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”ニューヒロイン”3人のスイングを解説!安定したティーショットの秘けつは?

  • 2026.5.9

昨シーズンの女子ツアーは12人もの初優勝が誕生した。

その優勝者のなかで3人のニューヒロインにスポットを当ててスイングを解説。三者三様、異なる個性があってじつにおもしろく、今季も活躍の期待大だ!

「シャット to オープン」の閉じないドロー

アドレス〜バックスイング

”ニューヒロイン”3人のスイングを解説!安定したティーショットの秘けつは?
Point:フェースを閉じたままバックスイング(右)

首から顔にかけてのラインが真っすぐできれい。この写真のアングルからだと、右手の親指がよく見えるのでグリップはストロング。テークバック直前まで親指を浮かせているのは力が入りすぎないようにするためかもしれません。PGAツア一だとザンダー・シャウフェレも同じような動作を行ないます。

ハーフウェイバックではフェースが背骨の角度よりも地面側を向いているので、フェースの向きはクローズ。ダウンスイングでこれ以上フェースが閉じるとヒッカケやすくなるため、このあとのローテーションをどのように抑えていくかがポイントになります。

トップ~切り返し

”ニューヒロイン”3人のスイングを解説!安定したティーショットの秘けつは?
Point:レイドオフからでもシャフトが立ちすぎずにダウンスイングに入る(右)

胸が完全に後方を向いたトップで、体がよく捻転されているのがわかります。シャフトがアドレス時のスイングプレーンと同じ角度になっているのは、右肩が外旋している証拠。右肩の外旋はフェースが開く要素なので、バックスイングでクローズ気味に振り上げたものを“中和”していることになる。

切り返しでは、レイドオフ気味だったクラブのシャフトが立ち上がる方向へ動きます。このとき、右胸に力が入ってしまうと「スティープ状態」になり、クラブ軌道が不安定になってしまう。しかし、稲垣選手は必要最低限の力でクラブを支えている”だけ”なので、理想的な角度でクラブが下りてきます。

ダウンスイング~インパクト

シャフトが右前腕と同じ傾きになっている。つまり、構えたときよりもインサイドからクラブが下りてきています。

このとき注意すべきは、体の右側が下がって過度なインサイド・アウト、かつアッパー軌道になり、フック回転が強くなること。しかし、稲垣選手はインパクトで右カカトを上げて右腰の高さをキープし、上半身との間にねじれを保ちながら体の右サイドでポールをとらえている。この結果、クラブ軌道はゆるやかなインサイド・アウトになり、理想的なドローボールを打つことができます。

フォロースルー

”ニューヒロイン”3人のスイングを解説!安定したティーショットの秘けつは?
Point:フェースはわずかに閉じたまま(左)

フェースが背骨の角度に比べて、少しだけ左を向いています。それによってフェースが閉じていることには変わりありませんが、その度合いはバックスイング時よりはるかに小さいです。

インパクトゾーンで急激にフェースを閉じるのではなく、切り返し以降、つねに”ちょっとだけ”閉じた状態にしておくことで、軌道だけインサイド・アウトに振ればドローボールを打てるようにしています。彼女の昨シーズンの活躍を支えた安定感抜群のティーショットの秘密はここにありますね。

神ワザPoint

切り返しでの腕のしなやかさが稲垣選手の強み。レイドオフのトップから手元が下がるとヘッドが上昇してシャフトが立ちやすくなりますが、彼女は右腕を脱力させてヘッドをオンプレーンの位置にキープ。理想的な軌道を保ったまま、ヘッドがインパクトへ向かっていきます。

「バンプ&キック」で加速するオートマチックスイング

アドレス〜バックスイング

”ニューヒロイン”3人のスイングを解説!安定したティーショットの秘けつは?
Point:手元がスタンスの中央にセットされている(左)

ストロンググリップで、手元がスタンスの中央に位置しています。一般的にはもう少し左股関節寄りにセットするものですが、インパクトで手元がヘッドよりも先行するのを見越して調整しているものと思われます。

バックスイングでは体の右側が少し引き上がるところが髙野選手の特徴。腕は使わず、右足の踏ん張りを原動力にして、きれいにボディターンしています。地面から重い物を持ち上げるときに感じる、足の裏の圧力をイメージするとアマチュアもマネしやすいです。

トップ

”ニューヒロイン”3人のスイングを解説!安定したティーショットの秘けつは?
Point:左サイドが沈み込む(左)

右サイドを引き上げてバックスイングするため、逆に左サイドはやや沈んでいく。昔は「頭は上下しないほうがいい」という考えもありましたが、切り返し以降で左足を強く踏み込める利点もあります。

トップではシャフトが地面と平行になっていて、肩の捻転も十分。フェースに太陽の光がよく当たっていますから、少々クローズであることがわかります。これはアドレス時のグリップによるものです。

切り返し〜インパクト

”ニューヒロイン”3人のスイングを解説!安定したティーショットの秘けつは?
Point:左ヒザが伸びきる(右)

切り返しの際に「バンプ」と呼ばれる骨盤が左サイドヘスライドする動きが見られます。左足に体重が乗ってくると、インパクトに向けて地面を蹴っていく準備が完了。左腕が地面と平行になっていますが、これは体重移動に伴って自然と引き下ろされただけで、本人の感覚としてはあまり力は入っていないでしょう。

