけそば」もあると最高だなぁ。

西麻布で一杯飲んだあとの"締め蕎麦"なら「こうもと」の「吟醸からすみ蕎麦」。喉ごしのよい九一蕎麦にたっぷりかけられたからすみ、ほのかにオリーブオイルが香り、濃厚な旨さです。昔ラーメン、いまは蕎麦。加齢に伴いできなくなることは増えても、新たな喜びを見つけていける自分でありたいものです。

撮影=前川明範

「天々蕎々 うめ庵」(東京・湯島)

「みかわ」仕込みの天ぷらと、名人級の蕎麦の黄金マッチ

「みかわ是山居」の早乙女哲哉さんのもとで8年研鑽を積み、免許皆伝を受けた梅澤崇さんの天ぷら店。じつは「10歳から蕎麦打ちにのめり込んできた」という梅澤さんが自ら挽き、日々使う分だけ打つという十割蕎麦もお見事。

DATA
天ぷらコース16,500円、蕎麦コース14,300円
営業時間/12時~14時、17時~21時30分(ともにL.O./月曜12時~14時のみ、水曜17時~21時30分のみ)
定休日/火曜
tel.03-5817-8066
Google mapで確認
東京都文京区湯島3-10-10 吉澤・川辺ビル1F

天々蕎々 うめ庵

写真提供=フェアモント東京

「みぎわ」(東京・浜松町)

東京湾の夜景を望む、6席の寿司カウンター

目の前で東京湾を行き交う船を眺めることができる、絶好のロケーションで、香山孝宣料理長による八寸や一品料理、寿司のコースが楽しめます。締めは厳選した北海道蘭越町の蕎麦の実を、料理長が自ら挽いた十割の手打ち蕎麦。「黒七味と素焼き海苔の冷かけそば」か「すだちそば」「ざるそば」の3種から選択できます。

DATA
締めに蕎麦が付くディナーコース25,000円~。
営業時間/11時30分~14時30分、17時30分~22時(ともにL.O.)
定休日/日・月曜
tel.03-4321-1111
Google mapで確認
東京都港区芝浦1-1-1 フェアモント東京36F

みぎわ

写真提供=こうもと

「こうもと」(東京・麻布十番)

ワインと蕎麦のペアリングが楽しい、大人の隠れ家

西麻布から広尾へ向かう外苑西通りから路地へ入った場所にある、3階建ての一軒家。カウンター、個室、ラウンジなど趣の異なるフロアがあり、旬の食材を使った一品料理から自慢の自家製粉手打ち蕎麦まで、アラカルトで楽しめるのが嬉しい。また、オーナーソムリエ杉浦康祐さんによるワインのセレクトはワイン愛好家からも支持が高い。写真は「吟醸からすみ蕎麦」(1,650円)。

DATA
営業時間/17時~21時30分(土曜、祝日17時~21時/ともにL.O.)
定休日/日曜
tel.03-3440-1166
Google mapで確認
東京都港区南麻布5-1-10

こうもと

教えてくださったのは……

秋山都さん(編集者)
あきやまみやこ●女性ファッション誌や富裕層向けライフスタイル誌、グルメマガジンの編集長を歴任し、アマゾン・ジャパン勤務を経て独立。食・酒・旅をおもなテーマとして、雑誌やウェブメディアなどでコンテンツを制作。趣味は散歩とはしご酒。好物は寿司、焼き鳥、タルタルステーキとハイボール。

文=秋山都 撮影=前川明範(天々蕎々 うめ庵分) 編集=平田剛三(婦人画報編集部)

『婦人画報』2026年6月号より

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