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「仲良くていいですね」受付の女性ふたりのうち片方とだけ雑談していた私→もう一人から放たれた嫌味に背筋が凍った瞬間

  • 2026.5.9

受付前で交わす、ただの何気ない雑談のはずが

会社のエントランスを入ってすぐ右手にある受付には、いつも二人の女性が並んで座っています。話しやすいのは、年が近い女性の方。すれ違いざまに天気の話や昨日のテレビの話を一言二言交わす、それだけの間柄です。

「おはようございます。今日は冷えますね」

「ほんと、もう厚手のコート出しちゃいました」

朝の挨拶の流れで、ほんの数十秒の立ち話。私もお互い既婚者で、もちろん変な気持ちは一切ありません。世間話の延長で笑い合い、私はそのまま執務フロアへ向かう。それがしばらく続いていた、いつもの朝の風景でした。

ある日、エレベーターホールへ歩き出した私の背中に、左側に座っているもう一人の受付の方の声が、ひんやりと刺さったのです。

「仲良くていいですね」

振り返ると、画面に視線を落としたまま、口元だけが薄く動いていました。

隣の方は気まずそうに資料を整えている。明らかに笑顔ではなく、明らかに普通の感想でもない。語尾の抑揚が、わずかに沈んでいる。

(あ、これは嫌味だ)

頭の中で警報のような音が鳴って、足が一瞬止まりました。

既婚者同士なのに走った、見えない採点の冷気

その日から、受付の前を通るたびに肩の力が抜けなくなりました。

挨拶を返してくれる笑顔の奥で、左側の方の視線が、自分と右側の方の距離を測っているような気がしてくる。気のせいだと言い聞かせていた数日後、また同じトーンで一言が飛んできたのです。

「今日も楽しそうでしたね」

嫌味の角度はそのまま、観察の精度だけが上がっている。私は曖昧に頭を下げて、足早にエレベーターへ向かいました。

何かをした覚えはありません。お互い指輪をはめた既婚者同士で、雑談の内容も天気と通勤電車の話。それでも、誰かが見ていて、誰かが採点している、という事実だけが残るのです。

当事者の意図と関係なく、隣で勝手に評価が積み上がっていく場所がある。それが妙にゾッとして、自分の知らない世界を覗いてしまった気持ちになったのです。

翌週から、私は両方に均等に挨拶をするようになりました。

右側の方への雑談は短くし、左側の方にも同じ温度で「おはようございます」と頭を下げて、視線を合わせる時間を一秒だけ長くする。社内で角を立てないための、ささやかな調整です。

けれど一度走った冷気は、簡単には消えてくれません。エントランスを通るたびに、自分の言動が誰かのメモに静かに書き加えられているような感覚が残るのです。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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