インパクトでは左ヒザが完全に伸びきって、左サイドが上昇しています。この動きによってクラブはさらに加速して振り出されます。

フォロースルー

シャフトが地面と平行になった位置で、左手の指が右手の下から覗いているのでアームローテーションがなされていることがわかります。フォローで前傾角が起きてしまうと、クラブの軌道が急激にインサイドヘ向かい”こすり球”になってしまいますが、体幹部の側屈によってこれが維持されている。体幹の側屈はあくまでも体に無理のない範囲で行なうことが大切ですが、前傾を保つことは見た目のよさだけでなく、弾道へも大きく影響します。

神ワザPoint

バックスイングで左サイドが沈み込む動きは、一見すると不安定な要素に見えますが、じつはそうではありません。「沈む→蹴る」というワンツーアクションでクラブを振っているので、スイングがシンプルかつパワフルになる。

この動きにはダウンスイングでの左足の脚力が必要なので、すべてのアマチュアがマネできるわけではありません。さすがはアスリートといったところです。

「深い捻転から真っすぐ」振り下ろすアックススイング

アドレス〜バックスイング

”ニューヒロイン”3人のスイングを解説!安定したティーショットの秘けつは?
Point:手首を折る動きが強い(右)

非常にバランスのいいアドレスで、お腹の前に手の通り道があるのがイメージできます。テークバックでは左手首を手の平側に折る動作である「ヒンジ」が強く入り、下半身や肩の回転がまだ浅いにもかかわらず、ヘッドがすでに体の真ヨコまできている。

フェースの向きは背骨の角度とおおむね平行で、スクエアをキープ。左腕が地面と平行になったタイミングでも、まだおヘソが右へ40度くらいしか回っていませんので、体幹部はあまり回転していないということになります。

トップ~切り返し

”ニューヒロイン”3人のスイングを解説!安定したティーショットの秘けつは?
Point:切り返しでは大きくワキが開く(右)

トップでは肩が深く回っているものの、右ワキが開いているため腕は体の正面より背中側にズレています。ベルトのバックルが斜め右を指す程度で止まっていますが上半身は深く回っているので“捻転差”はとても大きく、ここからスピードを生み出せる状態です。

切り返しでは腕に慣性がかかり、体の正面からより大きくズレています。このままだと通常はインサイド・アウト軌道がきつくなり、フック系のミスが出やすいですが、金澤選手の場合はダウンスイング時のフェース管理によってそれを防いでいます。

ダウンスイング~インパクト

ハーフウェイダウンでは腕が体の前から外れていましたが、インパクトでは右ヒジが少し体の前に戻ってきています。これによりクラブ軌道が過度にインサイド・アウトになるのを回避。“チーピン”のミスをケアしています。やや前傾姿勢は起き上がっていますが、上半身の側屈、右ヒジの屈曲によって適正なクラブ軌道を確保できている。

このタイミングではまだフェースがやや右を向いていますが、クラブ軌道がそれ以上にインサイド・アウトなので、ボールをしっかりと右に打ち出しながら左に戻すドローボールが打てるのです。

フォロースルー

”ニューヒロイン”3人のスイングを解説!安定したティーショットの秘けつは?
Point:とても高いフォロー(左)

ダウンスイングからフォローまでの写真を見ると、骨盤が途中からあまり回転していないのがわかります。深く回った肩と腕が体の前に出てくるには、下半身を先行させすぎず、振り遅れを防ぐ必要がありますが、途中でしっかりと左の壁を作ることでクラブが”グッ”と加速してインパクトを迎えている。

そして、この高いフォローはインサイド・アウトに振り抜いた証拠ですが、よく見ると両腕が真っすぐでアームローテーションは控えめ。全体的に見ると高く振り上げた腕を回転させず、斧(アックス)を真っすぐ木の幹に打ち込むようなスイングです。

神ワザPoint

腕が体の前から外れてインサイド・アウト軌道になるものの、アームローテーションを極限まで抑えてフェースの動きをおだやかにしているので、安定したドローボールを打つことができる。

アマチュアの場合、いわゆる“チーピン”になりやすいですが、ダウンスイングでの徹底したフェース管理によって、そのミスを防いでいるのが金澤選手の神ワザです

いかがでしたか? ニューヒロインの打ち方を参考にしてみてください。

稲垣那奈子
●いながき・ななこ/2000年生まれ、埼玉県出身。164cm。早稲田大学卒業後、2023年にプロ入り。2025年「リゾートトラストレディス」でツアー初優勝。古江彩佳、西村優菜などと同級生の「プラチナ世代」として、2026年も活躍が期待される。三菱電機所属。

髙野愛姫
●たかの・あいひ/2004年生まれ、東京都出身。167cm。2024年からツアーに本格参戦し、2025年「ヨネックスレディス」で初優勝。ドライバーからアイアンまで正確無比にターゲットをとらえるショット力が魅力。トラスト銀行インドネシア所属。

金澤志奈
●かなざわ・しな/1995年生まれ、茨城県出身。164cm。2017年にJLPGAプロテストに合格。以降、着実に実力を積み上げ2025年の「日本女子プロゴルフ選手権」で優勝。レギュラーツアー初優勝で国内メジャータイトルを獲得した。クレスコ所属。

解説=アッキー永井
●ながい・あきふみ(永井研史)/1987年生まれ、神奈川県出身。”アッキー”の愛称で親しまれている人気コーチ。人体解剖学や物理学の視点を取り入れたわかりやすいレッスンに定評がある。

写真=小林司、渡辺義孝
撮影トーナメント=2025年Vポイント×SMBCレディスゴルフトーナメント

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