1. トップ
  2. 恋愛
  3. 「私だけじゃなかった」50代の今だから共感できる、“クセ強母”を描いた映画3選

「私だけじゃなかった」50代の今だから共感できる、“クセ強母”を描いた映画3選

  • 2026.5.4

『真実』©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA
photo L. Champoussin © 3B-Bunbuku-Mi Movies-FR3
 
まもなく母の日、ということで、今回はかなりクセの強い母親が登場する映画に注目! 毒舌でわがままな大女優母、ところかまわずブチ切れる母、元ミスコン女王の美魔女母、そんな強烈な母と娘や息子の関係は一筋縄ではいかないようで……。「こんな母親は厄介だな」と思いつつも「キレる気持ちもわかる」など、50代になった今なら、子の立場としても母親の立場としても共感できる部分がたくさんあるはず!

大女優母に娘が激怒!? ドヌーヴとビノシュの名演が光る是枝監督作品 『真実』

『真実』©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA photo L. Champoussin © 3B-Bunbuku-Mi Movies-FR3

パリに暮らす大女優のファビエンヌが『真実』と題する自伝本を出版し、そのお祝いに娘のリュミエールとその夫と娘がアメリカから帰ってきます。脚本家のリュミエールは、事前に原稿を見せる約束を反故にした母に対して文句を言いますが、ファビエンヌはどこ吹く風。長年にわたってファビエンヌを支える紳士的な秘書と料理上手なパートナー、さらには元夫までやってきて、思いがけずファビエンヌをとりまく“家族”が集まりますが、誰もが気にしているのはその本に何が書かれているのか、ということ。

『真実』©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA photo L. Champoussin © 3B-Bunbuku-Mi Movies-FR3

「デタラメじゃない!」と本を読んだリュミエールは激怒。そこに書かれている母と娘のエピソードは、寂しい思いをして育った彼女の記憶とはまるで違うもので、そのうえ彼女たちの人生に深くかかわる女優のサラの名も一切出てこないのでした。いつだって母は約束を守らないし、嘘ばかり。リュミエールの心に、母に対する積年の愛憎が噴き出してくるのでした。
 
ファビエンヌを演じるのは、有無を言わせぬ存在感と華があるカトリーヌ・ドヌーヴ。毒舌でつかみどころがなくプライドも高い大女優役をチャーミングに演じられるのは、彼女しかいないでしょう。本作は『万引き家族』などの是枝裕和監督の作品ですが、まるドヌーヴ自身のドキュメンタリーかと思わせるような構成に引き込まれます。そして、そんなドヌーヴを前にすると、娘役のジュリエット・ビノシュが小さく可愛らしく見えます。ビノシュの繊細な演技により、母に対して屈折した感情を抱きながらもやはりどこか似ていると思わせられます。

『真実』©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA photo L. Champoussin © 3B-Bunbuku-Mi Movies-FR3

また、リュミエールの夫役のイーサン・ホークも好演。ドヌーヴとビノシュという二大女優の共演はともすると重々しくなりがちですが、ホーク演じる“フランス語がわからないアメリカ人でテレビ俳優の夫”がどこか頼りないながらも場を和ませています。
 
身勝手な母に翻弄されながらも、ふと母の老いを感じて心配になる、そんな母娘の描写がリアルで、母の<真実>と娘の<真実>が明らかになるとき、静かな感動に包まれます。
 

『真実』

2019年製作

Blu-rayコンプリート・エディション ¥7,700
Blu-ray ¥5,280/DVD ¥4,180
発売・販売元:ギャガ

©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA

怒りっぱなしのブチ切れ母に対して息子と夫は……。 『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』

『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』
© Untitled 23 / Channel Four Television Corporation / Mediapro Cine S.L.U.

ロンドンの小ぎれいな一軒家で、リタイヤ間近の配管工の夫と無職で引きこもりの20代の息子と暮らす中年女性のパンジー(マリアンヌ・ジャン=バプティスト)。常にイライラしているパンジーは、息子が散歩に行くといえば「不審者扱いされるよ!」と罵り、スーパーマーケットに行けば若い女性店員に「その顔なんとかして!」と怒鳴りつけ、他の客と小競り合いをする始末。身近にこんな人いたら本当にいやだな、と思わせるような女性が主人公です。
 
 

『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』
© Untitled 23 / Channel Four Television Corporation / Mediapro Cine S.L.U.

食卓でも、怒りにまかせてどうでもよいことをまくしたてるパンジー。夫と息子は黙々と食べるのみ。これがパンジーを刺激しない唯一の方法であると悟ったのかもしれませんが、これでは何を食べてもおいしくないでしょう。

『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』
© Untitled 23 / Channel Four Television Corporation / Mediapro Cine S.L.U.

そんなパンジーと対照的なのが美容師の妹で、彼女は娘たちと楽しく仲良く暮らしています。ある母の日、妹に誘われて、パンジーは亡き母の墓参りに行くことに。墓を前に、パンジーは自分が長年抱えてきた家族への複雑な思いや深い孤独と向き合います。そんな姉に、妹は優しい言葉をかけますが……。

『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』
© Untitled 23 / Channel Four Television Corporation / Mediapro Cine S.L.U.

『秘密と嘘』のマイク・リー監督が手掛けたヒューマンドラマ。パンジーの攻撃的なふるまいは病的ともいえますが、その根本にある日々の虚しさや孤独は、程度の差こそあれ、多くの人が感じたことがあるのではないでしょうか。ただ、ここまでくると、家族も無傷とはいえません。甘くない現実と微かな希望が深い余韻を残します。
 
 

『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』

2024年製作

Blu-ray ¥4,400/DVD ¥3,300 発売中
発売元:ニューセレクト
販売元:アルバトロス

© Untitled 23 / Channel Four Television Corporation / Mediapro Cine S.L.U.

元ミスコン女王の母vsふくよかな娘の顛末は? J・アニストンが母を好演 『ダンプリン』

Netflix映画『ダンプリン』独占配信中

ぽっちゃりした体型の女子高生ウィロ―ディーン(愛称、ウィル)は、多忙な母に代わって自分の面倒を見てくれた亡き叔母ルーシーを慕っています。一方、母のロージーはといえば、かつて地元のミスコン荒らしで、現在も美を保つことに余念がなく、ミスコンの運営で飛び回っています。そんな母が娘を「ダンプリン」(煮込んだ団子の意味から、背が低くてぽっちゃりしていることを言う)と呼ぶせいで、ウィルは学校でからかわれてしまいます。
 
ミスコンと体重管理しか頭にないような母への反発心から、ウィルはミスコンに出場する決意をします。申し込み会場に現れた娘を見て、運営側にいるロージーはびっくり! 本番まで6週間。ウィルは無事に舞台に立てるのでしょうか。

Netflix映画『ダンプリン』独占配信中

“ミスコン命”の母親役で、ジェニファー・アニストンがコメディエンヌぶりを発揮。娘が嫌がっているのにひどいあだ名で呼び続けたり、体にぴったりしたドレスを着ると車の運転ができないからと娘を運転手代わりにするなどかなりの毒親なのですが、娘への愛情を感じさせながら、コミカルに演じています。

Netflix映画『ダンプリン』独占配信中

体型にコンプレックスを抱きながらも明るくふるまうウィルを演じるのは、ダニエル・マクドナルド。時に怖気づいたり、卑屈になったり、さまざまな感情を乗り越えながら、勇気を出して挑戦する姿が輝いています。
 
今のままでいい、他人と比べる必要はない、というポジティブなメッセージを感じられる青春コメディです。
 
 

『ダンプリン』

2019年製作

Netflixで独占配信中

※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
※価格は、断りのある場合を除き、消費税込みで表示しています
※この記事の内容および、掲載商品の販売有無・価格などは2026年5月時点の情報です。販売が終了している場合や、価格改定が行われている場合があります。ご了承ください
 

構成・文

ライター 中山恵子

中山恵子

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

元記事で読む
の記事をもっとみる